第1週

 

授業計画と授業概要 宇宙と地球

46億年規模で地球環境と生物多様性を考える

 

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○概要

ライフサイエンス・アースサイエンスは、生命科学と地球科学を融合させた科目です。この授業では、生命科学と地球科学の基礎分野だけでなく、両者の融合や、一般社会への応用などについて学びます。

 

生物とは何か? この手の答えは学校で習わなくても誰でも知っています。自分は生物だし、タンポポやイヌは生物です。岩石やロボットが生物でないことも知っています。ところが、生物の共通する特徴は何か、と質問すると、様々な答えが帰ってきます。生物や生死を厳密に説明しようとすると、いろんな例外が出てきて厄介なことにも気がつきます。人工生命や巨大なウイルスなど、生物と非生物の境界はあいまいで、人工妊娠中絶や脳死、尊厳死では生死の境界が問題になります。残念ながら、生物や生死に対し、誰もが納得するような明解な定義はないのです。

 

今のところ地球以外の宇宙空間に生物が存在するとの確たる証拠は見つかっていません。広い宇宙に地球外生物が存在する可能性は高いでしょう。地球外にどんな特徴をもった生物がいるかを妄想するのは楽しいのですが、残念ながらそれを科学的に予測するのは難しい。

従って、生物学で扱う対象は地球上の生物に限られます。物理学や化学で習ういろんな法則や力などは、地球上だけでなく広く宇宙全体で説明できます。生物学の対象は、今のところ地球に限られますが、物理学や化学で学ぶ事柄は生物学の中でも当てはまります。また多様な生物種は地球で誕生し地球に生息していることから、生物学は高校地学で扱う地球の歴史や地球環境の話題にも大きく関わっています。

 

前 半

 生物の共通性と多様性         (生物 第1章)

 共通性 生物の共通する特徴    (生物 第2、3,5章)

 多様性 生物進化             (生物 第9章)

 地球科学の基礎              (地学 第2章)

 地球の変遷 大陸             (地学 第4章)

 地球の歴史と生物進化         (地学 第3章、生物 第9章)

 

後 半

 地球環境と生態系、バイオーム (生物 第10章、第4章)

 エネルギーと環境             (生物 第4章、地学 第4章)

 ヒトのシステム               (生物 第4章)

 地球の変遷 大気 海洋       (地学 第4章)

 

この授業では地球上の生物と地球の科学を扱います。

地球外の生物は今のところ未発見のため、地球上の生物を扱います。

地学は地球科学の他に惑星や宇宙も扱いますが、この授業では基本的には地球外の天体は扱わず、地球の科学に限定します。

前半は「生物の共通性と多様性」をキーワードに、地球上の生物の共通する特徴を学び、多様性が生じた生物進化の仕組みを学びます。さらに、地球科学の基礎として、地球そのものの変遷や現状を学びます。地球の歴史と生物の進化とを46億年規模で統合的に学びます。

後半は、前半の知見を踏まえて、生態系やバイオーム、気象や気候をキーワードに環境と人間社会との関係を学びます。

 

高等学校の理科には 物理 化学 生物 地学 の4科目あります。呉高専の一般科目の中に生物学と地学がありません。

「ライフサイエンス・アースサイエンス」は生物と地学が融合した科目です。なぜこのような基礎科目(一般科目)が最終学年の科目になったかは不明です。

この科目は専門科目ではないため、役に立つ授業として自由に進めたい。

 

 

授業の進め方

授業はPowerPointを使い、板書はしません。

授業内容は専用サイトにアップします。

授業中、パソコン、タブレットなどの使用を許可します。

 ノート代わりに使って下さい。

 

 

課題(第1週)

「生物と生物以外のモノとの違いは何か?」

(ヒトに限定しない! すべての生物で考察すること)

科学的かつ論理的な考察を!

 

出席と課題用ノートについて

各自に「課題用ノート」を1冊配布します。

  自分の出席番号のノートを受け取ること。

この課題用ノートに課題を書いてもらいます。

課題は毎授業時に出します。

課題用ノートの内容は成績に加味します。

 

課題用ノートの表紙に氏名を大きく記入してください。

見開きの左ページの左上に「年月日」、右ページの右上に

講義週を記入してください。

毎回見開きで課題を記入してもらいます。

 

教科書について

教科書は2冊です。

芦田嘉之著「カラー図解でわかる高校生物超入門」(SBクリエイティブ)

西村祐二郎・杉山直監修「スクエア最新図説地学」(第一学習社)

 

生物系は自著の「カラー図解でわかる高校生物超入門」です。

地学系は第一学習社の図説です。

授業では、2冊の図を使いながら説明します。

 

試験について

試験は中間試験と前期末試験の2回です。

2回の定期試験(各40%)+課題等のレポート(20%)=100

により総合評価します。  60%以上を合格とします。

「課題等のレポート」には、課題用ノートの成績。

 

 

46億年規模で地球環境と生物多様性を考える

宇宙は約140億年前にビッグバンにより誕生したといわれています。

それ以来、すべての銀河や恒星は変化し続けています。

我々の太陽はいずれ赤色巨星となり、地球の軌道より大きくなってから白色矮星になると考えられています。

宇宙には数百億の銀河があるといわれています。

我々の太陽系はその中の1つの銀河にあります。

我々の銀河の中の太陽はありふれた恒星です。

地球は太陽系の中の1つの惑星です。

今のところ、生命が確認されているのは地球だけです。

この授業では、地球の特徴と地球上の生物を取り上げます。

 

