3.ジャヤプラの町
センタニ湖は不思議な形の湖である。木の生えていない草だけで覆われた陸地が複雑に湖に入り組んでいる。所々に見られる島の回りには現地人の水上家屋の屋根がぽつりぽつりと見える。そのうちにセンタニ空港が見えてきた。 そして着陸。
センタニ空港は小規模な飛行場だ。小さな到着ロビーでガイドのヤッサンに無事接触でき一安心。やせ形の若いインドネシア人でスマトラのメダンからここに来てガイド業を行っている。彼と片言の英語で日程等の打ち合わせをし,今日はとりあえずジャヤプラのホテルにチェックインしてゆっくり休むことにした。飛行場からジャヤプラへはバンで1時間程度かかるが,道すがら,峠から見える海と天橋立のような砂州の眺めは妙に日本的で,暑さを除けば自分がニューギニアにいることをふと忘れさせられた。
ジャヤプラは日本でいえば一万人程度の小さな港町といったところ。着いたのは暑い昼間,大通りでも人影はまばらで食堂,店などは休業である。ずいぶんさびれた町だなあなどと思いながらホテルでひと休み。そして夕方町に出てみた。すると昼間とはまったく違う町かと思うばかりの人出。そして道ばたには出店が軒を連ねているではないか。なるほど,夕方からがここの住民の生活の本番なのだ。
ここでは野菜,バナナ,タロイモ,ジャックフルーツ,お菓子などの食品,日用雑貨,衣料品,美容のための薬や医薬品など,生活のすべてがそろう。きゃしゃで浅黒いインドネシア系の人々に混じって,色が黒く鼻が大きく髪の毛が縮んでいるアボリジニ系の人々も多く見ることができる。やはりオーストラリアのすぐ北に位置する島ニューギニアである。
インドネシア系,アボリジニ系は見た所,お互いにあまり干渉しないようで,それぞれの場所に店開きしている。どちらかというと,インドネシア系の店の方は屋根付きのしっかりした店が多い。経済格差があるのであろうか。
ぶらぶらしていくと町外れになった。しかしそこが彼らの生活の場である。普通の人々の決して立派とは言えない家がぎゅうぎゅうに軒を並べている。洗濯物と一緒にインドネシアで特徴的なパラボラアンテナが見える。不思議な光景である。
道ばたで会った子供たちは屈託がなく 愛嬌があり,写真を撮ろうとするとこのとおり,世界中どこでも子供は変わらない。夕焼けのモスクの広場で子供たちがボールで遊んでいる。老人がたたずんで何やら考え事をしている。毎日繰り返される普通の情景。
細い路地を奥へいくと水道の源があった。各家庭でこの水源からホースで延々と水を引いている。もうちょっと工夫したらと思うのだが。まあこれが彼らのスタイルなのだ。
次回はいよいよニューギニア高地人の住むワメナへ飛ぶ。乞うご期待!