4章 機器類の使い方(冊子体テキストより詳しい)

4-1. ピペットマンの使い方(冊子体テキストより詳しい)

4-1-1 解 説

生化学実験では微量(μlオーダー)の溶液を扱うため、デジタル式の容量可変型分注器を用いることが多い。この手の分注器は各社から市販されているが、広範に使われているギルソン社製の分注器の商標をとってピペットマンと呼称されることが多い(以下、ピペットマンと記載)。

ピペットマンは内部ピストンのサイズに応じて扱える容量が決まっており、目盛調節ネジを回すことで許容範囲内の液を正確に測り取ることができる。

目盛と実際に測り取られる液量がずれると使い物にならなくなるため、絶対にプッシュボタンや目盛調節ネジを許容範囲以上に回してはならない。

 

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: Photo04.jpg

4-1 ピペットマンの目盛りと使用するチップ、ピペットマンの各部名称

 

 

ピペットマンには2タイプある。

左のタイプはプッシュボタンを直接回転させて希望の容量にあわせる。

右のタイプは本体上部の黒いダイヤル(目盛り調節ネジ)を回転させて希望の容量にあわせる。

 

4-2 2種類のピペットマン 目盛りの見方は同じ。

 

 

 図4-3 ピペッティングは親指で操作する

 

 

 

 

4-1-2 手 順

利き手にピペットマンを持ち、もう一方の手にチューブを持って目の高さで操作する。

実験台においたチューブでピペットマン操作しない。吸い上げた液や吐き出した液を必ず視認する。

プッシュボタンを戻す操作を特に丁寧に。プッシュボタンから親指を離さない

 

1.   プッシュボタンまたは目盛調節ネジを左右に回して目盛を目的の容量に合わせる。

指定範囲以上にプッシュボタンや目盛調節ネジを回さないこと。

 

2.   ノズル先端にチップを付ける。

隙間ができないようにチップラックのチップにしっかり付ける。チップを素手でさわらない。

チップラックのふたは、すみやかに閉める

 

3.   空気中でプッシュボタンを第1ストップの位置まで押し下げる。

溶液中で押し下げるとチップの先に気泡ができてしまい、液を正確に吸い上げられない。

 

4.   3.の状態のまま、チップの先を吸引する溶液に浸す。

深く差し込まない。特に粘性の強い溶液。チップの先端3 mm ぐらいを垂直に。目の高さで。

 

5.   ゆっくりとプッシュボタンを元の位置までスムーズに戻す。親指を離さない! 垂直、視認。

完全に吸引し終えるのを待つため、プッシュボタンを戻し終えてからチップの先端を溶液につけたまま数秒静止する。

勢いよく戻すと液をピペットマン本体に吸い込んでしまい、正確に測れないだけでなく、故障の原因になる。

万一ピペットマン本体に溶液を吸い込んでしまった場合、分解・洗浄が必要なので、教官またはTAに申し出る。そのまま使い続けない。

 

6.   チップの外側に付いた液を容器の縁でしごき落とすようにしてチップを液から出す。視認。

微量の液を測り取るので、チップの外側に付いた液は大きな誤差要因になる。

 

7.   溶液を入れたいチューブの内壁にチップの先を付け、ゆっくりとプッシュボタンを第1ストップまで押し下げる。垂直、視認。

PCR実験では、同じ溶液を測り取るときも、保存溶液の汚染防止と経験を積むため、すべてのピペット操作でチップを交換する。PCR実験では溶液をはき出すとき、チップの先端をチューブの内側壁面や溶液の界面につけてもかまわない。

 

8.   第1ストップの状態で押したまま一呼吸おいて液が流れ落ちなくなったら、プッシュボタンを第2ストップまで押し下げチップの先に残った液を押し出す。垂直、視認。

GoTaqGel-loading Bufferなど、粘性の強い溶液は特に念入りに。

 

9.   ゆっくりとプッシュボタンを元の位置まで戻す。親指を離さない! 垂直、視認。

1回の吐き出し操作で定量できるようになっている。プッシュボタンを何度も上下させない。

チップを溶液につけていなくても、一度溶液を吐き出した後にピペット操作を繰り返すと、チップに残った微量の溶液がピペットマン本体(白いホルダー部分)に入ってしまい、故障と汚染の原因になる。

 

10.   エジェクターボタンを押して使用済みチップをはずす。

使用済みのチップやチューブは専用のポリビーカーに一時保管し、1日の実験の終わりにバイオハザード用ゴミ袋に捨てる。使用済みチップから汚染させないように!

