3章 実験方法(冊子体テキストよりかなり詳しい)

3-1. 準備・試薬(冊子体テキストよりかなり詳しい)

 

3-1-1 試薬類

滅菌水、1000 ml1

蒸留水をオートクレーブ滅菌済、室温保存

 

1X TE50 ml、研究室、滅菌済

Proteinase K溶液およびPrimer溶液の希釈に使用、室温保存

10 mM Tris-HCl (pH 7.5), 1 mM EDTA (pH 8.0)

 

エタノール、95%、特級、ガロン瓶、1本、室温保存

 

エタノール、99.5% 特級、500 ml1本、室温保存

 

タンパク質分解酵素、Proteinase K solution、和光純薬・分子生物学用、162-227515 ml

20 mg/ml, 10 mM Tris-HCl (pH8.0), 1 mM CaCl2, 20% (v/v) Glycerol溶液

Tritirachium album 由来

使用前に1X TE50倍希釈して分注、4℃保存、冷凍不可

 

PCR試薬、2X GoTaq Green Master Mix、プロメガ、M7122100回分×2

Buffer, 400 μM dATP, 400 μM dGTP, 400 μM dCTP, 400 μM dTTP, 3 mM MgCl2, Taq DNA polymerase, blue dye, yellow dye, and sufficient density for direct loading onto agarose gel.

300 μl4本分注、冷凍保存

 

Primer溶液

4種、SIGMA GENOSYS、各50 μM, 10 mM Tris-HCl 0.1 mM EDTA (pH 8.0) 溶液

Forward primer;  5' - CAAATTACAGGGTCAACTGCT -3'       Tm=60.6℃ ○

Normal primer;   5' -   CCACACTCACAGTTTTCACTTC -3'    Tm=61.2℃ 

Mutant primer;   5' -   CCACACTCACAGTTTTCACTTT -3'    Tm=60.6℃ 

Mismatch primer; 5' - GGCCACACTCACAGTTTTCTCTT -3'     Tm=65.5℃ 

Primer4 μMになるように1X TEで希釈、各4本、冷凍保存

 

泳動用緩衝液、10X TAE Buffer (pH 8.3)、ナカライテスク、35430-611 L

400 mM Tris-acetate, 10 mM EDTA (pH 8.3)

1本分注、室温保存

 

Agarose LE(低電気浸透)電気泳動用 SP、ナカライテスク、01157-66100 g

2本分注、室温保存

 

DNA染色試薬、GelStar Nucleic Acid Stain、タカラバイオ、F0535250 μl×2in DMSO

2本分注、遮光、冷凍保存

使用上の注意

GelStarは、核酸と結合する性質上、変異原性の可能性のあるものとして取り扱う。

また、DMSOにより組織中に色素が浸透する恐れもあるので、手袋の使用が推奨されている。

 

DNA分子量マーカー、Loading Quick 50-bp DNA Ladder、東洋紡、DNA-133100 μg

10 mM Tris-HCl (pH 8.0), 5 mM NaCl, 5% Glycerol, 10 mM EDTA, 0.05% Bromophenol Blue 溶液、0.1 μg/μl

50, 100, 150, 200, 250, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800-bp DNA

1本分注、冷凍保存

 

DNA精製用キット、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemPromegaA9282250 Preps

Membrane Binding Solution

4.5 M Guanidine isothioscyanate, 0.5 M Potassium acetate (pH 5.0)

5本分注、室温保存

Membrane Wash Solution

10 mM Potassium acetate (pH 5.0), 80% Ethanol, 16.7 μM EDTA (pH 8.0)

5本分注、室温保存

Nuclease-Free滅菌水 5本分注、室温保存

SV Minicolumn、人数分 分注

Collection Tube、人数分 分注

 

制限酵素MboII 、タカラバイオ、1145A400 units 40 μl

10 mM Tris-HCl (pH 7.5), 100 mM KCl, 0.1 mM EDTA, 1 mM Dithiothreitol, 0.02% Bovine serum albumin, 50% Glycerol 溶液 10 units/μl

Moraxella bovis 由来

2本分注、冷凍保存

 

制限酵素用緩衝液、10X Buffer 、制限酵素に添付、1 ml

100 mM Tris-HCl (pH 7.5), 100 mM MgCl2, 10 mM Dithiothreitol 溶液

4本分注、冷凍保存

 

