【15th.Oct.'96 :Firenze2→Rome】

思うに,ヨーロッパというか,ドイツ・イタリアに来て思うことは,その歴史というか”流れ”をもう少し頭にいれておくべきだったかなぁーと.どうしても”裏”を見ようとするクセが抜けない(悲しい職業病だ^^;)ので,背景が知りたくなる.一つわかるといろいろな疑問がさらに誘発されたりする.もちろん,理屈だけで結論が出ないことも多いのだが^^;;
イタリアは共和国として現在の姿になってまだ100年とすこしなわけで,その前はいくつかの公国と教皇領の併存だったわけで,そういう流れで見るとまた違ってくると.イタリア半島の歴史(現代史も含めて)だけではイタリアのことを全部語ることは出来ず,ヨーロッパ全体の動きの骨格をイメージできるとおもしろいのだろう.もちろんギリシャが根底にある(行きたいなぁ)し,ゲルマン人による征服の歴史も,西ローマ帝国と東ローマ帝国の分裂と西ローマ帝国から神聖ローマ帝国建国のいきさつとか,十字軍とか,フランス革命からナポレオンの帝政などなど...その中でルネッサンス(これ自体いろいろな見方があるし,ヨーロッパそれぞれの国によってコンセプトが微妙に違う)というムーブメントをリードしたフィレンツェとか,そしてそこにおける芸術(絵,建築,彫刻,etc...)っていうふうに.そういう視点に立つと,歩いていてもまた違うだろうな...と.一般知識もあるといいけど,出来れば仮説をたてて,それを検証しにいく,みたいなのも楽しいかもしれない. (br>
これは帰ってきて思ったことだ.あっちに居たときはそんな余裕はなかった.「おぉー,ボッティチェルリィー,ミケランジェロォー,コロッセォー!」みたいな.^^;
しかし,高校時代は大好きだったのに,かくもスッパリ忘れるものだろうか..本屋で世界史の”攻略本”をゲットしてしまったのはいうまでもない.

さて前置きはこの辺で.

昨日あまりにも早く寝たこと,おなかがぺこぺこだったこともあって,すごく早く(6時ころ)起きた.ごろごろしてたりシャワーあびたりしてたら7時半.つけっぱなしのテレビではCNN.ちょいとチャンネルを替えると,キャプテン翼,銀河鉄道999,タイガーマスクのイタリア語バージョン豪華三本立てをやっているのであった.いなかっペ大将は7時からやってるらしい.ローマに戻ったら見よう.999はテーマソングのアレンジにかわってるし,タイガーマスクにいたっては,あの寂しげなエンディングテーマはきわめてポップなへなちょこな曲になってしまってる.タイガーマスク(マスカーレ・ティグレ^^;)のけんた君は目が青いし^^;

ブレックファストサービスは7時から.1階のフロアでカフェテリアだ.8時頃に降りていった.ここのパンとオレンジジュースがおいしかった.おなかペコペコだったのでたくさん食べた.^o^
今日は夕方にはローマに戻ることにしている(テルミニで博士と待ち合わせ)ので少し計画的に動こうと考えていた.1.9:00に開くウフィッツイに行って,2.次にアカデミアに行って,3.za-zaでご飯食べて,4.ミッション^^;という4つの柱だ.あとはランダムに行こうと思っていた.そうそう,実はちょうど火曜日なのでカッシーネのメルカート(市場)に行くことも考えたんだけど朝は大雨だったので,起きた時点でこれは残念ながら断念した.

ホテルのチェックアウトをすませるために部屋を出るとき,どうしようか迷ったんだけど,チップをおいてきた.三ツ星クラスだとサービス料込みだから要らないよなぁーなんて思ったけど..でチェックアウトだ.鍵を渡してカードで決済(ローマへの電話代と冷蔵庫のビールとグレープフルーツジュース代の追加請求分も含む).