 

[参 考] 付属の取扱説明書

 

 

 

 

 

 

 

4-2. アガロースゲル電気泳動法(冊子体テキストよりかなり詳しい)

4-2-1 解 説

電気泳動の原理はSDS-PAGEの項に詳しく述べているので参照していただきたい。

 

核酸(DNAおよびRNA)はタンパク質と比較すると分子量が大きいため、通常はアクリルアミドゲルよりも網目の粗いアガロースゲルが電気泳動に用いられる。アガロースの濃度は分離する核酸のサイズに応じて調整する必要がある。また、核酸はリン酸と糖が交互につながった主鎖を持っているため、中性緩衝液中では1塩基につき1個の割合で負電荷を持っている。

このため、SDSなどを加えなくても核酸はゲル中を陽極に向かって移動し、概ね分子量に依存した移動距離を示す。しかしスーパーコイルなどの高次構造がある場合には移動距離が変化するので注意が必要である。

 

塩基数と濃度のわかっているDNA断片(DNA分子量マーカー)と一緒に泳動することにより、試料DNAの泳動距離と濃さから分子量(塩基数)と濃度を見積もることができ、さらに、おおよその純度を見積もることができる。

泳動後、目的のバンドをアガロースゲルごと切り出すことでDNAを回収し、精製することもできる。

 

 

4-2-2 手 順

1)試薬類 [解説]

1. アガロース

アガロースは寒天中の一成分(主成分)で寒天から分離精製して得られる。熱水で溶解し、温度を下げるとゲル化する。多糖鎖間で水素結合の網目状構造をとることから核酸などの高分子物質を分離するのによく使われる。精製度やゲル化したときの強度の違い、ゲル化温度の違いなどにより、さまざまなグレードのアガロースが市販されている。本実験では、分離するDNA断片の分子量が最大で137-bpと小さいことから、低電気浸透で低分子量の分離に適したアガロースを用いる。

 

4-1 アガロースの濃度とDNA分離サイズ

-----------------------------------

アガロース濃度   分離できる直鎖

                 DNAのサイズ

% [w/v]     (kbp

-----------------------------------

0.8          0.5-15

1.0          0.25-12

1.2          0.15-6

1.5          0.08-4

-----------------------------------

 

 

分離したいDNAのサイズと適切なアガロースの濃度は4-1の通りである。

本実験ではアガロースゲル電気泳動を2度行う(実験日が週3日の場合)。

1度目のPCR産物の確認では、PCR反応の有無を調べるため、1.5% (w/v)のアガロースゲルを作成する(実験日が週2日の場合は行わない)。

2度目の制限酵素切断の有無を調べる実験では、137-bp125-bpのバンドの分離が必要なため、2% (w/v)のアガロースゲルを用いる。

室温保存。

 

 

 

 

2. 泳動用緩衝液

本実験では市販の10X TAE buffer10倍希釈した10X TAE buffer用いる。

10X TAE Buffer (pH 8.3)、ナカライテスク、35430-61

400 mM Tris-acetate, 10 mM EDTA (pH 8.3)

滅菌、室温保存。

他にも4-2のような緩衝液がよく用いられる。

 

4-2 アガロースゲル電気泳動に使われる緩衝液

-------------------------------------------------------------------------------------

Buffer             Working solution              Stock solution / Liter

-------------------------------------------------------------------------------------