10X Gel-loading Buffer 、制限酵素に添付、1 ml

1% SDS, 50% Glycerol, 0.05% Bromophenol Blue 溶液

4本分注、室温保存

 

 

 

3-1-2 器具類

1) グループ配布用器具(2または3人用) 4セット

カゴ大、1

三角フラスコ、300 ml1

メスシリンダ、50 ml1

紙製チューブボックス、冷凍保存用、紙製、1

マイクロチューブ立て、1.5 ml0.5 mlチューブ用・室温用、紙製、人数分

96穴チューブラック、0.2 mlチューブ用・氷冷・冷凍保存用、1

マイクロチューブボート浮っきー、1.5 ml0.5 mlチューブ用・氷冷用、スポンジ製、1

タッパー(ふた付き)、ゲル洗浄用、1

 

 

 

 

滅菌カゴ、1

マイクロチューブ 0.2 ml (ラック入り)、滅菌済、1

マイクロチューブ 1.5 ml (ラック入り)、滅菌済、1

イエローチップ (ラック入り)、滅菌済、2

ブルーチップ (ラック入り)、滅菌済、1

はさみ、美容用、人数分

ピペットマン、Nichiryo 00-NLE-202-20 μl用、1

ピペットマン、Nichiryo 00-NLE-20020-200 μl用、1

ピペットマン、Nichiryo 00-NLE-1000100-1000 μl用、1

 

ポリビーカー、廃棄物用、1000 ml1

 

洗浄瓶、イオン交換水用、500 ml1

洗浄瓶、75%エタノール用(イオン交換水で希釈)、500 ml1

洗浄瓶、95%エタノール用、500 ml1

消毒用アルコール、健栄製薬、500 ml1

 

クラッシュアイス用クーラーボックス、ふた付き、1

 

電気泳動用カゴまたは箱、2

Mupid-2 plus 電気泳動槽、カバー付き、ADVANCE1

Mupid-2 plus パワーサプライ、1

(Mupid-2 電気泳動槽、カバー付き、ADVANCE1)

(Mupid-2 パワーサプライ、1)

ゲルメーカースタンド、1

ゲルメーカー用ゲルトレイ、1

ゲルメーカー用コーム、1

 

キムワイプ、1

ペーパータオル、1

 

2) 個人で準備

極細マジック

ピンセット 他

 

3) 共通の機器

PCR装置、プログラムテンプコントロールシステム、アステック、PC-708-02、1台

トランスイルミネータ、UVPWhite/UV Transilluminator, TMW-20, 302nm/White, 100V, 8W1

ヒートブロック中温用、TAITECHTB1

ヒートブロック高温用、YAMATOHF-211

マイクロチューブ用高速遠心機、エッペンドルフ、ミニスピン、2

8連式PCRチューブ用ミニ遠心機、LMSGMG-0601

ミニ遠心機、LMSMCF-23601

多目的微量遠心機、ハイテック、スイングマン、ATT-1011

0.2 ml0.5 ml1.5 mlチューブ用バケット各2

ボルテックスミキサー、VORTEX-GENIE 2 Mixer1

 

電子レンジ、MAX8402A61

電子レンジ用タッパー、1

キューブ型氷用クーラー、2

イオン交換水用タンク、10 L1

冷凍冷蔵庫(化学実験準備室)、東芝、GR-22T1

 

4) 研究室の機器

オートクレーブ装置(研究室)、1

 

5) 共通の器具・消耗品

1X TAE Buffer用保存ビン、500 ml1000 ml、各1

1X TAE Buffer用メスシリンダ、500 ml1

 

つま楊枝、滅菌済、1

ガーゼ付き絆創膏、滅菌済、2

エッペンドルフチューブ キャップロック、20

サランラップ、1

アルミホイル、1

ラテックス手袋、Diamond Grip Plus Sサイズ、100枚、1

ラテックス手袋、Diamond Grip Plus Mサイズ、100枚、1

ラテックス手袋、Diamond Grip Plus Lサイズ、100枚、1

 

バイオハザード用ゴミ袋、オートクレーブ袋、1

三角コーナーゴミ箱、1

三角コーナーゴミ箱用水切り袋、1

大学指定難燃用廃液タンク、1

可燃ゴミ箱(市指定赤ゴミ袋)、1

 

