ずる休み  遺伝子をめぐる冒険


 進化論の基本思想が大きく変化しようとしています。競争から、共生に。

 生命は、共同体です。生命だけではなく、すべての環境は共同体なのです。

 太陽、月、夜空の星々、地球、地球の地形、地球の空気、地球のすべての生命。それらは絡まり、一個の生命体に影響を与え、一個の生命体から、影響されます。(もちろん、太陽や、遠くの恒星にまで影響を与えるのは、無理でしょうが。)

 この地球が一つの生命共同体であるという考え方をガイア仮説と呼びます。

 生命自体が環境を変え、環境を保っているのです。

 この精緻に絡まった共同体のバランスを崩すことは困難です。環境は環境を破壊するものを嫌うのです。環境を破壊すれば結果的に自らが破壊されることになりかねません。環境の一部として存在するのです。 

 環境とは、すべての共同体であり、排他的で保守的なシステムなのです。その極端な例が細胞共生説でしょう。

 原生生物は多種の共生によって進化したというこの説は認められたと言ってよいでしょう。

 二種の言語の共生でクレオール言語が生まれたように、最初の大進化も共生によるものではないでしょうか。いまでも、多くの生物が体内の他の生物と共生を続けています。人間でもビフィズス菌とかで有名になってしまいましたが、その体内の他の生物がいなければ生存できない種も数多くいます。もはや、進化にとっては同一の生物と解釈してもかまわないかもしれません。

 ミトコンドリアや葉緑体は太古の昔に別な生物を吸収してできたものだということは、もはや常識になってしまいました。細胞の中の組織なのに、いまだに独自のミトコンドリアDNAを持っています。このミトコンドリアのDNAは当然ですが母親の細胞質から受け継がれますから、母系の系統を調べるのに役立つわけです。このミトコンドリアDNAの人類の最初とされる太古の女性が発見され、ミトコンドリア・イブと呼ばれました。たぶん、パラサイト・イブとかいうSFだかホラーだかの小説もこれを元にしてかかれたのでしょう。

 このサイトでは脊椎動物以降を主な対象としているので、生命の誕生やその付近には言及しませんが、生命は連続しているのですから、その進化の性質も現在の生物に継承されています。

 つまり、複数の種は同一の環境に生存する場合には同一の種と同じように影響し同時に進化しているのです。生命共同体といものが存在するのです。たとえDNAが異なっても影響しあう種は進化にとっては同種として同時に進化するのです。