説明: 説明: http://shop.sbcr.jp/assets/product_images/4797338903.gif同様の記述が「やさしいバイオテクノロジー」(サイエンス・アイ新書)に書いてあります。

見やすいイラスト入りでわかりやすいです。参考にしてください。

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第1章 概  要

 

 1−1.資 料

 

○シラバス

 

・講義の目的および概要

 近年めざましい進歩を遂げているバイオテクノロジーについての原理・概念を正しく把握することを目的とします。

まず、バイオテクノロジーを理解するために不可欠な生命科学の基礎を解説し、たとえば次のような疑問に「分子レベル」で答えられるような基礎知識の習得を目指します。

 

「生物とはなにか? 生物とも生物の違いは何か?」

「遺伝とはなにか? 遺伝するというのはどういうことか?」

「子が親に似るのはなぜか? きょうだいが似ているのはなぜか?」

 

 次いで、社会問題にもなっている「生殖技術」、「遺伝子組換え農作物」などの最新技術を解説し、マスコミなどの偏向報道を正しく理解する知識を身につけます。

さらに最先端技術の抱える問題点・危険性を洗い出し、その解決法や対処法を考察します。

 

 

・講義の方針(講義の進め方)

 新書版テキストと指定のテキスト、およびWeb版テキストを中心に「シラバス」に沿って講義を行います。

各授業の前に必ず予習しておくこと。

前期は生命科学の基礎を正しく理解することに重点を置きます。

後期は、最新バイオ技術の具体的な応用例を正しく理解するとともに、その技術に潜む問題点を考察することに重点を置きます。

各自の意見を述べてもらい議論するなど、単なる知識の詰め込みではなく、考える授業を進めます。

 

 他の工学分野と比して、バイオテクノロジー(生命工学)はかなり異質の分野です。

対象が無機質な物質を扱う工学と違って(それが人間の生活を豊かにするものであっても)、生命工学は生命そのものを操作する科学なため、その技術から派生するモラルや思想、生命倫理(バイオエシックス)の問題を無視するわけにはいきません。

したがって、全体を通じてヒトとのかかわりを常に持たせた講義を行います。

医療(病気・生殖)・農業(食料)・社会(犯罪・戦争)などとバイオ技術とのかかわりを解説し、その技術の応用にともなう種々の内包する問題点を浮き彫りにしていきます。

 

 

・評価方法

 4回の定期試験の成績(中間・期末試験;4回 80%)、不定期の課題(20%)の成績を総合して評価します。

定期試験の問題は論述式がほとんどです。

単なる暗記を問う問題ではないため、試験中に教科書やノートなどの持ち込みを認めます。

ただし、携帯電話、パソコン、電子辞書等の電子機器の使用は禁止します。

 

 

・教科書

芦田嘉之著「やさしいバイオテクノロジー」(サイエンス・アイ新書)

長野敬、牛木辰男鑑「サイエンスビュー 生物総合資料 生物III 理科総合B対応 増補四訂版」(実教出版)

 

・参考書

石川統編、守隆夫他著「生物学 第2版」(東京化学同人)2008

野島博著「生命科学の基礎 生命の不思議を探る」(東京化学同人)2008

ブラウン著、村松正實監訳「ゲノム 第3版」(MSI)2007

ヴォート他著、田宮信雄他訳「ヴォート 基礎生化学 第2版」(東京化学同人)2007

上代淑人監訳「イラストレイテッド・ハーパー・生化学 原書27版」(丸善)2007

スラック著、大隅典子訳「エッセンシャル発生生物学 改訂第2版」(羊土社)2007

ネルソン、コックス編、山科郁男監、川嵜敏祐、中山和久編「レーニンジャーの新生化学 下 第4版」(廣川書店)2007

サルウェー著、西沢和久訳「一目でわかる医科生化学」(メディカルサイエンスインターナ)2007

Chiras著、永田恭介監訳、熊谷嘉人他訳「ヒトの生物学 体のしくみとホメオスタシス」(丸善)2007

クラーク著、田沼靖一監訳、秋本和憲他訳「クラーク分子生物学」(丸善)2007

 