共通試薬用ラック

PCR試料用96穴チューブラック(ふた付き)、0.2 ml 96穴、2

マイクロチューブ立て、1.5 ml0.5 mlチューブ用・室温用、紙製、2

マイクロチューブボート浮っきー、1.5 ml0.5 mlチューブ用・氷冷用、スポンジ製、1

コロコロラック、15 ml50 mlチューブ用・室温用、紙製、4

 

6) ストック、予備

マイクロチューブ 0.2 ml1,000本、1

マイクロチューブ 0.5 ml500本、1

マイクロチューブ 1.5 ml500本、1

イエローチップ、1000本、2

ブルーチップ、250本、2

イエローチップ用ラック、2個(予備)

ブルーチップ用ラック、2個(予備)

クラッシュアイス用クーラーボックス、ふた付き、2個(予備)

 

 

 


3-2. 方 法(冊子体テキストよりかなり詳しい)

手を石鹸等でよく洗い、消毒用アルコールか75%エタノールで拭く。

実験台をエタノールと備え付けのキムタオルで拭く。

 

 

[参考] Nakamura, K. et al., Biochemistry and Molecular Biology International, 31, 439445 (1993)

PCR primerの設計や制限酵素実験などはこの文献を参考にした。

 

3-2-1 毛髪の準備とDNAの抽出

  1. 各自の側頭部より毛根を含む頭髪35本採取し、毛根部から約5 mmの部位で切断する。

毛髪はアルコールで拭いたはさみ、ピンセットを使ってキムワイプの上で調達する。

他人の試料(細胞、DNA)が混入しないよう、細心の注意を払う。沈黙。

整髪剤や染料を使用していない毛根部がある清潔な毛髪を使う。

整髪剤や染料を使用している毛髪は、つぎのPCR反応がうまくいかないことがある。

上記の毛髪を使いたいときは、キムワイプに染み込ました75%エタノールで洗浄する。

毛根部がしっかりと確認できるなら、眉毛などの頭髪以外の毛を使ってもよい。

 

  1. 切断した毛髪を配付されたProteinase K 0.4 mg/ml、タンパク質分解酵素)溶液入りの1.5 mlマイクロチューブに入れる。

ピンセットを反応溶液の中につけない。

毛根部分が溶液に浸っていることを視認する。

毛髪を滅菌済つま楊枝で反応溶液中に沈める。

 

  1. マイクロチューブをスピンダウンし、黄色のチューブキャップでチューブのふたをロックしてから、55℃のヒートブロック(3-1)で1時間インキュベートする。

スピンダウンは図3-2の説明参照。

 

 

<<反応中に本実験の解説をする>>

image003

 

 

  1. マイクロチューブを100℃のヒートブロック(3-1)に移し、10分間熱処理して、タンパク質分解酵素を失活させる。毛髪は完全溶解せずに残っているが、DNAは溶出している。

 

  1. マイクロチューブをクラッシュアイスにさして冷却し、DNA溶液として保存する。黄色のチューブキャップは元の場所に返却する。

チューブのふちやふたなどについている溶液を遠心機(3-2)3秒間遠心分離することでチューブの底に沈める(スピンダウン)

黄色のチューブキャップは外しておくこと。

 

  1.5 ml チューブのスピンダウン(図3-2

1.   対角線上に同じ重量の同型チューブをセットし、ふたを閉める。

2.   少し強めにふたを閉めると回転が始まる。

3.   3秒ほど遠心させ、ふたを持つ手をゆるめる。

4.  回転が完全に止まってからふたを開け、静かにチューブを取り出す。

image003

 

 

3-2-2 PCRPolymerase Chain Reaction)反応

Ø ピペットマンは正しく使用する(4-1. ピペットマンの使い方参照)

Ø ピペットマン操作中は沈黙を保つ。すべてのピペット操作で、新しいチップに交換する。

Ø ピペットマンは、滅菌カゴの中で保管する。使用するときだけ取り出し、使用後、すみやかに元の場所に戻し、汚染防止に努める。

Ø 試薬の入ったチューブを持つときはチューブのキャップ付近を持ち、チューブに入っている溶液を指で温めないように注意する。

Ø すべてのチューブは、反応をはじめるまで氷(クラッシュアイス)の中で保存(3-3)。

Ø マイクロチューブやチップ類は使い捨てとし、使用済みの消耗品はポリビーカーに一時保管。使用済みの消耗品を実験台などに放置しない。

 

