5章 参考・課題(冊子体テキストにない解説がかなりある)

5-1. 参 考(冊子体テキストにない解説がかなりある)

5-1-1 【遺伝子と遺伝のしくみ】冊子体テキストにはない)

ヒトを含め、すべての生物の体は細胞からできている。生物は細胞核を持つ真核生物と細胞核を持たない原核生物に大別できる。ヒトの細胞は核を持つため、ヒトは真核生物の一種である。

 

ヒトの体細胞の細胞核には2346本の染色体がある(第1〜第22染色体までの常染色体と1組の性染色体。2n)。1本の染色体には1分子のDNAと多種・多数のヒストンタンパク質が含まれている。DNA4種のヌクレオチド(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)の重合体である。第1〜第22染色体とXおよびY染色体の遺伝情報(塩基配列)全体がヒトゲノムであり、約30億塩基対の遺伝情報を含む。

 

対になっている染色体の1本は母親から1本は父親から受け継いでいる。ヒトゲノムには2万数千の遺伝子があり、いずれの遺伝子も(男の性染色体を除く)対になって細胞核に存在する(遺伝子のコピー数多型の場合を除く)。遺伝子は、大ざっぱにいって、DNAの中の転写される領域のこと(いろいろな定義がある)。

 

2nの生殖細胞の前駆体から減数分裂によってnの配偶子が生じる。減数分裂により、対になっている染色体のうちいずれかが受け継がれる(相同染色体間で交叉しながら)。したがって、対になっていた遺伝子は配偶子ではそのうちいずれか1つの遺伝子になる(遺伝子のコピー数多型を除く)。

配偶子同士の受精により、すべての遺伝子は再び対になり(ゲノムも2セットになる)、新しい個体が誕生する。

DNA、遺伝子、ゲノム、染色体、減数分裂、交叉、遺伝子型、表現型などの基本用語は

芦田嘉之著「やさしいバイオテクノロジー カラー版」と「カラー図解でわかる高校生物超入門」に詳しく解説してある。

 

ALDH2遺伝子には2種類の対立遺伝子がある(ALDH2-1 [正常型]ALDH2-2 [変異型]。実際にはもっと多数あるが)。この2種類の対立遺伝子の組み合わせは3通りある。すなわち、遺伝子型が3通りある。それぞれの遺伝子型に対して、「お酒が飲める」、「お酒がたしなみ程度に飲める」、「お酒が全く飲めない」の3通りの表現型と対応している。

 

 表5-1 ALDH2の遺伝子型と諸性質

遺伝子型

表現型

日本人

の分布

PCR反応の鎖延長

Normal      Mutant

MboII

切断

アルコール

パッチテスト

ALDH2-1/ALDH2-1

お酒が

飲める

54%

       ×

変化なし

ALDH2-1/ALDH2-2

お酒が

たしなみ程度に飲める

40%

      

○×

時間がたてば

赤くなる

ALDH2-2/ALDH2-2

お酒が

飲めない

6%

×      

×

赤くなる

 

実は、ヒトのお酒に対する許容量とALDH2タンパク質の機能との関係は、これまでに解説したほど単純ではなく、ALDH2遺伝子以外にも飲酒許容量に関与する遺伝子があるため(たとえばAlcohol dehydrogenase 1B)、ALDH2遺伝子のみで単純に飲酒許容量を説明できるわけではない。

遺伝子型と表現型は、単純に対応しているように見えるが、ある遺伝子が特定の表現型を説明できる例は意外と少なく、多くの遺伝子は単純に表現型と対応しているわけではない。

 

5-1-2 Human aldehyde dehydrogenase 2 mRNAの塩基配列と予想されるアミノ酸配列】

芦田嘉之著「やさしいバイオテクノロジー カラー版p107より。

3大データベースにAccession No. = K03001 で登録されている(冊子体テキストにはない)。

mRNAの塩基配列の一部。intron部分は含まれていない

塩基配列(上段)は見やすいように10塩基毎にスペース挿入。実際には連続している(以下同様)。

下段はアミノ酸配列。1文字表記。

 

5-1-3 ALDH2の遺伝情報(冊子体テキストとほぼ同じ)

1) 正常型ALDH2-1 遺伝子, exon 12 付近の塩基配列(センス鎖のみ、Accession No. = M20455

1-->10 intron(小文字)   11-->125 exon(大文字)   126-->137 intron(小文字)

  1 caaattacag GGTCAACTGC TATGATGTGT TTGGAGCCCA GTCACCCTTT GGTGGCTACA

 61 AGATGTCGGG GAGTGGCCGG GAGTTGGGCG AGTACGGGCT GCAGGCATAC ACTGAAGTGA

121 AAACTgtgag tgtggcc

 

