第3週

 

生体のエネルギーと代謝

代謝

 

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概要

生物の特徴として代謝があります。代謝とは細胞内外で起こる化学反応です。代謝の基本となる物質やエネルギー代謝について学びます。

 

 

授業内容(第3週)

生物の3大特徴のうち、代謝について学びます。

 

ヒトは呼吸が止まると死ぬ。また、心臓が止まると死ぬ。なぜだろう?

酸素は何をしているのだろう?

なぜ食事が必要なのだろう?

酸素は何をしている?

 

エネルギー源  グルコースなど

エネルギー物質 ATP

 

 

○ATPの構造と役割

生物のエネルギー物質はATPです。

ATPの高エネルギー結合が生物の代謝反応のエネルギーとして使われます。

 

常時蓄えられているATPは、補給がなければ何分で使い切るでしょう?

1日に合成されるATPは 何グラム?

 

○割恒常性の維持

体温を一定に保つためには、電気ポットや炊飯器など温度を一定に保っている器具についているサーモスタットのような装置が必要のはずです。

生体は体温の維持だけでなく、様々な活動や成長などのためにも多くの物質を必要としています。

そのため、生物は常に物質の合成と分解が起こっており、生体の物質は絶えず置き換わっています。

このとき、エネルギーの出入りも起こっています。このように生体で起こっている一連の化学反応を代謝と言います。

 

○生体のエネルギー 酵素

生体中では先に述べた代謝が起こっています。

代謝は化学反応ですから、原子同士の結合が切れたり新たな結合ができたりします。基本的には外部からエネルギーを投入しないと反応は進行しません。

生体内での化学反応には高い熱エネルギーを利用することはできませんから、効率的な触媒が必要になります。

 

それを酵素が担っています。

 

酵素(触媒)の助けにより、生物は環境から取り入れた物質を細胞などが別の物質に変えて利用しています。

この過程が同化です。

逆に、生物は合成した物質や取り入れた物質を分解し、分解に伴って発生するエネルギーを作ります。

これが異化です。同化の時はエネルギーを利用します。

 

例えば、ヒトの場合、食べたタンパク質を異化により分解してエネルギーを放出します。そのエネルギーの一部を使って分解で得た物質や摂食により得た物質を使って同化によりタンパク質などの物質を合成します。

 

生体内の化学反応でも質量保存の法則やエネルギー保存の法則が成り立ちます。

 

DNAやタンパク質の合成のような、複雑な高分子量の物質を作るためには、多くのエネルギーも必要になります。

そのエネルギー物質として、ATPが使われます。

ATPは生体化学エネルギーであり、エネルギー通貨とも呼ばれています。

 

○ATPの構造と役割

ATPはなぜエネルギー通貨になり得るかと言うと、ATPの3つのリン酸をつないでいる2つの結合が非常に大きなエネルギーを持っているからです。このエネルギーは、リン酸同士の反発が強いことから、それをつなぎ止めるために必要なエネルギーでもあります。

ATPの2つのリン酸同士の結合のうち、外側の結合が切れると、その結合に使われていたエネルギーは放出されます。

この時、ATPはアデノシン二リン酸であるADPとリン酸になります。逆にATPはADPとリン酸から外から与えられたエネルギーを吸収して作られます。

 

ATPは呼吸や植物の光合成の時の光エネルギーを利用して作られます。

このATPのエネルギーを利用して、つまり、ATPがADPとリン酸に分解される反応と一緒になって、植物の光合成時に有機物を合成したり、様々な代謝反応が起こったりしています。

 

○呼吸 ATPの生産

呼吸は、外界から酸素を取り入れ、発生する体内の二酸化炭素の排出する過程です。ヒトでは肺が、魚ではえらが呼吸器官となります。このような呼吸を外呼吸といい、ガス交換を伴います。

これに対し、内呼吸あるいは細胞呼吸と言うのがあり、細胞呼吸は異化やそれに伴うエネルギー生産・ATP合成があります。

 