配布試薬(各グループ1本 冷凍保存紙製ボックス内・使用後、すみやかにスピンダウンして、

元の冷凍庫[右上段]に返却)

* Primer 4種(1.5 mlチューブ) Forward○、NormalMutantMismatch

* PCR試薬(2X GoTaq Green Master Mix・専用チューブ)

 

 

  1. PCR用の0.2 mlマイクロチューブ3本をアルコールで拭いたピンセットを使ってラックから取り出し、油性マジックで自分の3種が識別できる印を付け、氷冷する。

マーキングにはマジックを使い、ラベルを使用しないこと。色分けするとわかりやすい。

96穴チューブラックとボートをクラッシュアイスの中に入れ(3-3)、チューブは常に氷冷状態に保つ。

5種類の配付試薬を指ではじいて融解・攪拌し、スピンダウンして(前ページ下)氷冷しておく。

以下の24の操作で、試薬を加える順番を変えない。氷中で操作。

 

  1. ピペットマン(P-20)を使用して、4種類のPrimer (4 μM) 5 μlPCR用チューブにそれぞれ加え(3-1)、スピンダウンする。

 

 

3-1 PCR実験に使う試薬

説明

 

終濃度

Normal

Mutant

Mismatch

2.

Forward primer 4 μM

0.4 μM

5 μl

5 μl

5 μl

2.

Reverse primer 4 μM

0.4 μM

Normal 5 μl

Mutant 5 μl

Mismatch 5 μl

3.

DNA solution

15 μl

15 μl

15 μl

4.

2X GoTaq

1X

25 μl

25 μl

25 μl

 

Total

 

50 μl

50 μl

50 μl

Forward primer Reverse primerと組み合わせて使う

Reverse primer3種)

Normal primerALDH2-1(正常型)に相補的なPrimer

Mutant primerALDH2-2(変異型)に相補的なPrimer

Mismatch primer;制限酵素MboIIの切断部位をデザインしたPrimer

 

  1. ピペットマン(P-20)を使用して、氷冷した15 μlDNA溶液を3本のPCR用チューブにそれぞれ加え、スピンダウンする。

 

  1. ピペットマン(P-200)を使用して、GoTaq Green Master Mix25 μl3本のPCR用チューブにそれぞれ加え、指ではじいて軽く撹拌し、スピンダウンする。

GoTaq溶液は粘性が高いので注意深くはかる。

チューブのキャップがしっかり閉まっているか視認する。

 

0.2 ml チューブPCRチューブ)のスピンダウン(図3-4

1.   対角線上に同じ重量の同型チューブをセットし、ふたを閉める。

2.   少し強めにふたを閉めると回転が始まる。

3.   3秒ほど遠心させ、ふたを持つ手をゆるめる。

4.   回転が完全に止まってからふたを開け、静かにチューブを取り出す。

 

 

 

  1. PCR用チューブをPCR装置(Thermal Cycler; 3-5)にセットし、PCR反応を行う。

PCR反応は94℃、2 分間の後に、次の3段階を30サイクル行う。

 

94℃、30 sec(熱変性)

60℃、30 sec(アニーリング)

72℃、20 sec(伸長反応)

 

PCR用チューブをキムワイブでぬぐい、キャップが完全に閉まっていることを再度確認してからPCR装置(4℃に設定)にセットする。セットした場所を控えておくこと(6 x 8 = 48穴;3-5)

PCR反応は全員の試料がそろってから開始する。

残ったDNA溶液(Proteinase K 分解した髪の毛の入り溶液)のチューブはバイオハザードゴミ袋に廃棄。

プライマーなどの共通試薬類はスピンダウンしてから冷凍庫(右上段)に返却する。

 

        (約90分のPCR反応終了後、チューブは96穴チューブラックに移し、冷凍庫保管:教官)

 

(「第1日」終わり)

 

 

