今日は早起きだ.なにしろローマまで行かなくてはならない.さっさとシャワーを浴びて朝御飯食べて(この日のソーセージもおいしかったぁー*^^*),りっちゃんにご挨拶して,さっそくシュツッツガルト駅へ向かう.そう,僕の切符はミラノまでしか買ってなかったから,ミラノからローマまでの指定切符をシュツッツガルトで買おうって算段だ.朝のハウプトバンホフ(中央駅)は,ひんやりしている.人気も少ないし,なにしろ石だし.でも寒い中で寝てる旅人もいた.チケットを無事ゲット.博士とコンパートメントは違うけどこれはミラノで調整だ.いよいよ乗り込む.いよいよトロン閣下ともお別れだ.トロン氏はビデオ片手に朝靄のホームを列車の動きに合わせて走り始める.まるで止まっているみたいだった.でもだんだん僕らが先に行ってしまう....なんか見送られるのってのは,嬉しいんだけどほんとに苦手なんだ.何も今生の別れではないのだがグっときてしまう.小さくなるトロン氏をが粒になったころ椅子に座って長旅に備える.
車窓からの風景は,朝靄にけむる赤い屋根,屋根.すっごい綺麗だった.適切な表現は難しいけど,ドライアイスに見え隠れするイチゴシャーベットとでも言おうか..(く,臭い!.減点!!>oz)
そんな風景がしばらく続く.山間に入ると川が流れている.ドナウの支流か...護岸工事などまったくしてないナチュラルな川だ.こんな綺麗な川,久しぶりに見たような気がする.そこかしこに水鳥がいる.決して勾配は急ではないものの確実にアルプスの中へ深く入り込んでいく. 国境だ.スイスに入る.パスポートのチェックだ.簡単に済んだ. 物好きな東洋人だな..みたいな一瞥をくれた.ほっとけ.^^; シュツッツガルトを朝7:45に出て,およそ3時間でZurich(チューリッヒ)に着く.大きな駅だ.さすがヨーロッパのハブと言われる駅だけのことはある.ここでしばらく停車する.ここで元気なおばちゃんが乗ってきた.どうやらイタリア語を話してる.ってことは週末を利用して孫に会いにきたってわけだ.窓の外には夫婦と子供二人がいる.かわいい.おもわずシャッターを押す.別にチャイルドキラーってわけではない.被写体がシャッターを押させるのだ.^^; ほどなくして列車は出発,さらにしばらく置いて,二つ前の停車駅だったSchaffhausen(シャフハウゼン)から乗ってきたという老夫婦が我々のコンパートメントに移ってきた.この夫婦はLuganoまで行くという.さっきのおばちゃんはミラノで乗り換えて,ペルージャまでだ. なんとなく緊張感が漂う.そのうち耐えられなくなったイタリアのマンマが口火を切る.向かいに座った老夫婦に話しかける.老夫婦のうちおばーちゃんのほうはイタリア語がはなせる.英語もいける.フレンチも話す.もちろんドイツ語(高地ドイツ語)も..おじいさんはドイツ語の他には英語が比較的得意だ.ということがわかったのは,僕らが持っていたQV10に興味を示して話しかけてきたからなのであった. 僕らは,窓際に向かい合って座っていた.そして車窓からのアルプスの氷河とかを見ながら「すっげー」とか言いながらQVで写真を撮っていたのだ.後ろの会話など気にせず. すると,あるタイミングで,イタリアのマンマが「そりゃなんだ?」とイタリア語で聞いた(と思う).続けて,おじいさんが英語で「そりゃなんだ?」って聞いた(確かに聞いた).で,博士が,国際学会で鍛えた流暢な英語で, 「This is a digital camera」と応えると,まるで,コカコーラを始めてみたニカウさんよろしく「ワァーオ」(イタリア語,ドイツ語,英語.いろいろ).で,何枚か実際に撮ってあげたりしたら,おじいさんは,落ち着いて聞き返した.「撮ったやつはどうするんだ?」(実はこれを僕は聞き違えて,博士に”撮ったやつを俺にくれって言ってるよ”と嘘を教えてしまった.すまん>のん^^;).博士「コンピュータに吸い上げるんだ(英語)」老夫婦「コンピューター!!(イタリア語,英語)」,おじいさんはなんだかいろいろ教養がありそうで頼もしかった.マンマは,自分の顔をTFTで見るなり歓喜した.