キリスト教入門

 

人生の目的は何ですか
人は何のために生きるべきでしょうか



 大切な問題ですね。人生の目的を明確に知って生きるのと、そうでないのとでは、確かに大きな違いがあります。
 人生の目的を知るには、まず、「生命は神から来たもの」という認識を持つことが大切です。
 生命は、決して偶然の積み重ねによっては生じません。私たち人間は偶然の産物ではなく、創造者なる神様によって造られ、また生かされている者なのです。
 もし、人間が偶然の産物ならば、人生に目的はないでしょう。しかし私たちには、造られた目的と、生かされている意味があります。
 では人生の目的、つまり人間の創造目的は何でしょうか。
 人間の創造目的は、神様と、人間自身が共に幸福になることにあります。次のたとえは、そのことをわかりやすく示してくれるでしょう。
 ある家庭に子どもたちが生まれ、その子たちは健(すこ)やかに成長していきました。そして、彼らが愛と勇気において優れた人物となり、充実した人生をおくるさまを見て、両親は心から、その子たちを生んだことを誇りに思いました。
 その子たちの成長や行ないは、両親の楽しみとなったのです。
 一方、子どもたちは、深い愛と知恵をもって育ててくれた自分たちの親を、誇りに思うようになりました。
 それは、自分たちの体に流れているものは親から受け継いだものだ、という自覚を彼らが持つようになったからです。
 このように、"親が子を喜び、子が親を喜ぶ"という関係は、家庭に最も幸福な状況をつくり出します。
 神が人間を創造されたときの目的も、まさにこれに似ていました。すなわち、神は人間を創造して、人間によってご自身が喜びを受けることを、望まれました。そしてさらに、人間が神によって喜びを受けることを望まれたのです。
 神にとって人間は「子」のようであり、人間にとって神は「親」のようなかたなのです。
 この"神が人を喜び、人が神を喜ぶ"という相互の喜び、相互の幸福こそ、神が人間を創造された目的でした。人間の創造目的は、神ご自身の幸福と、人間自身の幸福の双方をめざしていたのです。
 ですから私たちは、まず、天地の造り主である神様が私たちの本当の「お父様」であり、私たちはその「子たち」であるという自覚を、はっきり持つことが大切です。私たちは、偉大な神様の子どもたちなのです。
 あるクリスチャンが、小学生の子どもたちと、船に乗って湾を遊覧していました。まわりには、美しい島々と、澄んだ青い海が広がっていました。彼が子どもたちに、
 「ねえ、みんな。この海も島も、すべて僕のお父さんのものなんだよ」
 と言うと、みんな目を丸くして、「えっ、ホントー?」「ウッソー」と口々に言うのです。そこで、
 「いや、ほんとだよ。この素晴らしい大自然は、天におられる私たちの父なる神様のものなんだ。僕や君たちのお父様のものなんだよ」
 と言うと、みなとても感慨(かんがい)深そうに喜ぶのでした。私たちも、そのように単純に、神様をお父様として受け入れることが大切ではないでしょうか。


「ねえ、みんな。この海も島も、すべて僕のお父さんのものなんだよ」。

 聖書は、
 「主(神)をおのれの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる」(詩篇37:4)
 と教えています。
 神様は私たちの親ですから、私たちが何を必要としているか、また私たちにとって何が良いのかを、私たち以上によく知っておられます。そして、つねに私たちにとっての最善をなしてくださるのです。
 また、私たちは神様の教えをよく学び、神様に喜ばれる人となれるよう努力することが大切です。
 天の父なる神様は、イエス・キリスト様について、
 「これはわたしの愛する子である。これに聞け」(マコ9:7)
 と言われました。ですから私たちは、十字架上で罪の贖いをなして下さったイエス様を、救い主として信じ、その教えに聞き従っていくべきです。
 イエス様は私たちに、
 「あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行ないを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい(マタ5:16)
 と教えられました。また、聖書は、
 「あなたがたは、 (キリストの血潮という) 代価を払って、買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現わしなさい(Tコリ6:20)
 と述べています。つまり、自分の身によって、神とキリストがあがめられていくような生き方をせよと、教えられているのです。
 もちろんそれは、自分自身の力だけではできませんが、イエス様があなたの内にあって、助けてくださるのです。
 このようにして、あなたは神によって喜び、神はあなたによって喜ばれるでしょう。それが、あなたの人生の目的です。
 人生の目的は幸福であり、その幸福は、神と共に生きることにあるのです。


                                                                                               久保有政著  

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