 

ALDH-2-1 exon12 付近を二本鎖で表すと、

 

2) 変異型ALDH2-2 遺伝子ALDH2-1114塩基目のGAに置換。他の塩基配列はALDH2-1と同じ。

 

 

 

5-1-4 Primerの塩基配列とアニーリング】(冊子体テキストより詳しい)

Forward primer;       5' -   CAAATTACAGGGTCAACTGCT -3'     Tm=60.6

Reverse primer;

Normal primer;      5' -   CCACACTCACAGTTTTCACTTC -3'    Tm=61.2

Mutant primer;      5' -   CCACACTCACAGTTTTCACTTT -3'    Tm=60.6

Mismatch primer;    5' - GGCCACACTCACAGTTTTCTCTT -3'   Tm=65.5

 

Primer1本鎖の合成DNAで相補鎖はない。

Mismatchすることを考慮してMismatch primer だけTm値が高めのPrimerを設計した。

 

4種のPCR primerが鋳型DNAに対してどのようにアニーリングするかを次の図で解説してある。

PCR primerのアニーリング PDFファイル参照。

 

5-1 ALDH2-1Normal primer

 

5-2 ALDH2-2Mutant primer                     5-3 ALDH2-1Mismatch primer

 


5-1-5 鋳型DNAにアニーリングする各種下流側 Reverse primerのまとめ

ALDH2-1      101 5'- GCAGGCATAC ACTGAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Normal primer                  3'- cttcact tttgacactc acacc   -5'

 

ALDH2-2      101 5'- GCAGGCATAC ACTAAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Mutant primer                  3'- tttcact tttgacactc acacc   -5'

 

ALDH2-1      101 5'- GCAGGCATAC ACTGAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

ALDH2-2      101 5'- GCAGGCATAC ACTAAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Mismatch primer                3'-  ttctct tttgacactc acaccgg -5'

 

1) センス鎖とアンチセンス鎖

DNAは二重らせん構造をしており、二本の鎖は逆向きである。mRNA(一本鎖)と同じ方向の配列をセンス鎖、その相補鎖(転写の時の鋳型になる鎖)をアンチセンス鎖とする。

Forward primerはセンス鎖と同じ方向であり、アンチセンス鎖とのみアニーリングし、センス鎖とはアニーリングしない。Forward primerALDH2-1ALDH2-2の両方の遺伝子と完全にアニーリングする。

Reverse primer であるNormal, Mutant Mismatchの各Primerはアンチセンス鎖と同じ方向であり、センス鎖とのみアニーリングし、アンチセンス鎖とはアニーリングしない。

 

2) 完全なアニーリング -> 鎖延長

Normal primerALDH2-1Mutant primer ALDH2-2と完全にアニーリングし、その後、伸長反応が起こる。

ALDH2-1      101 5'- GCAGGCATAC ACTGAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Normal primer               3'- cttcact tttgacactc acacc   -5'

 

ALDH2-2      101 5'- GCAGGCATAC ACTAAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Mutant primer               3'- tttcact tttgacactc acacc   -5'

 

3) 不完全なアニーリング -> 鎖延長なし

ALDH2-1遺伝子が鋳型の場合、Mutant primer60℃のアニーリング温度において、おそらくアニーリングする。しかし伸長反応の先端の塩基対1対が相補的でないため、伸長反応は起こらないと思われる。

ALDH2-1      101 5'- GCAGGCATAC ACTGAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Mutant primer               3'- × tttcact tttgacactc acacc   -5'

 

同様に、ALDH2-2遺伝子が鋳型の場合、Normal primerがアニーリングするが、伸長反応が起こらないと思われる。

ALDH2-2      101 5'- GCAGGCATAC ACTAAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Normal primer               3'- × cttcact tttgacactc acacc   -5'

 

4) Mismatch primer

Mismatch primerALDH2-1ALDH2-2の両方の遺伝子とアニーリングする。この場合、ゲノムDNAの塩基配列と1塩基異なるが、本実験のアニーリング温度は60℃のため、Mismatch primerは両方の遺伝子とアニーリングすると思われる(なぜMismatchにしているかは「5-1-6 制限酵素MboIIの認識配列と切断部位】」参照)。

ALDH2-1      101 5'- GCAGGCATAC ACTGAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

ALDH2-2      101 5'- GCAGGCATAC ACTAAAGTGA AAACTGTGAG TGTGGCC -3'