3種類のPCR反応産物は4℃に設定したPCR装置に置いてある。各自のサンプルをクラッシュアイスに入れた96穴チューブラックに移し、実験開始まで冷却保管しておく。

 

3-2-3 PCR 反応産物の検出(実験日が週2日の場合は省略)

配布試薬 (使用後、すみやかにスピンダウンして、元の冷凍庫[右上段]に返却)

*  DNA染色試薬GelStar(遮光・専用チューブ)2本 冷凍保存・白い円柱ボックス内

*  DNA分子量マーカー 50-bp ladder(専用チューブ)1本 冷凍保存・白い円柱ボックス内

 

  1. 3種類のPCR反応産物各10 μlDNA分子量マーカー10 μlをピペットマン(P-20)でアガロースゲルのウェルに注入する。

注入する前に、必ず指ではじいて転倒撹拌し、スピンダウンする。

アガロースゲル電気泳動法の詳細は4-2. アガロースゲル電気泳動参照。

GelStar染色試薬(2 μl)を含む28 ml1.5% (w/v)アガロースゲルをグループごとに作成。

DNA分子量マーカーの50-bp ladder50, 100, 150, 200, 250-bp 等のDNA断片を含む。

bp = base pair

 

 

DNA分子量マーカーは、2人グループの場合は中央に1レーン、3人グループの場合は2レーンに 10 μl 注入する(3-6参照)。トラブル防止のため、左右非対称が望ましい。

アガロースゲル電気泳動装置の電源周辺を濡らさないように。

 

 

  1. 100Vでアガロースゲル電気泳動を行い、紫外線を照射してアガロースゲルを撮影する。

GoTaqに含まれる黄色い色素がゲルトレイ先頭の泳動指標線(茶色線)に達するまで泳動(3-7)。

 

撮影済のアガロースゲルは、流しの三角コーナーにあるゴミ箱に捨てる。

泳動用緩衝液(1X TAE Buffer)は再利用できるので、使用後は泳動装置を洗浄しなくてよい。

残ったPCR反応産物(Normal)とPCR反応産物(Mutant)は翌日も使用するため、グループごとに紙製チューブボックス(丸いシールで色分け)で冷凍庫保管(右上段)する。

 

DNA分子量マーカーのレーンとPCR反応産物(Normal)PCR反応産物(Mutant)のレーンから目的の増幅断片を推定し、両者のバンドの濃淡から遺伝子型を推定する(2-2-43-2-85-1-9参照)。PCR反応産物(Mismatch)の推定増幅断片はどの遺伝子型の人でも現れる。

 

3-2-4 DNA断片(PCR反応産物[Mismatch])の精製

配布試薬 (使用後、すみやかにスピンダウンして、元の場所[中央実験台]に返却)

*  Membrane Binding Solution 0.5 ml チューブ)5本 室温保存・紙製チューブボックス内

*  Membrane Wash Solution 50 ml チューブ)5本 室温保存・紙製のコロコロラック付き

*  Nuclease-Free滅菌水(0.5 ml チューブ)5本 室温保存・紙製チューブボックス内

 

0.5 mlチューブのキャップなどについている溶液をスピンダウンする。返却する前にも必ずスピンダウンすること

 

0.5 ml チューブのスピンダウン(図3-9

1.   対角線上に同じ重量の同型チューブをセットし、ふたを閉める。

2.   手前のON/OFFスイッチをONにすると回転が始まる。

3.   3秒ほど遠心させ、OFFにする。

4.   回転が完全に止まってから、本体を支えて静かにふたを開ける。

5.   静かにチューブを取り出す。

  1. Mismatch primerを使って増幅したPCR反応産物(Mismatch)をWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製し(室温で操作)、冷凍庫で保管する(3-2-3の残り試料と一緒に)。

実験日が週2日の場合は、すぐに制限酵素反応に使うため、氷冷しておく。

PCR反応産物の精製方法は4-3. PCR増幅断片の精製参照。

 

(実験日が週3日の場合の「第2日」終わり)

 

3-2-5 制限酵素によるDNA断片(PCR反応産物)の切断

配布試薬 (使用後、すみやかにスピンダウンして、元の箱に返却)