Tris-acetate     1×: 40mM Tris-acetate      50×:242g of Tris base

(TAE)                1mM EDTA                    57.1ml of glacial acetic acid

                                                           100ml of 0.5M EDTA (pH 8.0)

 

Tris-borate    0.5×: 45mM Tris-borate        5×:54g of Tris base

(TBE)                1mM EDTA                    27.5g of boric acid

                                                           20ml of 0.5M EDTA (pH 8.0)

 

Tris-phosphate   1×: 90mM Tris-phosphate    10×:108g of Tris base

(TPE)                2mM EDTA                    15.5ml of 85% phosphoric acid

                                                  (1.679g/ml)

                                                    40ml of 0.5M EDTA (pH 8.0)

-------------------------------------------------------------------------------------

 

3.   Gel-loading Buffer

通常用いられるGel-loading Bufferには4-3のようなものがある。

4-3 アガロースゲル電気泳動に使われるローディング緩衝液

---------------------------------------------------------------------

Buffer type      6×Buffer                     Storage temperature

---------------------------------------------------------------------

I             0.25% bromophenol blue              4

                0.25% xylene cyanol FF

               40% (w/v) sucrose in H2O

 

II            0.25% bromophenol blue              room temperature

                       0.25% xylene cyanol FF

               15% Ficoll (Type 400) in H2O

 

III            0.25% bromophenol blue             4

                0.25% xylene cyanol FF

                30% glycerol in H2O

 

IV             0.25% bromophenol blue             4

                40% (w/v) sucrose in H2O

---------------------------------------------------------------------

 

PCR反応で用いるGoTaq Green Master MixにはGel-loading Bufferに相当する試薬が含まれているため、PCR反応産物のアガロースゲル電気泳動ではGel-loading Bufferを添加する必要がある。

制限酵素反応用のサンプルは、DNAの水溶液となるように精製しているため、Gel-loading Bufferを加えなければならない。

本実験では、市販の10X Gel-loading Buffer (1% SDS, 50% Glycerol, 0.05% Bromophenol Blue)10倍希釈となるように添加し、十分に混和する。

室温保存。

 

 

4. DNA分子量マーカー

SDS-PAGEの場合と同様、アガロースゲル電気泳動でも試料の泳動距離と分子量の対数は部分的にほぼ直線関係になる。

電気泳動により分離されたDNA断片の分子量を推定するために、分子量既知のDNA断片混合物を同時に泳動する。

 

さまざまなDNA分子量マーカーが市販されている。

本実験では、130-bp 前後のDNA断片を分離するため、50-bp ladder Markerを用いる。この分子量マーカー溶液には、50, 100, 150-bpなど50-bp間隔のDNA断片(最長断片は800-bp)が含まれている。

Gel-loading Bufferを含むため、そのままアガロースゲルのウェルに注入できる。

冷凍保存。

 

 

5. DNA染色試薬

水溶液中のDNAは目に見えないため、染色する必要がある。

一般にはDNA染色液としてエチジウムブロマイドがよく用いられる。

エチジウムブロマイドは二本鎖DNAの内側の塩基対を形成している水素結合を切り、挿入される。これをインターカレーションという。

この状態で紫外線を当てると590 nm の蛍光を発するので目に見えるようになる。

 

細胞内でエチジウムブロマイドが二本鎖DNAにインターカレートすると、正常なDNA複製や転写がうまくいかず、細胞機能を損ねる。

そのことからエチジウムブロマイドには変異原性があると考えられており、取り扱いには十分に注意する必要がある。また廃液も適切に処理する必要が生じる。

 

本実験では、エチジウムブロマイドより発色感度の高い市販のGelStar Nucleic Acid Gel Stain(タカラバイオ、F0535以下、GelStar)を用いる。

GelStarの最大励起波長は492 nmで、蛍光波長は527 nmである。

GelStarもエチジウムブロマイドと同様インターカレーターであるため、変異原性を持つ可能性があり、また、溶媒にDMSOが用いられていることからも取り扱いには十分に気をつける必要がある。

