第6週

 

地球46億年の歴史

地球上で多様な生物がどのようにして生じたのか?

 

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概要

今回は、これまでの課題を解説しつつ、ここまでの講義内容を総合的にまとめます。

特に大陸の移動や大量絶滅と生物進化の関係を詳しく見ていきます。

 

課題(第6週)

「生物進化と5大大量絶滅に関与した地球活動は何か?

上記の活動のエネルギー源(力)は何か?」

 

授業内容(第6週)

○地質時代と生物進化

地球規模の変動と生物進化

○5大大量絶滅

 

 

○地質時代と生物進化

地質時代の区分

 岩石の時代、地層の順序、生物進化・大量絶滅(化石)

 

相対年代 代、紀、世

絶対年代 現在からさかのぼって

 

相対年代:冥王代 始生代 原生代 (先カンブリア時代)

絶対年代:46-40   40-25   25-5.41 (億年)

 

相対年代:古生代    中生代    新生代

絶対年代:5.41-2.52  2.52-0.66  0.66-現在 (億年)

 

相対年代:古第三紀 新第三紀  第四紀 

絶対年代:66-23     23-2.6    2.6-現在 (百万年)

 

相対年代:   更新世 完新世

絶対年代:2,588,000-11,700-現在

 

化石の形成

生物が進化したとの証拠はいくつかあります。すでに絶滅した生物でも化石として地層中に残っています。

生物進化は地層などの分析から化石となった生物の年代を推測し、化石の形態などを現生の生物と比較することで推測できます。

 

 

約6億年前のエディアカラ生物群

原生代の後期、先カンブリア時代末期の生物。

シアノバクテリアのような光合成細菌

真核生物も出現 生物の大型化

きっかけ:全球凍結(それ以前:縞状鉄鉱層)

 

古生代: カンブリア紀大爆発

カンブリア紀には現在の動物界の中の34種類ある門にあたる生物がすべて出そろったとされています(エディアカラ生物群は4門)。

平成27年のNHK特集「生命大躍進」はカンブリア爆発がテーマの1つになっています。

http://www.nhk.or.jp/seimei/

夏から秋にかけて国立科学博物館で「生命大躍進」の特別展が開かれます。

http://www.seimei-ten.jp/

 

古生代: 5 4100 万年前から2 5200 万年前まで

5 4100 万年前から2 5200 万年前まで

カンブリア紀 オルドビス紀 シルル紀 デボン紀 石炭紀 ペルム紀

カンブリア大爆発 陸上への進出

きっかけ:オゾン層形成、大陸移動

 

中生代 約25200万年前から約6600万年前まで

中生代:約25200万年前から約6600万年前まで

三畳紀 ジュラ紀 白亜紀

代表的生物 海 アンモナイト  陸 恐竜 被子植物

きっかけ:温暖化 海水準上昇

 

新生代 約6600 万年前から現在

新生代:約6600 万年前から現在まで

古第三紀 新第三紀 第四紀

代表的生物 哺乳類  乾燥した低地  草原

きっかけ:寒冷化

 

 

○地球規模の変動と生物進化

地球の変化と生物進化

地球上の生物の歴史を見るとき、地球そのものの歴史も考慮する必要があります。

生命誕生の頃、大量の隕石が地球に衝突し灼熱状態であった地球の地下で化学進化が起こったと考えられています。

その後、生命の萌芽は海へ進出します。

 

プレートテクトニクスと生物進化

プレートの動きが生命の起源や生物の躍進的な進化に大きな影響を与えています。

海嶺は海洋で新たに地殻が生まれています。この部分では海水が熱水となり、化学反応が起きやすい。

海洋の地殻の成分が熱水で溶け、還元的な物質の濃度が部分的に高い状態ができたと考えられます。

酸素がなく、光も届きにくい海底で、高温な状態で生命が誕生したと考えられています。

 

大気の変動

大気環境も激変しています。生命が誕生した頃の大気は酸素がほとんどなく、二酸化炭素は今の千倍近くあったと推定されています。

原始の大気は二酸化炭素を中心とした大気で、原始の海洋が誕生するにつれて、大気中の二酸化炭素は海洋に溶け込み始めました。

 

光合成細菌と大気の変動

27億年程前に光合成を行う生物シアノバクテリアなどが誕生し、大繁栄して以来、大気中の酸素濃度が上昇し始め、逆に二酸化炭素濃度がさらに下がっていきます。

 

大気の変動と縞状鉄鉱層

27億年から18億年前の地層には縞状の鉄鉱層が多く見られます。

これは光合成生物シアノバクテリアの出現により発生した酸素と海水中の鉄イオンによる酸化反応による沈殿でできたと考えられています。

 

地球の自転と1日の時間(省略)

地球の自転も今と同じだったわけではありません。

現在でも自転速度は遅くなっています。

たとえば、5億年前の1日は何時間だったでしょう?