*  制限酵素用10× Buffer 0.5 mlチューブ)4本 冷凍保存・紙製チューブボックス内

*  制限酵素MboII 0.5 mlチューブ)2本 冷凍保存・紙製チューブボックス

*  Nuclease-Free滅菌水(0.5 ml チューブ)4本 室温保存・紙製チューブボックス内

*  10X Gel-loading Buffer0.5 mlチューブ)4本 室温保存・紙製チューブボックス内

 

  1. ピペットマン(P-20)を使用して、2本の1.5 mlのマイクロチューブに、精製したPCR反応産物(Mismatch)16 μlと制限酵素用10X Buffer 2 μlをそれぞれ加える。最後にNuclease-Free滅菌水または制限酵素MboII をそれぞれ2 μl加えて、指ではじいて軽く混ぜ、スピンダウンする。試薬を加える順番を変えない

制限酵素は不安定な酵素のため、常に氷の中に入れておく。試薬を体温で暖めない。

制限酵素と緩衝液は、使用後、すみやかにスピンダウンして、冷凍庫へ返却。

 

  1. 2本マイクロチューブを37℃のヒートブロックに移し、30分間インキュベートする。

<<この間にアガロースゲルを作成する>> 

 

3.  酵素反応の終わった 2本のマイクロチューブに1/9量以上の10X Gel-loading Buffer を加え、ボルテックスミキサー(図3-10) でよく攪拌し、スピンダウンする。攪拌-スピンダウンは2回くり返す。この操作で制限酵素反応が止まる。

 

3-2-6 制限酵素反応によるDNA切断有無の検出

配布試薬 (使用後、すみやかにスピンダウンして、元の箱に返却)

*  GelStar(遮光・専用チューブ)2本 冷凍保存・白い円柱ボックス内

*  DNA分子量マーカー(専用チューブ)1本 冷凍保存・白い円柱ボックス内

 

  1. 前項の3-2-5で制限酵素反応した2本のPCR反応産物(Mismatch)3-2-2PCR反応産物(Normal)PCR反応産物(Mutant)、およびDNA分子量マーカーをアガロースゲルのウェルに注入する(実験日が週2日の場合は精製する前のPCR反応産物(Mismatch)も注入する)。注入する体積は以下に説明。

アガロースゲル電気泳動法の詳細は4-2. アガロースゲル電気泳動参照。

GelStar染色試薬(2 μl)を含む28 ml2.0% (w/v)アガロースゲルを作成。

 

○注入するレーンについて

アガロースゲルのウェルは17個ある。ほぼすべて使い切るように。ウェルに117の番号を振り、どのウェルに何を何μl注入するかノートに書き、ノートを確認しながら注入すること。

 

○注入する体積について

a: PCR反応産物(Mismatch)の制限酵素反応産物

3-2-5で調製した2本の試料はそれぞれ20 μl 超注入する(増幅断片の分子量の大小を確認するため、ウェルからあふれない程度に、できるだけ多く[濃くなる]注入する)。微小な泳動距離で遺伝子型を判定するため、ゲルの中央付近に注入する。

 

実験日が週2日の場合−>上記に加えて、3-2-4で精製する前に小分けしたPCR反応産物(Mismatch)10 μl注入する。

 

b: PCR反応産物(Normal)PCR反応産物(Mutant)

実験日が週3日の場合−>PCR反応産物(Normal)PCR反応産物(Mutant)も同時に泳動する。前日の泳動像を参考にして注入する量を判断する。遺伝子型をバンドの濃淡で判定するため、2種で等量になるように注入。40 μl残っているはず。ゲルの厚みによるがウェルには 25 μl まで入る。最少量は5 μl。ピペットマンで測れる最小量は2 μl3倍希釈以上する場合は、Nuclease-Free滅菌水と10X Gel-loading Buffer1X Gel-loading Bufferを作り、1X Gel-loading Bufferで希釈する。前日と異なる濃度の試料を注入するように(原液10 μl以外)2人グループの場合、1人あたり6ウェル残っているため、3セットの濃度のサンプルを注入する。3人グループの場合、1人だけ2セット、残り2人は1セット。

 

実験日が週2日の場合−>3人グループの場合、PCR反応産物(Normal)PCR反応産物(Mutant)をそれぞれ10 μl注入する。2人グループの場合、10 μlの他に5 μlずつの2セット注入する。