ネルソン、コックス編、山科郁男監、川嵜敏祐、中山和久編「レーニンジャーの新生化学 上 第4版」(廣川書店)2006

Epstein著、村松正実監訳「ヒトの分子生物学」(丸善)2006

Lewin著、菊池韶彦他訳「遺伝子 第8版」(東京化学同人)2006

ストラチャン、リード著、村松正實、小南凌他監訳「ヒトの分子遺伝学 第3版](MSI)2005

キャンベル、スミス著、佐藤敬他訳「キャンベルスミス図解生化学」(西村書店)2005

ダーネル他著、石浦章一他訳「分子細胞生物学 第5版」(東京化学同人)2005

ハートン、ジョーンズ著、布山善章他監訳「エッセンシャル 遺伝学」(培風館)2005

アルバーツ他著、中村桂子他監訳「Essential 細胞生物学 原著第2版」(南江堂)2005

ワトソン他著、中村桂子監訳「ワトソン 遺伝子の分子生物学 第5版」(東京電機大学)2006

中村桂子,松原謙一監訳「細胞の分子生物学 第4版」(ニュートンプレス)2004

ストライヤー他著、入村達郎他訳「ストライヤー 生化学 第5版」(東京化学同人)2004

 

リトル著,美宅成樹訳「遺伝子と運命」(講談社ブルーバックス)

野田春彦・日高敏隆・丸山工作著「新しい生物学 第3版」(ブルーバックス)

中村桂子著「あなたのなかのDNA」(ハヤカワ文庫)

中村桂子著「食卓の上のDNA」(ハヤカワ文庫)

「生物事典 四訂版」(旺文社)

 

水野丈夫、浅島誠編「理解しやすい生物T・U」(文英堂)

吉里勝利監修「スクエア最新図説生物」(第一学習社)

鈴木考仁監「視覚でとらえるフォトサイエンス 生物図録」(数研出版)

石川統他編「ダイナミックワイド 図説生物」(東京書籍)

 

 

・蔵書 (http://www2.biglobe.ne.jp/~ashida/kurekousen/books.xls

とにかく本をいっぱい読みまくりましょう!! 年間200冊ぐらいを目標に!

借りて読みたいときは、木曜日の17時までに電子メールで連絡してください。

原則として、1回に1冊、貸出期間は次回の授業のときまでとします。

貸し出しができない本もあります。本は丁重に扱うこと。

 

 

 

○バイオテクノロジーとバイオニクス

 

 バイオテクノロジーのテクノロジーは「応用」分野です。

しかし、あたりまえのことですが、いきなり「応用」を理解することはできません。

理解するためには必ず「基礎」が必要です。

そのためにも、この授業では基礎学力を身につけることにも重点を置きます。

 

 近年、バイオテクノロジーよりもさらに応用技術に重点をおいた「バイオニクス(Bionics)」という言葉が使われるようになってきました。

この分野の先駆けの軽部征夫による「バイオニクス学入門」(丸善2004年刊)によれば、「生体機能をたくみに応用・模倣した科学技術」だという。

また、「この科学技術は21世紀に求められている「人間に優しく」「環境を損なわず」「資源のムダ使いをしない」を実現させるためのアプローチ手法として、今、産業界において、最も注目されている分野である」ともいっています。

 

 さらに、200412月より「Bionics バイオニクス」という月刊専門誌も刊行されました。

 コンピュータやロボットなどの応用技術に対して生物の機能を利用したりマネをしたりするわけですが、そのためには、生物の基本的な機能や構造を知る必要があります。

基礎知識なしには応用を考えることはできません。

 

この授業では、生命のしくみにかんして、次のような疑問に「分子レベル」で答えられるような基礎知識の習得を目指す。

 

 

 

○年間概要

 

 前期は、まず、生物の特徴を述べ、個体レベルから細胞レベル、分子レベルの順に生命科学の基礎を解説していきます。

最近話題の生殖技術や新しい物質生産技術を理解するうえで不可欠な知識を身につけます。

 

 後期は、バイオテクノロジーの具体的な応用例を解説します。

古典的な(といっても数10年前)組換えDNA実験から、「クローン」、「遺伝子組換え食品」を中心に解説します。

さらに、新しいテクノロジーに伴って噴出したさまざまな社会問題についても考えます。

たとえば、「クローン」技術に派生して、脳死移植や胚性幹細胞を用いた新しい移植技術や、「遺伝子組換え食品」に派生して、食品等の安全性の議論も行います。

さらに「優生学」や「優生思想」についても取り上げ、人間の生と死についても考えます。

 

 アメリカ合衆国のマサチューセッツ工科大学やハーバード大学といった超一流大学などで、生物学を全学部の必須科目にすることになっているそうです。

しかも、学生だけでなく、教官も学習する義務があるそうです。

生命科学にかんする知識なしにはどんな学問もできないということでしょう。

 