細胞呼吸(以下、呼吸)は酸素から二酸化炭素が生じる過程です。

もう少し詳しく見ると、呼吸は、グルコースのような有機物と酸素から二酸化炭素と水などの無機物とATPが生じる過程です。

有機物と酸素から無機物とエネルギーが生じるわけです。

 

呼吸に使われる主要有機物はグルコースで、他に、呼吸は脂肪やタンパク質(アミノ酸)も使います。

 

○化学反応の本質

化学反応は、原子と原子がつながってできている分子のうち、どれかの結合の手が切れ、あらたに原子や原子団と結合の手を結ぶことです。この時、基本的にはある原子が別の原子になることはありません。

化学反応は結合の手で結ばれる原子の組み合わせが変わるだけです。

生体を作っている原子や分子もこの化学の法則に従います。

生物特有の原子や結合の手があるわけではなく、代謝といえば普通の化学反応が起こるだけです。

 

○なぜ食事が必要なのだろう?

代謝反応で多くの物質が分解されたり合成されたりしますが、例えば合成するときは、それに必要な原子があらかじめ細胞などに準備されていないと起こりません。

ある原子が何もないところから突然現れることはありませんし、基本的にはある原子が別の原子に変化することもありません。

 

例えば1日に(400グラム)のタンパク質が合成されているとすると、その合成に必要なアミノ酸をどこかから調達しないといけません。

細胞自身の代謝でアミノ酸を合成しており、食事から得たタンパク質の分解によってもアミノ酸が調達できます(70グラム)。

それだけでなく、古くなったタンパク質が分解され、その分解で生じたアミノ酸も再利用されています。

 

ヒトの必須アミノ酸は自前で合成できませんから食事などで調達しないといけませんが、それ以外にも自分自身の体にあるタンパク質に含まれる必須アミノ酸も合成に使われています。

 

○食べた食物の消化と吸収

ヒトの場合、三大栄養素であるタンパク)、糖質、脂肪から消化作用によりアミノ酸、グルコース、脂肪酸とグリセリン(モノグリセリド)が合成され、いずれも呼吸の原料となり、ミトコンドリアにおけるATP合成に使われます。

 

アミノ酸は代謝に使われるだけでなく、過剰なアミノ酸は酸素を使った呼吸を通じてエネルギー通貨であるATPの合成にも使われ、エネルギー源にもなります。

 

脂肪酸やグリセリン(モノグリセリド)もATPが生じる呼吸に使われ、エネルギー源にもなります。

 

私たちは生物を食べて生きているわけですが、食べた生体成分がそのまま吸収されるわけではなく、細かく分解された後、利用(吸収)されます。

この分解過程や吸収過程はタンパク質の一種である酵素などにより巧みに調節されています。

 

食べ物に含まれているタンパク質や多糖類などの栄養素は、口、胃、小腸などの消化器官を通過する過程で、様々な消化酵素の助けにより、調節されながら順次分解されていきます。

異化が起こっているわけです。

 

ヒトが食べたタンパク質は胃液の強酸性条件下で形が変わり、胃に含まれるペプシンというタンパク質分解酵素によって大まかに分解されます。

部分分解されたタンパク質は小腸へ行き、膵臓から分泌されるトリプシンやペプチダーゼなどのタンパク質分解酵素により、最終的にはほぼすべてのペプチド結合が切られ、食べたタンパク質のほとんどはアミノ酸にまで分解されます。

 

分解により生じたアミノ酸は、小腸の表面にある細胞から吸収され、血管を通って各所の細胞にまで運ばれ、新たなタンパク質合成や種々の代謝に利用されます。

同化です。

 

○ATPの役割

ATPは細胞内に常時蓄えられていますが、1日に消費する量の千分の1程度しかありません。

酸素を使って高速に効率よくATPを作り続けないといけません。

酸素の供給が絶たれるとATPを効率よく作ることができず、あらゆる代謝や運動などがエネルギー不足となり、死んでしまいます。

 

 

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芦田嘉之 ashida@msi.biglobe.ne.jp

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