平成24年度 定期試験問題

 

平成24年度 学年末試験 (第23講−第29講)

平成250215日(金) 9:1510:15 予定

 

以下の項目を理解しているかを問う試験です。

基本用語「DNA」「遺伝子」「ゲノム」等を理解しているか

 

基礎的な科学用語を正しく使って解説できるかどうかを問う問題です。

すべて記述式です。簡潔に解説するように。極端な誤答は減点します。

 

質問等は電子メールで:

☆わかりやすい件名(Subject)を必ずつけること

 Subjectのないメールは受け取れません(迷惑メール対策)

☆必ず名のること

24時間以内に返事します

 返事か無ければ受け取っていない可能性が高い

 

試験当日の注意事項:

・講義と同じ場所です。着席する順番は問いませんが、着席可能な場所は指定します(カンニング防止のため)。

・次の資料の持ち込みを認めます。

  教科書、副読本、配付資料、ノート

・次の機器の使用を禁止します。

  パソコン、電子辞書、ケータイなどの電子機器類

・他人の文章を丸写ししないように。コピー解答は厳しく採点します。

・試験時間は60分。時間配分には十分に留意し、白紙解答がないよう全問題解答するように(選択問題はない)。

・答案は配布した所定の解答用紙に書くこと。解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

・問題用紙は持ち帰ること。次回の解説で使います。

 

 

予定問題(変更することがあります)(随時公開します)

平成25 215  915 1015

平成24年度 学年末試験問題 (第23講−第29講)

「バイオテクノロジー」

・試験中、教科書、ノート、配付資料の持ち込みを認める

・パソコン、電子辞書、スマートフォンなどの電子機器の使用は禁止する

・問題用紙(本紙を含め2枚)と解答用紙3枚を配布する

・選択問題はない。全問解答せよ

・解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい

・小問の解答順序は問わない。小問番号を解答用紙の左カラムに明記すること

・極端な誤答は減点する

・試験開始後30分以上経過すれば(9:45)途中退室を認める

解答用紙のみ教卓の所定の場所に提出してから、静かに退室すること

・問題用紙は持ち帰ること。次回の授業で使用する

 

「遺伝子」や「ゲノム」、「DNA」について、学術用語を正確に使って科学的に論じよ。

まず、問題全体をよく読み、バランスよく解答すること

 

1 (50)

ヒトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子(教科書p104)は、通常肝臓で発現(転写・翻訳)し、アルデヒド脱水素酵素は肝臓で働く。

この酵素の遺伝子型を、髪の毛から抽出したDNAを使ってPCR法により鑑定した。

1-1 この方法では、肝臓で働く酵素の遺伝子型を髪の毛のDNAにより鑑定している。なぜそれが可能なのか、解説せよ。

1-2 (略)

 

2 (50)

授業で配布した朝日新聞の記事(別紙:朝日新聞20121107日の記事)をよく読んで問に答えよ。

2-1 この記事は「DNA」「ゲノム」「遺伝子」を「物質」か「遺伝情報」かで分類して解説してある。(以下略)

2-2 6番目の「A(E)で「DNA」と「ゲノム」を「メモリーカード」と「写真データ」のアナロジー(類比・類推)で解説してある。(以下略)

2-3 7番目の「A(F)で「DNA」(「ゲノム」の意味と思われる)に占める「遺伝子」が2%だと解説してある。(以下略)

 

 

実際の試験問題

 

平成25 215  915 1015

 

平成24年度 学年末試験問題 (第23講−第29講)

「バイオテクノロジー」

 

・試験中、教科書、ノート、配付資料の持ち込みを認める

・パソコン、電子辞書、スマートフォンなどの電子機器の使用は禁止する

・問題用紙(本紙を含め2枚)と解答用紙3枚を配布する

・選択問題はない。全問解答せよ

・解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい

・小問の解答順序は問わない。小問番号を解答用紙の左カラムに明記すること

・極端な誤答は減点する

・試験開始後30分以上経過すれば(9:45)途中退室を認める

解答用紙のみ教卓の所定の場所に提出してから、静かに退室すること

・問題用紙は持ち帰ること。次回の授業で使用する

 