さて,ホテルからウフィッツイ美術館までは徒歩10分弱.シニョーリア広場に着くともう人でいっぱいだ.美術館入り口には長蛇の行列ができている.いけどもいけども最後列が見えない.;_;やっと最後列について並んだ.こりゃ何時間待つかなぁ..と気が重い.しかも並んでいる人々の内正味30%は日本人かと思われるくらい日本人だらけだった.別にイヤだってわけぢゃないけど,すごいなぁーって思った.僕の前後は西洋人だった.英語をしゃべってた.並んで30分くらいたった頃,「物乞い」の少年・少女がまるでおいらに吸い付けられるようにやってきた.これが噂の...シカトを決め込むがなかなか立ち去らない.すると,僕の前にいた老夫婦のうちのおじいさんのほうが,「She's watching your bag. Better cover it.」という.そう,たまたまその日に限ってウエストバッグをつけていたのだ.「Thanks」と言って,ゴアテックスのウィンドブレーカーで隠すときゃつらは案外あっさり去っていった.
その老夫婦はオーストラリアから来た大学の先生だった.バリバリの豪語で todayはトゥダァイだし,maybeはマイビーだ.おきまりの「どっからきたんだ」攻撃に適当に受け答えした.
アルプス越えの話はやっぱりウケた.西洋人なんて単純だ.:-))^^;

なんときっちり2時間待ってようやく入館.流石にすばらしいフレスコがたくさんある.どれもこれも15世紀前後の作品だ.教科書クラスの作品があまりにもさりげなくおいてある.ガラスの中になんか入ってない.窓あけて換気とかしてるし.^^; 
あぁーもっと勉強しておけば感動もひとしおなんだろうな..などと思いながら足を進める.ちょっと大きめの部屋に僕も知ってるボッティチェルリのビーナスがあった.大きな作品だ.ツアコンに説明に大きくうなずくニッポンのおばちゃんたちも絵づら的にはもう慣れたっつーか.^^;

真剣にメモをとる美術学徒もいればぼーっと取り憑かれたように一点をみつめる人.様々だ.ツアーはそれらを横目にクラスタとなって進む.その後をおいらは,やや離れて冷ややかに見ている.途中,回廊から中庭をパチリ.1時間半くらいかけて見ただろうか.駆け足だったが,貴重な体験だったと思う.今度フィレンツェに再来することがあったら,また行きたいと思った.(あとで聞いた話だが,柴山氏は,待ち時間ゼロで入ったらしい.もう少し遅い時間のほうがよかったのか.まーいいか.)

続いてアカデミア美術館に向かう.途中,barでパンとミネラルをゲット.今思うとこの時食べたパン(モツアレラとトマトにオリーブオイル)が一番おいしかったように思う.食べながら歩いてアカデミア方面へ.大体の道は昨日の調査で把握していた.VIA DEI CALZAIOULIからVIA RICASOLIに入ってすぐだ.すでに行列ができている.ここには誰もがしってるミケランジェロのダビデ像の「オリジナル」!!があるのだ.ここも1時間待ちで入った.いたいた.おぉー,教科書とおんなじだぁー(あたりまえだ).と,ひとしきりトーシロ感激して満足して館を出る.すると雨.すかさずモロッコ人(これも,あとで聞いた話だ)が傘を売りに来る.すぐ止むってのも経験則があったからシカトしてずんずん歩いてやりすごす.案の定すぐ晴れ間がでてくる.

ふと,ジェラート屋が目に入る.昨日行けなかったVIVOLIというジェラート屋まで行くのもめんどうだったので「ま,いいか」と妥協した.「ピッコロでね」と前置きして手に入れ食べながら歩き始める.そうだ,ミッションを忘れちゃならない.きびすをかえしてPiazza Rupubliccaの楽器屋へ向かう.
昨日も来たしこっちだよな...と思いながら歩く.看板が見えた.着いた,ここだ! あれ?? ちょっとまてよ・・閉まってる?_?.シマッタァー!(駄洒落ではない)(シエスタだったのかしら^^;).というわけで失意の中でとぼとぼ歩く.雨も降ってきた.あーあ,なんて言い訳しようかなぁー...しょうがない,なんとかローマで敵をとろう!(誰の?^^;)と決意.