Mismatch primer              3'- ttctct tttgacactc acaccgg -5'

 

 

このようなMismatch primerによるMismatchアニーリングはゲノムDNAが鋳型になった場合だけで、PCR反応により新たに合成されたDNA鎖が鋳型になった場合はMismatch primerは完全にアニーリングする(Mismatchアニーリング部位の塩基配列はMismatch primer配列に置き換わっている)。

 

 


5-1-6 【制限酵素MboIIの認識配列と切断部位】(冊子体テキストより詳しい)

制限酵素は二本鎖DNAのある特定の塩基配列を認識し、ある特定の二本鎖DNAの部位を1カ所切断する酵素(例外もある)。制限酵素は二量体の場合が多く、回文構造の認識配列をそれぞれのサブユニット酵素が1本のDNAを切断するものが多い。すべての制限酵素は細菌由来で、制限酵素の名前には由来細菌の学名の一部がつけられている。

(属名の頭文字を大文字で書き、種名の最初の2文字、合計3文字をイタリック体で示す。その後菌株名を記すこともある。最後のローマ数字は同じ菌株から見つかっている制限酵素の順番を表している。本実験に使用するMboIIMoraxella bovis 由来で、この細菌はMboIMboIIの二種類の制限酵素をつくる)

 

制限酵素は細菌が外来DNAから守るための防衛機構の一つとして存在している。自身のDNAは制限酵素と同じ認識配列をもつメチル化酵素(DNAメチラーゼ)により保護しているため、制限酵素は外来DNAのみ切断し、自身のDNAは切断しない。このように、細菌では、DNAのメチル化は自身のDNAと外来のDNAを区別に使われ、外来のDNAから自身のDNAを守ることに役立っている。

 

多数の制限酵素が、さまざまな試薬メーカから市販されている。しかし、市販の制限酵素の中にALDH2-1ALDH2-2の相違部分を含む塩基配列を認識する制限酵素がないため、本実験では、Mismatch primerにより制限酵素認識配列を導入する方法をとっている。

5-4 制限酵素MboIIの認識、切断サイトと制限酵素によるPCR増幅断片の切断様式

 

MboIIメチラーゼについて】

本実験で使用する制限酵素MboIIMoraxella bovis 由来で、二本鎖の5' -GAAGA- 3' 配列を認識する。同じ M. bovis Modification methylase MboII (Adenine-specific methyltransferase MboIIDNAメチラーゼMboII) を合成している。このDNAメチラーゼMboII は制限酵素MboIIと同じ二本鎖の5' -GAAGA- 3' 配列を認識し、5塩基目のAをメチル化する。

多くの制限酵素認識配列は回文構造になっているため、制限酵素の認識配列内に切断部位やメチル化部位があり、相補鎖も同じ位置にある。しかし、制限酵素MboIIの認識配列は回文構造ではないため、切断部位も認識配列にはなく、5' -GAAGA- 3' 配列からみて下流側にある。

DNAメチラーゼMboIIのメチル化部位は5' -GAAGA- 3' 配列の5塩基目のAだけが確認されており、相補鎖のCをメチル化するかどうかは確かめられていない。メチル化された配列5' -GAAGmA- 3' を制限酵素MboII は認識できないため、M. bovis のゲノムやプラスミドのDNADNAメチラーゼMboIIによるメチル化により保護されている。

 

[参 考]

1. http://beta.uniprot.org/uniprot/P23192/

 

5-1-7 【エタノールパッチテスト】(冊子体テキストと同等、置かれている場所が違う)

実際の飲酒の場合、摂取したエチルアルコールは主に肝臓において代謝され、最終的には二酸化炭素と水にまで分解されることから、肝臓で発現している関連酵素の有無が重要である。

エタノールパッチテストでは、皮膚の色の変化により、アセトアルデヒド分解の有無を判定している。皮膚の細胞においてアルコールの代謝に関連している遺伝子群の発現と肝臓のそれらとは異なるため、皮膚を使うエタノールパッチテストの結果が必ずしも肝臓におけるアルコール代謝の強弱を反映するとは限らない。したがって、エタノールパッチテストによりアルデヒド脱水素酵素ALDH2の遺伝子型が正確に判定できるとは限らない(参考にはなる)。

 

遺伝子型がALDH2-1ALDH2-2のヘテロ接合体、あるいはALDH2-2のホモ接合体が疑われる場合は、ドラッグストアなどで買える「アルコール体質試験パッチ(ライフケア技研)などを併用してみるとよい(3枚入り)。「アルパッチ」、「ASKアルコール体質判定セット」などのキットも市販されている(高価;いずれもサンプルや資料が用意してある)