「遺伝子」や「ゲノム」、「DNA」について、学術用語を正確に使って科学的に論じよ。

(まず、問題全体をよく読み、バランスよく解答すること)

 

1                                                    (50)

ヒトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子(教科書p104)は、通常肝臓で発現(転写・翻訳)し、アルデヒド脱水素酵素は肝臓で働く。

この酵素の遺伝子型を、髪の毛から抽出したDNAを使ってPCR法により鑑定した。

 

1-1

この方法では、肝臓で働く酵素の遺伝子型を髪の毛のDNAにより鑑定している。

なぜそれが可能なのか、解説せよ。

 

1-2

1-1の問いに対して次のような解答があった。この解答について論じよ。

 

「肝臓と髪の毛のDNAが同じだから」

 

 

2                                                    (50)

授業で配布した朝日新聞の記事(別紙:20121107日の記事)をよく読んで問に答えよ。

 

2-1

この記事は「DNA」「ゲノム」「遺伝子」を「物質」か「遺伝情報」かで分類して解説してある。記事の4番目(C)5番目(D)の「A」の記述を、それぞれ学術的に正確に書き直せ。

 

2-2

6番目の「A(E)で「DNA」と「ゲノム」を「メモリーカード」と「写真データ」のアナロジー(類比・類推)で解説してある。7番目の「A(F)の「遺伝子」とあわせて、この解説は適切かどうか論じよ。

(余力があれば、1番目の「A(@)で「DNA」「遺伝子」「ゲノム」を「生命の設計図」に例えていることの是非も論じよ)

 

2-3

7番目の「A(F)で「DNA」(「ゲノム」の意味と思われる)に占める「遺伝子」が2%だと解説してある。これは「翻訳領域」のことと思われるが、学術用語の「遺伝子」は多くの意味で使われる。列記し、概略せよ。

 

 

(別紙は省略した)

 


 

平成24年度 後期中間試験 (第15講−第22講)

平成241130日(金) 9:1510:15 予定

 

授業中に書いてもらっているレポートの課題をふまえて、以下の項目を理解しているかを問う試験です。

・教科書全般

基本用語「DNA」「遺伝子」「ゲノム」等を理解しているか

基礎的なバイオテクノロジーの技術を理解しているか

 

基礎的な科学用語を正しく使って解説できるかどうかを問う問題です。

すべて記述式です。簡潔に解説するように。

極端な誤答は減点することもあります。

 

 

質問等は電子メールで:

☆わかりやすい件名(Subject)を必ずつけること

 Subjectのないメールは受け取れません(迷惑メール対策)

☆必ず名のること

24時間以内に返事します

 返事か無ければ受け取っていない可能性が高い

 

 

試験当日の注意事項:

・講義と同じ場所です。

 着席する順番は問いませんが、着席可能な場所は指定します(カンニング防止のため)。

 

・次の資料の持ち込みを認めます。

  教科書、副読本、配付資料、ノート

 

・次の機器の使用を禁止します。

  パソコン、電子辞書、ケータイなどの電子機器類

 

・他人の文章を丸写ししないように。コピー解答は厳しく採点します。

 

・試験時間は60分。時間配分には十分に留意し、白紙解答がないよう

 全問題解答するように(選択問題はない)。

 

・答案は配布した所定の解答用紙に書くこと。

 解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

 

・試験終了後、全ての解答用紙と第8講から第13講までの授業レポートを提出する。

問題用紙は持ち帰ること。次回の解説で使います。

 

 

 


予定問題(変更することがあります)(随時公開します)

平成241130日(金) 9:1510:15

平成24年度 後期中間試験問題 (第15講−第22講)

「バイオテクノロジー」

・試験中、教科書、ノート、配付資料の持ち込みを認める。パソコン、電子辞書、携帯電話などの電子機器の使用は禁止する

・問題用紙(本紙を含め2枚)と解答用紙(問12枚、問22枚)を配布する

・問題は2問ある。2問とも解答せよ。解答はそれぞれ専用の解答用紙に書け

・解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい

・所定の解答用紙を使っていれば、小問の解答順序は問わない(小問番号を左カラムに明記)