決意したら腹が減った.そうだ,ZA-ZAに行かねば.皮のにおいが立ちこめるmercato centrale(中央市場)を通り抜けて行く.ここでも”ヘイ,ジャポーネ! なんか買ってかねぇーかい.ひゃぁーっひゃっひゃ!! みたいなことを言われ(たと思うのだが^^;)てからかわれた.この市場のすぐそばにあることは昨日のうちに踏査済みだ.余裕だぜ.入り口まで来たが,一人で入るのはやっぱちょっと勇気がいる.でもここは男,勝負にでた.(んな大袈裟な^^;).
入ってみると以外にカジュアルだ.高倉健よろしく”なーんだ,簡単じゃねぇーかぁ!”.落ち着いて,基本中の基本のポモドーロスパゲティと,これもこの店自慢のトリッパ(牛の胃袋トマトソース煮込み)をそれぞれmezzo(1/2)でオーダーする.もちろん”ペルファボーレ”は忘れちゃイケナイ.
時に,3時半ころだったかなぁー.空いてる時間帯だったからよかった.隣にいたカップルとおぼしき二人組みの会話をなんとなく聞いてしまった.そう,英語でしゃべってたからなのだ.^^;どうやら就職がどうしたこうしたとかたくさん金を稼ぎたいならマスコミがほにゃららだ..とかいうなんか全然色っぽくない話題だった.
まずスパゲッティが来てぱくぱく食べた.ただのなんの変哲もないポモドーロなのに..うまいっ!.続いてトリッパ.付け合わせの堅いパンとともに食す.うまいっ!.注文したのはこれだけだったが,ずいぶんと満足した.ここもまた行かねばなるまい.ここはフィレンツェに行く予定のある人は行くと良いと思う.教えてくれて,グラッチェ>シェフ・シバヤマ.

さて,腹も膨れた.列車は17:01発のrapidだ.もう少し時間があるから歩こう.ローマで晩飯だから少し腹減らさないと.とぶつぶつ言いながら歩く.このときはサンタ・クローチェ広場に向かっていることはなんとなくはわかっていたけど別に何も目的はなかった.「あ,そうだ.vivoli(ジェラート屋)はこの辺のはずだ.」ってんでそこに行ってみる.あったー)きゃっきゃっ!^O^/)ってんで,本日二本目のジェラートでした.おいしーー!!.きゃっきゃっ!^O^/

ぼちぼちフィレンツェともお別れしてローマへ戻らねばならない.名残惜しい.もっと周辺部も行きたかった.そうか,また来ればいいんだ.”なーんだ,簡単じゃねぇーかぁ!”と独り言を言いながら駅へ向かって歩き始める.

駅について駅前広場の階段の上からフィレンツェに”グラッチェ”と言い,駅構内に入る.ホテルで教えてもらった列車に乗るべく,ホームで待つ.待つ.待つ.定刻だ.いやな予感もしたのだが,その予感はあたってしまった.

来ない.慌てて電光掲示板を見に行く. 「rit 1」...そうか,,ritといえば,リタルダンド.といえば,ゆっくりと.あー,音楽やっててよかった^^;.1時間遅れるんだ.なんて喜んではいられない.博士と待ちあわせしてたのだ.
しょうがないので違う列車をさがす.結局乗ったのは3時間もおくれてフィレンツェに入ったテルミニ行きの列車だった.しっかりしろ>イタリア国鉄.

結局待ち合わせの時間に40分遅れでテルミニ着.メシ食いにいくってんで3つ候補があったが,ここでもてつ氏推薦のSpagnaのスペイン広場の隣,”Rampa”というお店.

オーダを取るときは「おやまあー日本人の二人連れ,ようこそ.スパゲッティにしますか? ポモドーロ,ボンゴレ,ペスカトーレ,ペペロンチーネ,カルボナーラ..どれにしましょうかぁ? 」と完全に”日本人扱いモード”に入っていた.博士,ちょっとカチンときたらしい.^^;

いや,でも,さすがにおいしかったっす.ゴルゴンゾーラのニョッキと,モツァレラ+トマト+バジルのシンプルなスパゲッティ.
なんか,今までちょっと誤解があったように思うのだ.自分でつくるときは結構ペペロンチーニを効かせていたけど,実はそれほど辛くしない.ほんの1,2粒でいいかもしれない.それとやっぱ”ゆで方”アルデンテとはよく言うが,かなり微妙だなぁと.というか絶妙だなぁと.自分でやるときは(まぁ,もっとも,好きなようにやりゃいいんだけど),”固くしすぎ”(ゆで足り無い状態)だったかもしれない.それを良しとしていた感がある.それが好きなんだから別にいいんだけどね.^^;
2ndピアットはエビのオリーブオイルソテーと,イカのソテー.おもいっきり柑橘系の果物を絞って食らう.オリーブオイルとの相性はぐーです.特にイカがすっごいおいしかったんだよなぁ,おいらは.コツはなんだろうなぁ...と思いめぐらすのもたのしからんや!

移動もあって疲れていたので食ったらすかさずタクシーでアパートへ向かった.

あしたこそは,フィレンツェのかたきをローマではたすべく楽器屋にいくことにしよう.^^;

その前に,哲也氏指南のイタリア語辞典を復習せねば.^^;

to be continued...