ガーゼ付き絆創膏を使ってパッチテストを行う場合、エタノールが絆創膏の隙間から蒸発しやすいため、エタノール保持に工夫を要する。

ガーゼ付き絆創膏のガーゼ部分に余計な薬剤が使われている場合はパッチテストに使えない。

 

5-1-8 【毛髪からのDNA抽出について】(冊子体テキストとほぼ同じ)

毛髪や爪は皮膚の一種であって上皮細胞が角質化によって生じたものである。角質化にともない、正常な細胞形態は破壊され死滅しているが、核の中にあったDNAは比較的安定で、角質化組織の中のDNAは高分子状態のまま存在している。抜け落ちた頭髪や死体に付着した頭髪中のDNAは、他の組織の死滅した細胞内のDNAと比べて、比較的安定して存在している。

DNAは角質化した組織に残っているため、毛根部だけでなく、毛根より先端側数センチの毛幹部や爪にもDNAが含まれている(毛髪の先端部分は毛先部と呼ぶ)。角質化組織の主成分はケラチン等のタンパク質である。したがって、毛根部、毛幹部、爪などからタンパク質を分解することでDNAを抽出することができる。

 

本実験ではProteinase Kによるタンパク質の部分分解のみで毛根部からDNAを抽出している。DNA抽出効率を高めるためには、Proteinase K溶液の中にタンパク質を変性させる尿素、SDSDTT(ジチオスレイトール)などを加える。Proteinase Kも酵素タンパク質であるため、タンパク質変性剤の存在下で機能しないように思えるが、Proteinase Kは尿素、SDSDTTなどに対して耐性を示すため、組織のタンパク質分解酵素としてProteinase Kがよく用いられる。

 

一般には、このDNA抽出物に含まれるタンパク質等の不純物を除くため、フェノール抽出法により除タンパク質し、さらに、エタノール沈殿法によりDNA精製される。

フェノールは強力なタンパク質変性剤である。水溶液に弱アルカリ性の緩衝液(約pH 8)で平衡化したフェノールを加えて攪拌した後遠心分離すると、水層(上層)とフェノール層(下層)に分かれる。中間層に見られる白い沈殿物が変性したタンパク質である。DNAはフェノールにより変性せず、水溶性のため、水層に溶けている。

この水層中DNA以外の成分を除き、DNAの水溶液として精製するために、あるいは濃縮するためにエタノール沈殿法が用いられる。DNA溶液中に適切な塩の存在下で2.5倍量のエタノールを加えるとDNAは凝集し、遠心分離によって沈殿として得ることができる。この沈殿物を75%エタノールで洗って塩を除去し、エタノールをとばした後、Nuclease-Free滅菌水などに溶かすことで精製DNAを得ることができる。

 

[参 考]

1. Sambrook, J. and Russell, D. W.Molecular Cloning 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)

 

 

5-1-9 【アガロースゲル電気泳動像について】(冊子体テキストにはない)

PCR反応により、理想的には1本のバンドが確認できるはずだが、実際には複数のバンドが確認できる。

まず、DNA分子量マーカーの位置を参考にして、目的の増幅断片を推定する。

 

この実験ではNormal primerMutant primer を用いた増幅断片の有無とMismatch primerを用いて増幅したPCR断片の制限酵素による切断の有無の2種類の実験でALDH2の遺伝子型の推定を行っている。

 

ALDH22種類あるため、遺伝子型は3種類ある。それぞれの遺伝子型と増幅断片や制限酵素切断には次のような関係がある。

2-4も参考に。

 

1) Normal primerまたはMutant primerを用いたPCR実験

PCR反応によりprimer3’末端がアニーリングした場合、135-bpの増幅断片が生じる。

 

ALDH2-1/ALDH2-1(NN)遺伝子型:正常型ホモ接合体

Normal primerで増幅するがMutant primerでは増幅しない

 

ALDH2-1/ALDH2-2(NM)遺伝子型:正常型と変異型のヘテロ接合体

NormalMutant両方のPrimerでそれぞれ増幅する

 

ALDH2-2/ALDH2-2(MM)遺伝子型:変異型ホモ接合体

Normal primerでは増幅しないがMutant primerで増幅する

 

2) Mismatch primerを用いて増幅したPCR断片の制限酵素による切断実験

いずれの遺伝子型もPCR反応により137-bpの増幅断片が生じる。

 