・極端な誤答は減点する

・試験開始後30分以上経過すれば(9:45)途中退室を認める。解答用紙のみ教卓の所定の場所に提出してから、静かに退室すること

・問題用紙は持ち帰ること。次回の授業で使用する

 

 

1 植物のバイオテクノロジーにかんする問題(授業で配付した資料をネタにした問題

1-1 20121029日付の朝日新聞の「科学」欄に次のような記事が載った(授業中に配布した)。(以下略)

1-2 1-1の記事の続きに次のように書かれていた。(以下略)

 

2 動物とヒトのバイオテクノロジーにかんする問題

2-1 ヒトには約200種類の細胞があるといわれている。ヒトのような多細胞生物で、各種細胞が混じり合わず、同種の細胞同士が塊を作って臓器や器官を形成しているのはなぜか? 簡潔に解説せよ。

2-2(略)種々の多能性幹細胞

2-3(略)体細胞クローン技術

2-4 あなたの体細胞を使って4種の山中因子を導入する方法でiPS細胞を作成・培養し、その細胞群にレトロウイルスベクターを利用して1つのチンパンジー由来の遺伝子を導入した。この遺伝子改変細胞から通例の核移植技術を使って誕生させたクローン人間とあなたとの関係を「問2-3」の解答を踏また上で簡潔に解説せよ。

 


平成241130日(金) 9:1510:15

 

平成24年度 後期中間試験問題 (第15講−第22講)

「バイオテクノロジー」

 


   試験中、教科書、ノート、配付資料の持ち込みを認める。パソコン、電子辞書、携帯電話などの電子機器の使用は禁止する

   問題用紙(本紙を含め2枚)と解答用紙(問12枚、問22枚)を配布する

   問題は2問ある。2問とも解答せよ。解答はそれぞれ専用の解答用紙に書け

   解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい

   所定の解答用紙を使っていれば、小問の解答順序は問わない(小問番号を左カラムに明記)

   極端な誤答は減点する

   試験開始後30分以上経過すれば(9:45)途中退室を認める。解答用紙のみ教卓の所定の場所に提出してから、静かに退室すること

   問題用紙は持ち帰ること。次回の授業で使用する


 

1 植物のバイオテクノロジーにかんする問題

30点)

1-1 20121029日付の朝日新聞の「科学」欄に次のような記事が載った(授業中に配布した)。

 

澤さんはダイコン(ダイコン属)とキャベツの仲間のコールラビ(アブラナ属)をかけあわせた属間雑種「京ラフラン」や「イタメチャイ菜」もつくった。
 ダイコンとキャベツは属が違うため、授粉しにくい。繰り返し授粉して刺激することで交配させる。このような雑種は両親から1組ずつもらった染色体同士が不ぞろいなため、種ができない。

 

下線部にあるように、属間雑種の場合なぜ「種ができない」のかを、「この雑種は体細胞分裂するのに減数分裂しない」ことに論点を絞って「染色体」「DNA複製」などの用語を正しく使って簡潔に解説せよ。

 

1-2 問1-1の記事の続きに次のように書かれていた。

だが、まれに両方の染色体を2組ずつ全部持った子になり、種で増やせるようになる。それぞれが持つ、固有の病害に対して強い遺伝子の両方を兼ね備えられる。

「農家につくってもらうには、機能だけでなく味や食感もよくないと。京ラフランは、キャベツのシャキシャキ感とダイコンのやわらかさをあわせもっています」と矢澤さん。栄養価も高いという。

 

下線部のようなことが「交配」を繰り返すだけで起こりえるだろうか? 本当に記事にあるような「種で増やせる」「両方の染色体を2組ずつ全部持った」品種ができたのなら、どのような技術を使ったのだろうか? 「染色体」などの用語を正確に使って科学的に検証せよ。

 

 

2 動物とヒトのバイオテクノロジーにかんする問題

70点)