 バイオテクノロジーは20世紀半ばに始まった科学です。

1953年、ワトソンとクリックにより遺伝子の本体であるDNAの三次元構造が明らかにされました。

その後、DNAに暗号化されている遺伝情報がRNAに転写され、次にその情報がタンパク質に翻訳されることが明らかにされました。

このDNAからRNA、タンパク質へと伝わる情報の流れを「セントラルドグマ」と呼んでいる。

まず、この流れを正しく理解することから始めます。

 

 指定教科書の自著と図録は一般高校生レベルのものです。

高専4年生の授業としてこの教科書では物足りないかもしれませんが、1-3年までに「生物」の授業が全くないことから、まず高校生レベルの知識を身につける必要があります。

しかし、この授業はこのレベルにとどめることは考えていません。

したがって、前期の早い時期に高校の2年間で学ぶ内容のエッセンスを講義します。

本来2年間で学ぶことを数ヶ月間で学ぶわけですから、すべてを網羅することはできません。

そのため、後期の授業に必須の基礎知識や教科書だけではわかりにくい点を中心に講義します。

 

 上記のような特殊なカリキュラムなため、特に予習が重要となります。

授業の終わりに次週の内容を予告しますので、このテキストや関連の書籍等で必ず学習しておくように。

 

 基礎学力の授業が終われば、教科書のレベルも超えた先端技術の紹介も含めて、基礎学力で理解できる程度の最新情報も紹介します。

 

 ひとくちに科学技術とひとまとめにしていわれますが、科学と技術はまったく別のものです。

この授業では「科学」に重点をおき、正確な「科学的思考力」を養うことも目標としています。

 

 教科書を読まずに授業に臨むのは無謀です。

 まず、教科書として指定している図説をすべて読むこと。

 授業を受ける前に教科書のすべてを読むのは、学習の基本中の基本です。

 理解できないところがあっても読み飛ばし、とにかく教科書の全体像を把握し、どのページにどの内容が書いてあるのかを概観すること。

 

 

 

○基本用語の概説

 

 本書では「DNAデオキシリボ核酸、「遺伝子」および「ゲノム」という用語をさかんに使います。

これらの3つの用語を簡単に眺めておくことにします。

 

 すべての生物は「細胞」という基本構造を持っています。

本書では細胞を作っている基本物質のうちDNAと「タンパク質」にしぼって説明します(糖質や脂質などは出てきません)。

遺伝子の本体がDNAで、遺伝子の役割はタンパク質の設計図です。親から子、細胞から細胞へ伝わる情報はDNA分子によって伝えられます。

 

 DNA4種の「塩基」(アデニンA、グアニンG、シトシンC、チミンT)という化合物が繋がった化学物質の名前です。

塩基の並ぶ順番とその長さ、つまり「塩基配列」によって異なる構造の化合物ができます。

「遺伝情報」というのはDNAの塩基配列のことです。

タンパク質はアミノ酸がつながった化合物の名前です。

タンパク質が生物の働きの多くを担っています。

遺伝情報の中でも「RNA」(リボ核酸)にその情報が写し取られ(「転写」といいます)、タンパク質の「アミノ酸配列」を決めている部分が遺伝子です。

 

 ヒトを例にして少し具体的にみてみましょう。

ヒトのひとつの細胞に含まれているDNA分子の長さは、だいたい30億塩基ぐらいです(実際には2セット)。

さまざまな長さの遺伝子がこのDNA分子の中に2万数千箇所あります。

遺伝情報として30億塩基分の塩基配列がヒトゲノムです。

つまり、ある生物を構成するのに必要な遺伝情報のセットがゲノムになります。

その中には当然2万数千種の遺伝子が含まれています。

ヒトは約60兆個の細胞からなります。

すべての細胞は原則として同じゲノムを持っています。

 

説明: 説明: スライド5

 

 

 

用語解説

 

バイオテクノロジー (biotechnology) 「分子細胞生物学辞典」

生物体の機能を利用した新しい技術全般をいう。これは分子生物学の発達に基づき、遺伝子クローニングを中心とした遺伝子工学の発展とともに始まったものである。これに細胞工学、胚工学などの新しい分野の技術が融合し、かつては想像もされなかった新しい技術が続々と誕生している。クローン化したcDNAによる有用物質の生産、それに突然変異を導入した人工物質やそれらを生産する新しい生命体の作出、バイオチップ、バイオセンサーなどの作製などその応用は限りない。おそらく21世紀にはテクノロジーの中核を形成し、人類の発展、福祉の向上に役立つ技術体系となるものと思われる。

 