GelStarは高感度に発色するため、アガロースゲルを作成するゲルトレイやTAE Bufferに含まれるゴミとも結合し、敏感に発色する。

冷凍・遮光保存(GelStarFMC社の登録商標です)。

 

 

本実験では、染色試薬を含むアガロースゲルで泳動しているが、染色試薬を含まないアガロースゲルで泳動し、泳動後、DNAを染色することもできる(先染めと後染め)。

 

GelStarやエチジウムブロマイドは紫外線照射下でDNAを確認するため、アガロースゲルからDNA断片を回収するとき、DNAがダメージを受けることがある。

 

感度が悪いが、可視光下でDNAを確認できる青色色素も市販されている。

 

 

 

 

 

 

2)アガロースゲルの作製

使用済みの三角フラスコ、メスシリンダーは、すみやかにイオン交換水を少なくとも5回通して洗浄し、95%エタノールを1回通して風乾させる。

ゲルメーカー、ゲルトレイ、コーム、タッパーなどは、使用後すみやかにイオン交換水で洗い、キムワイブで拭き取り所定の袋に入れて保管する。洗浄に洗剤、水道水は使わない。

 

1. 1X TAE Buffer を適宜調製する。

市販の10X TAE Buffer を滅菌水で10倍希釈する。

滅菌水(褐色瓶)と1X TAE Buffer用の滅菌瓶(透明瓶)が用意してあるので、滅菌水専用のメスシリンダーを使って10倍希釈液をつくる。イオン交換水を使ってはならない。

 

2. ゲルメーカースタンドにゲルトレイとコームをセットする(4-5)。後に遮光する必要があるため、アルミホイルで覆っておく。

 

3.  三角フラスコに必要量のアガロースを直接測り取り(1.5%または2% w/v)、28 ml1X TAE Bufferを加える(メスシリンダー使用)。

アガロースの秤量に個人持ちのミクロスパーテル等は使わない(汚染防止のため)。

 

4. サランラップで軽くふたをし、ラップをつま楊枝で数カ所穴を開けておく。電子レンジでアガロースを溶かす。

15秒程度加熱してから取りだし、フラスコを注意深く振り混ぜ(アガロースの粒がフラスコの壁に付かないように)、約5秒間の加熱・軽い攪拌操作を繰り返し、アガロースを完全に溶かす(透明な粒が1粒も見えなくなるまで。突沸しかけたら加熱をすぐに止める)。やけどに注意。

 

5. 放冷(70-60℃程度にまで)した後、DNA染色試薬GelStar Nucleic Acid Stein2 μl加え、泡立てないよう軽く均一に攪拌する。

素手の手のひらに三角フラスコの底をのせて、熱に耐えられる程度まで放冷(やけどに注意!)。

温度が高すぎると(80℃以上)、ゲルメーカースタンドやゲルトレイが割れたり変形したりするので、温度が高すぎないように注意。また、GelStarも分解する。

GelStarの保存液は高価で必要量しか用意していない。使用前に必ずスピンダウンし、使用後もすみやかにスピンダウンして遮光、冷凍保存する。

GelStar試薬はほぼ100%Dimethyl Sulfoxide溶液のため、氷冷でも凝固している。溶かしてから使用する。

 

6. すみやかに、溶かしたアガロース溶液をゲルトレイ中に一気に流し入れる。

アガロース溶液を流し入れた後、コームを一度持ち上げ、溶液が均質に満たされているのを確認してから、静かにコームを差し込む。コームの周辺に気泡が生じることがある。

温度が低すぎると、ゲルトレイに注ぐ途中でゲルが固まってしまい、均質なゲルができない。

万一、均質なゲルができなかった場合は、固めたゲルを三角フラスコに回収し、再び電子レンジで融解(短時間で溶ける)して、適温にまで放冷してから流し込む(GelStarを追加する必要はない)

ゲルを流し終えた三角フラスコは、すみやかに洗浄する。100 ml程度のイオン交換水を加え、電子レンジで沸騰させることで残ったアガロースを溶かしながら洗浄する。3回程度。その後、エタノールを1回通して風乾させる。