 

オゾン層と生物進化

化学進化の過程で、ある程度の分裂や複製の仕組みができ上がり、同時に、太陽エネルギーを利用して有機物を作る光合成システムが誕生したと考えられています。

光合成により地球の大気に酸素が増え続け、オゾン層もでき、宇宙線などがある程度弱まってくると、呼吸によってエネルギーを得る細胞も誕生したと思われます。

 

単細胞生物から多細胞生物へ

1つの細胞で生きていた生物は、ある所から複数の細胞の塊として機能するようになり、多細胞で役割分担するような生きものも生まれ、子孫の残し方に多様性を生じながら、生物は陸上にも進出してきました。

 

大陸移動と生物進化

生命38億年の歴史の間、大陸だけを見てもでも激変しています。

過去にさかのぼれば、3億年前には現在の大陸はすべてパンゲアという超大陸に収束し、さらにさかのぼれば、数億年単位で大陸の分散、収束がくり返されています。収束した超大陸は、ゴンドワナ、ロディニア、ヌーナと言います。生命38億年の歴史の間、大陸だけを見てもでも激変しています。

 

大陸移動と生物進化

遠く離れた大陸でもよく似た化石種や生物種が見つかります。

大陸は移動しており、数億年前には1つの超大陸でした。

化石の分布と合わせて、これらのことが矛盾無く説明できます。

 

地磁気の逆転と全球凍結

大規模な火山活動による大きな気候変動の他、地磁気も逆転を含めて大きく変動しています。

この地磁気変動の観測などから、低緯度でも氷河に覆われていた時期があったことが見つかり、地球全体が氷河で覆われる全球凍結あったとされています。

全球凍結はヌーナ超大陸とロディニア超大陸の間に少なくとも2回(3回、4回という説もあり)起こったと推定されており、その間、真核生物と多細胞生物が出現しています

 

全球凍結と大気の変動と真核生物

最初の全球凍結が22億年程前に起こり、それが終わると酸素濃度が急激に上がり、酸素呼吸で効率よくエネルギー物質を作り出す真核生物が出現しています。

 

カンブリア爆発以降

最後の全球凍結を終え、ゴンドワナ超大陸がロディニア大陸から分離した後、カンブリア爆発が起こり、現在の動物の「門」の祖先が海中で誕生しています。

カンブリア紀には、大気中の酸素濃度が現在とほぼ同じレベルまで上がり、オゾン層の形成により宇宙からの有害な紫外線などが減少すると、海中の植物や動物は陸上へ出て大型化します。

 

地球の変化と生物の進化

全球凍結で多くの生物が影響を受けましたが、その激変を乗り越えることで単細胞だった生物が真核細胞となり、多細胞の大型生物へ進化しました。

ミトコンドリアを持つ真核生物は好気呼吸(酸素を使った呼吸)により効率よくATPを合成します。

ミトコンドリアを持たない原核生物は発酵を起こしていますが、呼吸に比べるとATP合成能力はかなり悪い。

度重なる大陸の移動で、大陸同士の衝突では巨大な山脈が形成され、その過程で肺や手を獲得しながら陸地へ進出しました。

 

プレートの運動と未来の日本列島

日本海溝での沈み込みと南太平洋の海嶺による広がりは均衡を保っています。ハワイのある太平洋が年間6cmの速さで日本の方に向かっています。

海嶺と海溝はいつまでも均衡を保っているわけではなく、やがて海嶺による広がりが弱まると予測されており、北アメリカプレートと太平洋プレートがユーラシアプレートに近づくとみられています。

日本近海では、フィリピン海プレートと太平洋プレートは日本列島の下に沈み込み続けています。

フィリピン海プレートとその南のオーストラリアプレートも北上を続けています。

太平洋が縮小し、北米と日本が合体するかもしれません。その時は大陸プレート対大陸プレートのため、大山脈が形成されることになります。

やがて太平洋がなくなり北アメリカ大陸が日本列島と衝突する時がきそうです。日本のあったところがユーラシア大陸とオーストラリア大陸と北アメリカ大陸に囲まれそうです。

億年の単位でいずれ1つの大陸(アマジア Amasia)に収束すると考えられています。

いまからおよそ2億5千万年後のことです。

 

氷河時代 気温と二酸化炭素濃度の変化 人類の進化

700万年ほど前、ヒトとチンパンジーの共通の祖先が分岐して以降、地球環境は氷期・間氷期で寒冷期・温暖期をくり返しており、人類は最後の氷期以降農耕と牧畜を開始しています。

気候の変動により、地表面は浸食や堆積などで常に変化しています。

生物はこのような地球の変動に適応しながらそれぞれの地域で進化し続けているのです。

第四紀は氷河時代でもあります。氷期と間氷期が(黄色の網掛け部分)が交互に現れます。

現在は間氷期。間氷期は1万年ほどで終わるため、そのうち寒冷化し、氷期が訪れると予測されています。

第四紀に繁栄した哺乳類は快適な環境を求めて移動しました。

氷期には海水は氷河となり、海面が200m近くも下がり、陸続きになる地域も増えました。

逆に間氷期には暖かくなって海面が上がりました。

 