バイオテクノロジー (biotechnology) 「生化学辞典」

生物のもつ機能そのものを工学に利用しようという技術。発酵を中心とした諸技術から、遺伝子工学、タンパク質工学、細胞工学、バイオプロセス工学などを基盤技術として新しいバイオテクノロジーが展開している。

 

 

 

○遺伝子組換え技術にかんするアンケートとその結果

 

「遺伝子組換え食品」にかんする認識度調査

 

以下の問に対して、正しい(その通り)と思えば○、間違っている(違う)と思えば×で答えてください。

 

1.    私は遺伝子組換え食品を、食べたことがない。

 

2.    市販されている遺伝子組換え食品には抗生物質が含まれているものがある。

 

3.    市販されている遺伝子組換え食品には除草剤が含まれているものがある。

 

4.    遺伝子組換え食品には昆虫を殺す毒素(殺虫毒素)を作るものがある。この野菜を虫が食べると死んでしまうので、人間がこの毒素入り野菜を食べると、人間に害を与える。

 

5.    遺伝子組換え技術を使えば、どんな遺伝子でも組み込むことができる。例えば、動物の足を作る遺伝子を野菜に組み込めば、野菜に足が生えて畑から逃げ出すことがある。

 

6.    例えば、トマトの遺伝子にハエの遺伝子を入れ、腐りにくいトマトを作る。こんな、トマトを食べたいと思いますか?

 

7.    どんな植物でも枯らすことができる強力な除草剤に耐性の組換え野菜がある。つまり、強力な除草剤が残留した野菜を食べることになる。当然、この残留農薬が人間に害を与える。

 

8.    通常我々が食べている食品はリスク・ゼロの安全なものであるが、遺伝子組換え食品はリスク・ゼロではない。

 

9.    遺伝子組換え食品のように、自然でないものを食することは異常である。食品は自然のものがよい。

 

10.  遺伝子組換え食品は絶対に安全なものである。

 

番外:遺伝子組換えダイズ95%使用の国産納豆が市販されています。食べたいですか?

 

 

説明: 説明: GMOa

 

 

 現時点での「遺伝子組換え」にかんする理解力をみるために、前記の認識度調査をおこなっています。

2001年より、同じ内容のアンケートをとっています。

 

 上図のグラフのとおり、9年間で大きな傾向の変化はありません。

○の数は5個のものが一番多く、平均してちょうど3割です。

○の数が36個のものが全体の83%をしめます。

 

 特に誤答率が高く問題が深刻な設問は、460%)、788%)、861%)、および9番(58%)です。

 

 47番の回答から、農薬にかんするイメージの悪さがうかがえます。

現在日本において認可されている農薬は、詳細なデータは後日紹介しますが、1970年代までに使われた人体や環境にとって危険な農薬と違って、格段に安全性が高いものです(安全であると言っているのではない。念のため)。

学生の中にある農薬にかんする否定的な知識は古いデータにもとづく教育のせいだと思われます。

1970年代までのことしか知らない教師による教育を受けたのであれば、農薬に関して誤った知識を持つのはしかたがないかもしれませんが、現在使われている農薬は当時とは全く異なるものです(ただし、これは先進国での話であって、中国などの途上国ではこの限りでない)。

ひとつだけ現在の農薬をあげると、除草剤としてよく使われ、除草剤耐性遺伝子組換え作物に使われるグリホサートの急性毒性は、食塩より低いです

ラットへの経口投与実験の結果から、急性毒性値は4.9g/kgであり、これを単純にヒトに当てはめると、体重60kgの人で300g弱が致死量です。

これほど多量の除草剤を一気に飲む人はいないでしょうが、逆にいうと、除草剤で死のうと思うと、これほど多量に飲まなければならないわけです。

とうぜん、残留農薬はもっと微量です。

 

 発癌の原因は何だと思うかをアンケートすると、ほとんどの調査で農薬、食品添加物が12位をしめます。

しかし、癌学者や癌疫学者の調査・研究結果では両者をあわせても発癌要因の1%前後に過ぎません。

現在の使用可能な農薬を適正に使用しているのであれば、農薬による癌のような慢性毒性も先にあげた急性毒性も心配する必要がありません。

むしろ野菜や果物やコーヒーなどの通常の食品に含まれる発癌物質や急性毒性物質のほうがはるかに多量に含まれ危険です。

 

 実際に発癌要因の1/3は食品(くどいようだが、残留農薬や食品添加物ではなく、野菜などの食材そのもの)です。

タバコ(これも植物由来)も発癌要因の1/3です。残り1/3がウイルスなどの諸要因です。

 