 

7. 水平な場所で放冷してアガロースゲルを固まらせる。

GelStar保護のためアルミホイルで遮光。季節やアガロース濃度によるが、1520分で固まる。

 

3)アガロースゲル電気泳動

1.  コームを注意深くはずし、使用するゲルをゲルトレイごとゲルメーカースタンドから取り出す。

コームは両手を使って真上に静かに引き抜く。ウェル(穴)を傷つけると泳動像が乱れる。

ゲルトレイも両サイドの突起部分を両手で持って静かに取り出す。

ゲルトレイの下に固まっているゲルをキムワイプで拭き取り、新しいキムワイプの上に置く。

コームとゲルメーカースタンドをすみやかに洗って保管する(注意事項参照)。

 

2.  ウェルに試料およびDNA分子量マーカーをピペットマンで注入する(注入体積は「3-2. 方法」)。

ピペットマンチップでゲルをキズつけないよう慎重に。DNA分子量マーカーは最後に注入。

 

3.  ゲルトレイごと泳動槽にセットし、1X TAE Bufferをゲル全体が浸るまで注意深く泳動槽に注ぐ。

(研究室の実験ではアガロースゲルを泳動槽にセットし、泳動用緩衝液を満たしてから試料を注入する。本実習では失敗を最小限にするため、先に試料を注入している)

パワーサプライは、まだセットしない。必ず外しておくこと。

サンプルウェルが陰極側になるようにセットする。DNAは陽極側へ泳動する。

ウェルに注入した試料が舞い上がらないよう、ゲルの縁も完全に浸るまで注意深く1X TAE Bufferを加える。ただし、泳動槽の指標線(泳動槽本体の内側にあるライン)を越えないように!

 

すでに泳動槽に1X TAE Bufferが入っている場合は、試料を注入したゲル(ゲルトレイごと)を注意深く沈め、ゲルが1X TAE Buffer完全に浸っているか確認する(浸っていなければ1X TAE Bufferを注意深く追加する)。

 

ゲルトレイの底と泳動との間に気泡が入ることがある(多くの場合)。気泡が生じた場合、ゲルトレイを1X TAE Buffer中で少し持ち上げ、気泡をスライドさせながら取り除く。その後ゲルトレイを押し込み、泳動槽と密着させる。

4-6 アガロースゲル電気泳動装置と名称

 

4.  パワーサプライをセットし、100 Vで泳動する。

パワーサプライをスライドさせてセットしてからカバーを閉じる。

Mupid-2 plusのカバーは、2つの突起を泳動槽側の穴に差し込み、回転させるように閉じる。

Mupid-2のカバーはスライドさせて閉じる。カバーを閉じると電源が入る仕組みになっている。

電極の設定を確認してから泳動を開始し、数分後、色素が正常に泳動されていることを確認。

泳動中、アルミホイルで遮光・防塵する。感電に注意。


5.  泳動が終わったら、ゲルをゲルトレイごと取り出し、イオン交換水を入れたタッパーに移し、軽くリンスする。

泳動の終わる目安は、GoTaqの黄色い色素が一番先端の茶色のラインにまで泳動されたときか、Gel-loading Bufferに含まれる青色色素Bromophenol Blue泳動範囲の中央(ゲルトレイ中央の指標線)を超えるまで泳動されたとき。早く止めすぎると、分離が悪くなる。

泳動槽のカバーを開けると電源が切れる仕組みになっている。Mupid-2 plusのカバーは、手前を持って回転させるように開く。無理にあけると緩衝液(1X TAE Buffer)がパワーサプライにかかり故障の原因となる。

パワーサプライの電源をOffにし、パワーサプライのコンセントを抜き、パワーサプライを泳動槽本体からはずしておく。

 