ALDH2-1/ALDH2-1(NN)遺伝子型:正常型ホモ接合体

増幅断片にMboII認識サイトがある。

MboIIにより137-bpのバンドは消え、125-bp12-bpに切断される

実際には12-bpバンドは薄いため確認できない。

 

ALDH2-1/ALDH2-2(NM)遺伝子型:正常型と変異型のヘテロ接合体

増幅断片にMboII認識サイトを含むものと含まないものが理想的には等量含まれる

MboIIにより125-bpに切断される断片と切断されない断片が等量含まれる

 

ALDH2-2/ALDH2-2(MM)遺伝子型:変異型ホモ接合体

増幅断片にMboII認識サイトがないため、MboIIにより切断されない

137-bpのまま変化なし

 

[参 考]

1.  Nakamura, K. et al., Biochemistry and Molecular Biology International, 31, 439445 (1993)

 

 

 

 

 

 

5-2. 課 題(冊子体テキストより詳しい)

  1. 肝臓で機能する酵素の遺伝子型が、なぜ、頭髪を用いて決定できるのか解説せよ。

ヒント:『カラー図解でわかる高校生物超入門』に同様の項目で詳しく解説してある

 

  1. ヒトゲノムにおけるALDH2遺伝子の位置を図解せよ。また、ヒトALDH2の構造(エキソンとイントロンの配置など)を調べ、遺伝子の全体像を図示し、実験に使用したPrimerがアニーリングする位置を考察せよ。

ヒント:遺伝子の構造を問うている。タンパク質のアミノ酸配列、mRNAの塩基配列ではない。

5-1-2」の塩基配列は翻訳領域の一部のみ。この塩基配列はエキソンの一部のみでイントロンは含まれていない。エキソン (exon) をエクソンともいう。

このPCR実験では鋳型にゲノムDNAを使っているので、イントロンが含まれている。5-1-3に示した塩基配列は12番目のエキソンとその前後10塩基分のイントロンの配列である。これらの配列を考慮して、この遺伝子のどの部分にPrimerがアニーリングするか、あるいはPrimerがアニーリングする位置の意味を考察する。

 

塩基配列やアミノ酸配列等は日米欧の三大データベースで検索可能。

*  DDBJ: DNA Data Bank of Japanhttp://www.ddbj.nig.ac.jp/index-j.html

*  NCBI: National Center for Biotechnology Informationhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/

*  EMBL: European Molecular Biology Laboratoryhttp://www.ebi.ac.uk/

 

その他のデータベース

l  ALDH2-1の全mRNA塩基配列はAccession No. NM_000690に登録されており、すべてのexonの配列が示される。intronを含むALDH2-1遺伝子の構造は「Entrez gene の GeneID:217」など。

l  NCBIEntrez Gene から「ALDH2」をキーワードに検索すると、最初にヒットする「ALDH2 aldehyde dehydrogenase 2 family (mitochondrial)」に詳しい情報がリンクされている。また、Ensembl Human Gene Viewにも詳細な情報がリンクされている。

l  H-InvDB H-Invitational Databasehttp://www.h-invitational.jp/)も使いやすい。ヒトの遺伝子に膨大な注釈が加えてあり、他生物とのマルチプルアライメントなど使いやすいツール満載。「ALDH2」なら「H-Inv cluster ID: HIX0011002

l  HUGO Gene Nomenclature Committee http://www.genenames.org/」も便利(ALDH2」で検索)

 

上記データベースなどから、ヒト以外の遺伝子構造の情報も簡単に得ることができる。

ヒトと他生物とのあいだで、総塩基数やエキソンの数を比べるとおもしろい。

 

  1. PCR法を応用した以下の実験技術について調べよPCR法との関連部分を述べるように)。

a.  DNAシーケンス(サイクルシーケンス)

ヒント:『やさしいバイオテクノロジー カラー版』の「塩基配列を決定する方法 ジデオキシ法」参照。PCR装置を塩基配列の決定にどのように利用しているかを考える。単なる塩基配列決定法を問うているわけではない。

さらに、今回の実験方法で増幅したPCR断片の塩基配列がPCR装置を使って決定できるかどうかも考える。できるのなら、どのような方法(Primerなど)があるか?

 

b.  定量PCR(リアルタイムPCR法など)

ヒント:「リアルタイムPCR法」をキーワードに調べるとよい。リアルタイムPCR法以外にもいくつか定量PCR法がある。リアルタイムPCR法で用いられる蛍光試薬を調べ、なぜ定量できるのかを考える。

また、何の定量に利用されているかを調べ、今回の実験方法でDNAの定量が可能かどうか、その意味があるかどうかも考える。

 

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