この授業では地球規模で生物多様性や地球環境を扱います。

現在の地球環境だけでなく、46億年の地球の歴史(変化)、38億年の生物の歴史(変化)を念頭におきながら、総合的に学んでいきます。

現在生きている地球上のすべての生物は、生命として38億歳で、すべて親戚です。

38億年分の全生物みな親戚なのです。

 

現在地球上に生息するすべての生物は進化のなれの果てです。

現在地球上に生息するすべての生物は進化の頂点にいます。

生物に高等とか下等とかいった階層はありません。

 

 

課題の考え方

モノゴトを「モノ」と「コト」に分解すると理解しやすい。

「モノ」とは構造をもつ物質で、「コト」とは物質の性質、機能、働きなどを指します。

例えば脳の場合、脳というモノがあり、脳の働きとして意識や心があります。

 

モノである物質の性質や機能がコトであるため、モノは「ある」か「ない」かのいずれかです(哲学的な存在論は無視します)。

モノは構造をもち、必ず変化します。

モノが変化すると、それにともなってコトも必ず変化します。

コトはモノなしで存在しません。

コトは単独で変化しません。

 

本授業の中心テーマである「共通性と多様性」をモノゴトで説明するとどうなるか考えてみましょう?

 

 

○課題に対する補足

生物と無生物はモノです。生と死はコトといえます。

 

過去の多くの解答で生物をヒトに限定している

生物や無生物の特徴を述べるのであれば、ヒトに限らず生物全体を見渡して議論して欲しい。以下、その例の数々。

 

生物は自分の考えで動くことができる

生物は意志をもっている

生物は脳をもっている 生物は感情がある

生物は自ら考え、行動することができる

死 心臓停止、心拍停止、瞳孔拡大

「自分の考え」や「意志」というからには意識がある生物に限定している考えといえます。しかし、ヒト以外の生物に意識があるかどうかを調べるのは難しい。痛みを感じるかどうかを調べるのは比較的容易で、動物のうちどの仲間が痛みを感じるかどうかの境界設定問題は1つのテーマになっています。

単細胞生物である大腸菌に意識や考えがあるのでしょうか?

 

生物は息をしている? 生物は呼吸をしている

「息」というのを肺呼吸に限定しているのであれば、肺呼吸をしない生物は除かれてしまいます。肺呼吸をする生物に限定するなら、生物は呼吸をするもので、呼吸をしている状態が生、呼吸が止まると死、という分類はある意味成り立ちます。

実は「呼吸」という現象はいわゆる肺呼吸だけはありません。細胞や単細胞の生物も呼吸をしています。

呼吸は、外界から酸素を取り入れ、発生する体内の二酸化炭素の排出する過程です。ヒトでは肺が、魚ではえらが呼吸器官となります。このような呼吸を外呼吸といい、ガス交換をともないます。

これに対し、内呼吸あるいは細胞呼吸というのがあます。細胞呼吸は酸素から二酸化炭素が生じる過程です。もう少し詳しく見ると、呼吸は、グルコースのような有機物と酸素から二酸化炭素と水などの無機物とATPが生じる過程です。有機物と酸素から無機物とエネルギーが生じるわけです。

 

生物は生命のあるもの、無生物は生命のないもの

生物は生命を宿している、無生物は生命を宿していない

生物には命がある

一見まともに見える考えですが、ではその「生命」とは何でしょうか? その「生命」はモノでしょうか? コトでしょうか?

 

生物は生殖機能をもっている、無生物は生殖機能をもっていない

「生殖機能」をどのように定義するかによります。

 

生物は温度をもっている、無生物は温度をもっていない

生物は自力で熱を発することができる、とも書かれています。「温度」というのは物理量の1つで運動にともなうエネルギーに近い。温度をもっていないかもっているかを厳密にいうなら、絶対零度の状態かそうでないかになる。

 

生物は自らの力で変化するもの、無生物は他者の力で変化するモノ

ここでは「力」とい物理量が出てきました。

 

生には心臓と肺の働きが不可欠

心臓や肺をもつ生物はいいとして、それらをもたない生物の生死はどうやって説明するのか?

 

生物にはコトがあるが無為生物にはコトがない

冒頭にあげたモノゴトの考え方であれば、すべての物質モノにはコトがあります。物質の構造が変化すれば、その変化にともなってコトも変化します。無生物にも当然コトはあります。問題は生物と無生物のコトの違いです。生物はどのようなコトを醸し出しているのでしょう?

 

モノとコトから(もうちょっと)

生物と無生物は「モノ」という観点で見れば双方とも「モノ」であり、違いはない。しかし、「生きている」のは生物であり、無生物は「死んでいる」。「生死」という「コト」という観点で見れば、生物と無生物は違った「モノ」である。

 

生物とは、細胞で構成されている「モノ」であって、その細胞一つ一つに自分が存在するための機能あるいは子孫を残すための機能「コト」をもっている。生物は多種多様で、そのため「モノ」が変化すると、その生物の機能「コト」も一部変化する。

無生物とはそれを構成している「モノ」が自分が存在するための機能をmおっていなかったり子孫を残すための機能をもっていなかったりする。

 

 

第2週 表紙

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芦田嘉之 ashida@msi.biglobe.ne.jp

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