 89の結果から、自然信仰、リスク・ゼロ信仰もうかがえます。

先にあげたとおり、通常食べている食品に危険物質が含まれていないものはありませんし、通常の食品のほうが農薬や添加物より危険性ははるかに高いです。

また、一般に栽培品種より野生の植物のほうに危険物質は多く含まれています。

つまり、自然ほど危険性がより高く、農薬や食品添加物は危険な食品の安全性を高めるために使われています。

 

 一般に栽培品種を改良するとき、味のいいものや、収穫量の増すもののほかに、危険物質が少なくなるように改良されます。

安全性やリスクの話は、今後の授業でも何度か取り上げる予定です。

 

 現在、日本国内では遺伝子組換え作物を販売目的に栽培されているところはありません。

したがって、一般の消費者が国産の遺伝子組換え作物由来の食品を食べることはありません。

日本政府が認可している遺伝子組換え品種であれば、日本国内で自由に栽培してもいいことになっています。

しかし、風評被害を気にする(科学的根拠のある被害は指摘していない)反対市民団体の行動により、農家が遺伝子組換え作物に興味を示していても、

これを栽培できない状態が続いています。認可されている品種の多くは、農薬の量を減らすことができ(コスト削減)、労力も大幅に削減できるため、栽培したい農家が意外と多い(つまり生産者側にとってメリットは大きい)。

 

 海外で作られた遺伝子組換え作物を素材にして作られた表示義務のある食品も手に入れることは困難です。

たとえば、大豆を例にあげると、納豆、豆腐、味噌、油揚などで組換え作物大豆を原料にしたと積極的にうたった食品はコンビニ、スーパー、百貨店などの通常の店舗ではひとつも市販されていません。

しかし、日本の遺伝子組換え作物の輸入量は世界一であり、遺伝子組換え作物の消費量もおそらく世界の上位にあり、実際には国内で遺伝子組換え作物由来の食品や飼料は数多く出まわっています。

表示義務のない、例えば大豆油、脱脂大豆、醤油、飼料など多くの食材で遺伝子組換え作物が多く使われています。

 

 日本(以下のデータは2008年の統計)の大豆自給率は4%ほどです。

輸入の80%はアメリカからであり、アメリカの遺伝子組換え大豆作付け割合は92%を越えています(2005年の作付け割合は87%)。

国産大豆の生産量はわずか16万トン(年々減っている)、国内で消費される大豆は食品用で105万トン、そのうち80万トンは豆腐・油揚、味噌・醤油、納豆用です。

 

 スーパーや百貨店で売っている納豆、豆腐、豆乳などを手に取ってみて欲しい。

一部中国産と書いたのがある以外ほとんど国産大豆(多くは北海道産)使用と書いてあります。

一体、国産大豆はどこで生産されているのでしょうか?

説明: 説明: 第2版

 仮に国産大豆をすべて豆腐・油揚に使ったとすると、国内で消費される豆腐・油揚の3分の1以下しか作ることができません。

残り、豆腐・油揚の3分の2、味噌、醤油、納豆、豆乳、大豆加工食品、大豆油、飼料などにはすべて輸入大豆を使う必要があります。

ちなみに世界の大豆栽培面積にしめる遺伝子組換えの割合は60%です(2005年の統計)。

 

 遺伝子組換え大豆使用と書いて唯一市販されているのは、北海道のA−HITBioの「納豆のススメ」です(20031128日発売開始)。

ただし、スーパーや百貨店などの店舗での販売はなく、クール宅急便による通販のみです。

どの店舗でも販売を拒否されるため、簡単に消費者が選べるようにはなっていません。

当該商品の開発者の冨田房男氏に学会でお会いしたときに直接お尋ねしたところ、大学生協での直接販売に活路を見いだそうとしているとのことでしたが、残念ながら販売網は拡大していません。

唯一販売されているのは、地元北海道大学の「北大会館」だけだそうです。

国内で遺伝子組換え大豆は栽培されていないため、この製品はアメリカ産の遺伝子組換え大豆(除草剤耐性)を使用しています。

 

 この納豆を持参するので、希望者は食べてみてください。

送料込みで1パック84円と、通常の「遺伝子組換えでない」と、とりあえず書かれたスーパーで売っている納豆に比べてかなりの割高商品です。

 

クール宅急便のパッケージ

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説明: 説明: DSC02785

パッケージ 表、裏、横

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解凍前       解凍後

 

 

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無断転載を禁じます。 ashida@msi.biglobe.ne.jp・芦田嘉之

2011915() 更新

 

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