6.  トランスイルミネータ上で泳動像を確認し、デジカメやスマホのカメラなどで写真を撮る。

i.    ゲルのみ(ゲルメーカーはUVを遮断する)をトランスイルミネータにのせる(4-7 右側黒い方)。ゲルの下に気泡が入らないように(気泡が写真に写る)。泳動像は試料の注入口を上にし、下方向に泳動した形で置く(TLCとは上下が逆)。

ii.   トランスイルミネータのUV遮断カバーをかぶせた状態でWhite/302 nmスイッチを302 nmに合わせ、PowerスイッチをONにして紫外線を照射する。

iii. 室内を暗くして泳動象をよく観察し、ii. の状態で写真撮影する。

                 GelStar UV照射により退色するため、手際よく撮影!

                 UVを裸眼で見ないように! 失明する。

 

<<画像データについて>>

1枚のアガロースゲルに23名分のサンプルを泳動するので、自分のサンプルのみ撮影するか、画像データをトリミングすること(個人情報保護のため。他人のデータをレポートに入れない)。

制限酵素切断実験では、肉眼で切断の有無が確認しづらいので、かならず何らかの手段で画像データの目的部分を拡大し、その場で遺伝子型の推定を行うこと!

 

 

撮影済のアガロースゲルは、実験室メイン流しの三角ゴミ箱に捨てる(有害固形扱い)。

 

泳動用緩衝液(1X TAE Buffer)は再利用できるので、泳動装置は洗浄しなくてよい。

泳動層は防塵して邪魔にならないところに置いておく(窓側がよい)。

 

 

[参 考]

1.   Sambrook, J. and Russell, D. W.Molecular Cloning 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)

2.   Mupid取扱説明書

3.   GelStar取扱説明書

 

 

 

 

 

4-3. PCR増幅断片の精製(冊子体テキストより詳しい)

4-3-1 解 説

制限酵素反応は反応溶液中の塩の種類や濃度に強く影響を受ける。GoTaq試薬を用いて増幅したDNA断片溶液はそのままでは制限酵素反応に用いることができないため、精製する必要がある。

本実験では、市販のキット(Wizard SV Gel and PCR Clean-Up SystemPromega)を用いてPCR増幅断片を精製する。精製することで、PCR反応溶液に含まれているdNTPPrimerPrimer dimer、タンパク質、Mgイオン、色素、Bufferなどが除かれ、DNA(概ね100-bp以上)の水溶液となる。

 

4-3-2 方 法

基本的には、Promega社のマニュアルにしたがって操作する。

Promega Wizard® SV Gel and PCR Clean-Up Systemのマニュアルは次のサイトから入手できる。

Quick PROTOCOL(日本語版)PDFファイル)

 

高速遠心分離機は1度に12サンプル遠心できるので、効率よく使用する。

全体の人数が奇数の場合は、バランス用の器具を配布する(使用後返却)。

保存試薬の汚染防止のため、1回のピペットマン操作ごとにチップを交換する。

遠心分離器は高速で回転するため、試料を正確に測り取り、厳密にバランスをとる。

室温で操作する。

 

配布試薬(各グループ1本 室温

*  Membrane Binding Solution 0.5 ml チューブ・紙製チューブボックス内)

*  Membrane Wash Solution 50 ml チューブ・紙製のコロコロラック付き)

*  Nuclease-Free滅菌水( DNaseRNase free0.5 ml チューブ・紙製チューブボックス内)

 

1.   SV Minicolumn Collection Tube1本用意し、Collection Tubeの中にSV Minicolumn をセットし、紙製チューブ立てにたてる(4-9)。

ストックの器具を汚さないよう、ピンセットを使って袋から取り出す。

SV Minicolumnにはふたがないため、実験中、キムワイプなどで防塵する。

 

2.   ピペットマン(P-200)を使って、滅菌した1.5 mlチューブにMismatch primerで増幅したPCR反応溶液を慎重に40 μlとり、Membrane Binding Solution 40 μl加え、十分に撹拌しスピンダウンする。

