操作法と解説 材質はちがうが同じかたちの2つの球があります。これらの球をマウスでつかんで動かすようにしてみてください。仮想の手が現れ,球を引っ張ることができます。その力のベクトルを青いベクトルで示しています。この力は,仮想の手を動かすことによって向きと強さを変えることができるようになっています。ちょうど球につながれたゴムひもを引くような感覚です。その結果生じる加速度を赤いベクトルで示しています。速度は緑色のベクトルです。なお,球のない場所をクリックすることで,力を加えていた仮想の手を消すことができます。球の動きを止めたいときは,仮想の手でつかんだ状態で,右下の灰色のボタンを押します。
それでは,力が加わることで物体はどのように運動するか,2つの球それぞれについていろいろと試してみてください。特に,次の点について考えてみましょう。
○力と加速度の関係は?
○質量が大きいのはどちら?物体には質量という量が備わっています。身のまわりには,ボーリングの球のように質量の大きな物体もあれば,ピンポン玉のように質量の小さな物体もあります。物体の質量が大きいほど,静止している場合を含め,物体の運動のようすが力を加えても変わりにくくなります。このような性質を「慣性(かんせい)」といいます。しかし,物体に慣性があっても,力を加えれば力の強さに応じて,物体は運動のようすを変えていきます。
このような質量,力,加速度の関係は,ニュートンによって「運動の法則」としてまとめられました。運動の法則は3つの法則からなりますが,そのうちの第1法則と,第2法則の内容はこうです。
第1法則は,観測者が加速度運動していてはいけないということをいっています。そのような観測者の視点は慣性系とよばれます。その上で,第2法則では,慣性系からみれば,物体は力の向きに,力の強さに比例し質量に反比例した加速度で運動するということをいっています。第2法則は,力をニュートンN,質量をkg,加速度をm/s2の単位を用いて,次のように式でまとまられます。
力=質量×加速度 この式は,運動方程式と呼ばれています。
これらの法則は,身近な物体の運動から天体の運動まで,自然界のあらゆる物体の運動が,このような確固たるルールにしたがっているということを私たちに強く認識させたものでした。
それでは,5つの球がある場合についても試してみましょう。次のリンクをクリックしてください。
これらの球の運動は,運動方程式を4次のRunge-Kutta方で数値的に解いて求めています。球の回転は無いとし,球同士の衝突や壁との衝突は弾性衝突として扱い,球は完全になめらかとしています。
制作:加藤徳善
(2003.11.2)