 

○5大大量絶滅

生物進化と5大大量絶滅

地球上の生物は大量絶滅を5回経験しています。

これをビッグファイブ(5大大量絶滅)ということもあります。

 

古生代: オルドビス紀末、デボン紀後期、ペルム紀末

中生代: 三畳紀末、白亜紀末

 

生物の多様性は直線的に順調に増えたわけではなく、少なくとも5回の大量絶滅を経験しています。

直近の大量絶滅は6600万年程前で、恐竜などの大型生物が絶滅しました。

絶滅のたびに新しい生活空間が生まれ、新しい生物種が進出したと考えられています。

巨大噴火が原因となった大量絶滅では、酸素濃度が一時的に減少し、その激変期を生き延びた生物の中から哺乳類が誕生しています。

 

古生代の大量絶滅

海洋無酸素事変

古生代の3回の大量絶滅、すなわち、オルドビス紀末、デボン紀後期、ペルム紀末の大量絶滅は、いずれも海洋酸素濃度の低下が原因と考えられています。

オルドビス紀期にはロディニア超大陸の分裂が進み、激しい火山活動があって、広範囲な海洋無酸素事変が生じたと推定されています。

オルドビス紀末の絶滅を乗り越えると、シルル紀、デボン紀の間にアンモナイト類が出現し、魚類の時代と言われるほど魚類が繁栄しました。

しかし、デボン紀の後期には海洋生物の多くが絶滅しています。これは東ヨーロッパで大量のマグマが噴出した記録から海洋無酸素事変が原因と考えられています。

石炭紀からペルム紀にかけてはパンゲア超大陸が形成され、地球の寒冷化も起こっています。

 

大陸移動と生物進化

多様化した生物はパンゲア超大陸が分裂し始めた頃、最大規模の大量絶滅を経験します。それまで2度の大量絶滅を経験していますが、3度目で当時の9割以上の生物種が絶滅したと推測されています。

その後、少なくとも2回の大量絶滅を経験しています。

 

ペルム紀末には3回目で最大規模の大量絶滅が起こっています。25200万年前。

海洋生物種の96%が絶滅したと考えられています。

シベリア西部で最大規模の玄武岩の噴出があったと考えられています。

大規模な火山の噴火により、二酸化炭素濃度が上昇し、地球の温暖化が起こり、大規模な「海洋無酸素事変」が起こったと推定されています。

 

通常の火山の噴火と大量絶滅につながる火山の噴火との違いは何だろう?

 

白亜紀末の大量絶滅

白亜紀末の大量絶滅はメキシコのユカタン半島近くに落下した隕石の衝突がきっかけだと推定されています。

隕石の衝突でまき散らされた粉じんにより、太陽光が遮断され、光合成が極端に少なくなります。その結果、植物や植物プランクトンなどが減少し、それを捕食していた生物や、さらにその捕食生物などの個体数が減少し、恐竜などの多くの生物種が結果的に絶滅したと考えられています。

 

 

○地球システムとして生物進化を考える

かつて、地球上の生物が大量絶滅したことや、現在が6番目の大量絶滅期(人為的な)だと騒ぐことより、重要な事実があります。

大量絶滅が起こるたびに躍進的な進化が起こっている点です。

これまでの生物進化をたどっていくと、遺伝子頻度の変化や自然選択などで種分化が起こったことは間違いありません。しかし、ある時期にそれまで傍流であった生物群が主流になることが幾度かあり、この原因として大量絶滅が関わっている証拠が数多く見つかっています。

躍進的な進化は、絶滅によって生じた隙間を埋める形で起こっているのです。

大量絶滅時だけでなく、どの種も種分岐と絶滅を経験します。

地球環境は常に変化しており、ある環境に適応して進化した生物が、別の環境には不適応になるのは必然であり、どの種もいつまでも繁栄するわけではありません。

これは、住宅地にするために山林を切り開いて更地にしたり、既存の建物を破壊したりすることとも似ています。

地球規模で個体数も類似の生物種数も繁栄していたと思われる生物も、環境変化などにより、いとも簡単に絶滅した例は数多く見つかっています。

繁栄していたということは、その環境に適応していたからで、その環境が変われば、適応的でなくなるのは必然です。

適応度が高いほど滅びるのも早くなります。

ある繁栄種が滅びれば、類似の環境でマイナーだった生物種であっても、環境の変化に対応し、適応する種がいれば、あらたな繁栄種が生じることになります。

 

人間の活動により生物が絶滅し、あるいは交雑種が誕生することは、これらに積極的に関与することは論外であるが、これらを阻止しようとして介入することが、かえって悪い場合もあります。

絶滅は絶対悪ではありません。

このことを理解するためには、システムとして捉える視野が必要になります。

 

 

第7週 第5週 表紙

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芦田嘉之 ashida@msi.biglobe.ne.jp

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