遠心分離器のバランスを合わせるため、2人一組で同じ操作をすること。

PCR反応溶液は50 μlで、アガロースゲル電気泳動に10 μl使用しているため、40 μl残っているはず。もし40 μl より少ないのなら、Nuclease-Free滅菌水でトータル40 μl となるように調整し、Membrane Binding Solution 40 μl加える。遠心分離器のバランスを合わせるため、厳密に測り取る。

実験日が週2日の場合−>精製操作の後にアガロースゲル電気泳動を行うため、アガロースゲル電気泳動用(精製前の試料)として10 μlPCR反応溶液(Mismatch)を残しておくこと。

 

3.   Membrane Binding Solutionを加えたPCR反応溶液をSV Minicolumnの中にピペットマン(P-200)で移し、1分間放置する(DNAを膜に吸着させる操作)。

SV Minicolumnの白い膜を傷つけないように。

 


 

4.   エッペンドルフ社製の高速遠心機(写真)を使って、8,000 rpm 60秒間遠心分離する。

対角線上に同重量のチューブをセットし、内蓋を確実に閉め、高速遠心機本体のふたを静かに閉める。

ふたの開閉は丁寧に。

▼▲ボタンで回転数と時間をセットし、START/STOPボタンを押すと遠心が始まる。

遠心が終わると自動的に本体のふたが開く。

内蓋をとり、試料を静かに取り出す。

 

5.   Collection Tubeに溶出した液を丁寧に捨て(2人で同じ操作をすること)、SV MinicolumnCollection Tubeを再びセットする。

 

6.   SV Minicolumnの中に700 μlMembrane Wash Solution をピペットマン(P-1000)で加え、8,000 rpm 60秒間遠心分離する。

Membrane Wash Solutionにはエタノールが約80%含まれている。ピペットマン操作は慎重に!

溶液を吸引した後のピペットマンは垂直に保ち、寝かせない!

計量ミスは高速遠心機の故障につながる。正確に測り取ること!

 

7.   Collection Tubeに溶出した液を捨て(確実に!不十分だと遠心分離のバランスが狂う)SV MinicolumnCollection Tubeを再びセットする。

 

8.   SV Minicolumnの中に500 μlMembrane Wash Solution をピペットマン(P-1000)で加え、8,000 rpm 60秒間遠心分離する。

 

9.   Collection Tubeを捨て、SV Minicolumn を滅菌した新しい1.5 ml のマイクロチューブにセットし、8,000 rpm 60秒間遠心分離する。

チューブのふたは閉めなくてよいが、ふたが絡まないよう注意して、ふたを回転方向(左回り)に揃えてセットする。1回に2本か4本。高速遠心機の内蓋は確実に閉めること。

白い膜に残ったMembrane Wash Solutionを除く操作。

 

10. SV Minicolumn を取り出し、キムワイプで覆って、しばらく(高速遠心機が空くまで数分間)風乾し、エタノールをとばす。

Membrane Wash Solutionにはエタノールが約80%含まれている。DNAはエタノールに不溶。

 

11. SV Minicolumn を滅菌した新しい1.5 ml のマイクロチューブにセットする。

 

12. SV MinicolumnNuclease-Free滅菌水50 μlを注意深く加え、1分間放置後、8,000 rpm60秒間遠心分離する(膜に付着したDNAの溶出操作)。

ピペットチップがカラムの膜に触れないようにNuclease-Free滅菌水をカラムの中心部に直接加える。

イオン交換水やアガロースゲル電気泳動用の滅菌水を使ってはならない。

 

13. 溶出したDNA溶液(40 μl強)を冷凍庫(-20℃)で保管する(グループごとの紙製チューブボックス使用。丸いシールで色分けしてある。3-2-3の残り試料と一緒に)。SV Minicolumnは捨てる。

実験日が週2日の場合−>すぐに制限酵素反応に使うため、氷冷しておく。

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: hr-green

注意事項>→<目的・解説>→<実験方法>→<機器類の使い方>→<参考・課題

ホームに戻る

無断転載を禁じます (芦田嘉之)