 

c: DNA分子量マーカー

DNA分子量マーカーは、2人グループの場合は中央に1レーン、3人グループの場合は2レーンに10 μl 注入する。

 

  1. 100 Vでアガロースゲル電気泳動を行い、紫外線を照射してアガロースゲルを撮影する。

実験日が週2日の場合は、3-2-3 PCR 反応産物の検出」の項も参考に)

 

Ø 撮影済のアガロースゲルは、メイン流しの三角コーナーゴミ箱に捨てる(有害固形扱い)。

Ø 使用後の泳動装置は洗浄しなくてよい(故障の原因になる。防塵して窓側に)

Ø 保存溶液以外の使用済みチューブなどは、バイオハザード用ゴミ袋に捨てる。

Ø 「PCR実験用」箱に入っているイエローチップとブルーチップ(ドラフト内。タンパク質実験用と区別)をエタノールで拭いたピンセットを使ってすべてのチップラックに立てる。

0.2 ml1.5 mlのマイクロチューブは補充してはならない。

Ø 貸し出した実験ファイルは実験台の上に置く。

 

3-2-7 エタノールパッチテスト

用意された資材を使って、各自工夫して実験する。対照実験(イオン交換水を使用)を必ず含める。

ガーゼ付き絆創膏を使う場合、エタノールが絆創膏の隙間から蒸発しやすいため、エタノール保持に工夫を要する(試験している腕を屈伸させないなど)。

 

1.  2枚のガーゼ付き絆創膏にラベルし、上腕内側(なるべく白いところ)に貼り、ガーゼが皮膚に触れる部分がわかるように写真撮影。

2.  2枚のガーゼ部分にイオン交換水と75%エタノールをそれぞれ染み込ませ、皮膚に貼り付ける。

3.  5分後にガーゼ部分まではがし、はがした直後の皮膚の色を観察し、絆創膏を半分剥がした状態で写真撮影。

4.  3.の状態でさらに7分間、ガーゼをはがした部分の皮膚の色を観察し、ガーゼが皮膚に触れた部分がわかるように写真撮影。

 

推定の目安(必ず対照実験と比較。この試験だけで正確な判定ができるわけではないことに注意)

3. 5分後に皮膚が赤くなっている → ALDH2-2/ALDH2-2 = 変異型ホモ接合体

4. のさらに7分後に皮膚が赤くなる → ALDH2-1/ALDH2-2 = 正常型と変異型のヘテロ接合体

最後まで皮膚の色に変化がない → ALDH2-1/ALDH2-1 = 正常型ホモ接合体

 

 自分の表現型、PCR法による遺伝子型の推定結果と異なるときは、繰り返し試験すること。

 

 

3-2-8 遺伝子型の推定

2-2-4 本実験の戦略」を十分理解した上で、次のようにALDH2遺伝子の遺伝子型を推定する。

 

  1. アガロースゲル電気泳動で得られたバンドのサイズをDNA分子量マーカーから推定し、自分のALDH2遺伝子の遺伝子型を推定する。

本来ならPCR増幅断片は1種類(1バンド)のはずだが、目的の断片以外に増幅される場合がある。

DNA分子量マーカーから目的の増幅断片を推定し、そのバンドの濃淡などからALDH2遺伝子の遺伝子型を推定する。

 

遺伝子型」を推定するのであって、ALDH2遺伝子が正常型か変異型かだけを推定するのではない。表現型を判定するのでもない。

 

  1. エタノールパッチテストの結果および自分の表現型と合わせて遺伝子型を総合的に推定する。

遺伝子型表現型については2−5.遺伝子の基礎知識やさしいバイオテクノロジー カラー版の「14 具体的な遺伝子の構造」に詳しく解説してある。

 

アガロースゲル電気泳動によるバンドの見え方と遺伝子型・表現型の対応がわからないなら、「2-2-4 【本実験の戦略】」の図2-4を参照。

 

 

レポートには「3-2-8遺伝子型の推定」までを結果に書くこと。結果は実験を行った順に書くのではなく、意味のある項目毎に整理して書く。

考察は結果とは別の項に改め、実験操作や実験結果などについて項目毎にまとめる。

 

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注意事項>→<目的・解説>→<実験方法>→<機器類の使い方>→<参考・課題

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無断転載を禁じます (芦田嘉之)