それで今度は私の番だわ,とばかりに,鞄をあけ,さっきまで別れを惜しんでいた孫の”ダビッド”他の家族の写真を我々に見せて延々と自慢を始めた.憎めないやっちゃ.でもずっとマンマの相手をしなくちゃいけないかと思うとぞっとしたといえばそうだ.よね?>のん^^; 老夫婦が手持ちのパンを食べ始めた.僕らもおなかが空いてきたので,車内販売のカートでなんか買うことにした.ここも博士にお任せだった.情けない.売り子はお調子者のイタリア人だ.博士が「Do you have something to eat?」と国際学会仕込みの流暢な英語で聞くと,そいつはイタリア語訛の英語で 「サンドウィッチ」と答える.それでいいやってんで,リラで買う.そうだ,僕らはマルクはほとんど持っていなかったのでイタリアに近くなったらリラで買おうって話をしてたんだ.(イタリアの列車だからたぶん大丈夫だったんだろうけどね.).コーヒーとサンドイッチだけ.結構高かったような気がする.お釣りをごまかそうとすると,マンマがちゃんと払えと目で威嚇する. 精算が済むと,そのお調子者ののイタリア人は「どもありがとございまーす」と僕らにイタリア訛の日本語で愛想をサービスしてくれた.和んだ. しばらくしてしゃべり疲れたのか,みんな黙った.通路側に突然湖が見えた.すっげー綺麗なところ.さすがリゾート地だけのことはある.この先イタリアに入れば,COMO(コモ)(MONZAの手前)という有名な超金持ち用リゾート地もあるし.なんだかリッチなところだ. ほどなく目的地で老夫婦は”チャオ”と言って下車し,マンマとまた3人になった.飴をくれた.マンマは案外いい人だ.^^; イタリア(Chiasso:キアッソ)に入ると風景がほんとに変わる.イタリアらしくなるっていうのか.だんだん秩序がゆるくなっていくというか...^^;;;; コモを過ぎてモンツアを過ぎていよいよミラノ到着.8時間の旅がとりあえず終わり乗り換えだ.乗り換えに30分弱の余裕があるので,駅の売店でパンと水(ミネラル)とお菓子を買う.ここから先は二人の指定席の切符が違うので別にいいやってんでデッキでしばらくたってる.しかし,5時間は持たないと思い始め(あたりまえだ^^;)通路の補助席に座ってた.車掌が近づいてくる.僕のチケットを見ると,「お前の席はそこだ」と言う.僕は「Yeah,I know,I know.Thanks!」と言うのだが,車掌は「なぜ予約してるのに座らないんだ!」的な怪訝そうな顔をしたまま立ち去った. 2時間くらいその補助席に座ってたかな.別に苦痛じゃなかったけど,博士が空いてる席を見付けてきた.そこに座る.ようやく背もたれができてうれしかった.もう夕闇がせまってきてて,退屈もしてたし.僕はなんだか極度の疲労におそわれ,姿勢を保てなくなっていた.博士に「もうすぐだからね」と励まされ,この長い列車の旅を楽しもうと必死になった. ようやくローマ(テルミニ)駅に到着だ.午後9:00.ほぼ定刻通り.ありがたい.よくやったぞ>イタリア国鉄^^; テルミニに着く前に,メトロとバスぢゃなくて,金にものいわせてタクシーでアパートまで行こうと決めてた.で,その前に明日僕はフィレンツェへ行かなくちゃいけないから,切符を買っておこうということになった.さすが生物学博士だ.機転が効く.というか,切符を買うのに券売機が無いから並ぶしかない.と,そこには「交渉」が待ち受けるわけだ.僕は不安だったから,御願いしたようなもんだ.ありがとう>博士. でも営業時間的にはぎりぎりだった.9時でCHIUSE(閉鎖)だったもんね. 無事にテルミニ・フィレンツェ往復のチケットをゲットした.そして,テルミニ地下の24Hコンビニでちょっとした食料を買い求め,タクシーでアパートへ.雨が降ってた.僕の行く末を暗示するかのような不吉な雨...なわけがない. ノメンターナ(テルミニから北東方向)通りをまっすぐ30分くらいで到着.とりあえずシュツッツガルトに到着の報告の電話をする. よかった,よかった.ビールで乾杯しとりあえずシャワー浴びて,死んだように寝た. |