2-1 ヒトには約200種類の細胞があるといわれている。ヒトのような多細胞生物で、各種細胞が混じり合わず、同種の細胞同士が塊を作って臓器や器官を形成しているのはなぜか? 簡潔に解説せよ。

 

2-2 2012年のノーベル生理学・医学賞の受賞理由の1つはiPS細胞の確立であった。このiPS細胞を含む次の3種類の幹細胞の特長・相違点などをそれぞれの作り方作成された(作成されるはずの)細胞に分けて簡潔に解説せよ。

1.ヒト体細胞から4種のヒト遺伝子(山中因子)の導入で作ったヒトiPS細胞

2.ヒト体細胞から通例の核移植技術で作ったヒトクローンES細胞

3.ヒト受精卵由来の胚を利用して作ったヒトES細胞

 

2-3 あなたの体細胞と他人(仮にAさん)の卵子を使って通例の核移植技術により体細胞クローン人間を誕生させたとする。このクローン人間とあなたとの関係を「ゲノム」「遺伝子」「DNA」「遺伝情報」「ミトコンドリアゲノム」「形質」を正確に使って簡潔に解説せよ。

 

2-4 あなたの体細胞を使って4種の山中因子を導入する方法でiPS細胞を作成・培養し、その細胞群にレトロウイルスベクターを利用して1つのチンパンジー由来の遺伝子を導入した。この遺伝子改変細胞から通例の核移植技術を使って誕生させたクローン人間とあなたとの関係を「2-3」の解答を踏また上で簡潔に解説せよ。

 

 


解答例と解説(唯一の正解というわけではない)

1-1

下線部にあるように、属間雑種の場合なぜ「種ができない」のかを、「この雑種は体細胞分裂するのに減数分裂しない」ことに論点を絞って「染色体」「DNA複製」などの用語を正しく使って簡潔に解説せよ。

 

このような雑種は両親から1組ずつもらった染色体同士が不ぞろいなため、種ができない。

 

* 雑種が育つ、しかし不稔・不妊 その意味は?

* 体細胞分裂と減数分裂

 

 

属間雑種の場合、それぞれの種の持つ染色体の数や構造が異なる場合が多い。

設問の場合、交配を利用して品種改良しているため、それぞれの種が減数分裂で生じた配偶子を受精させている。

体細胞は相同染色体が対になった2倍体であるが、配偶子は半数体である。

属間雑種で生じた体細胞は稀に体細胞分裂することがあり、その場合は発生が進み個体が生じることがある。体細胞分裂は相同染色体がなくても進行することがあるためである(各染色体が個別に複製し、独立して娘細胞に分配される)。

減数分裂は相同染色体が対になる交叉(組換え)を起こす必要があり、属間雑種で生じた細胞の染色体は対になっていないことが多いことから、属間雑種の減数分裂は進行しないことが多い。減数分裂が進行しなければ、配偶子は生じない。

 

* 田中君の答案

 

 

 

1-2

下線部のようなことが「交配」を繰り返すだけで起こりえるだろうか? 本当に記事にあるような「種で増やせる」「両方の染色体を2組ずつ全部持った」品種ができたのなら、どのような技術を使ったのだろうか? 「染色体」などの用語を正確に使って科学的に検証せよ。

 

まれに両方の染色体を2組ずつ全部持った子になり、種で増やせるようになる

 

* 二倍体と半数体

* 配偶子と受精

 

1-1と同様、交配を利用し品種改良しているため、配偶子の受精で属間雑種を作っている。

設問にあるような「両方の染色体を2組ずつ全部持」つ状態は、生じた属間雑種の細胞委はそれぞれのゲノムが2セットずつあることになる。

両方の染色体を2組ずつ全部持」つためには、それぞれの種から生じた配偶子の全ての染色体が対になっている必要がある。そのような特殊な配偶子が生じれば、それぞれの種の配偶子が受精したとき「両方の染色体を2組ずつ全部持」つことがありえる。

 

そのためには、それぞれの種が減数分裂を起こすとき、染色体の不分離が起これば相同染色体を持つ配偶子が生じるかもしれない。現実に、ヒトの場合、ターナー症候群やダウン症の例もあり、植物でも同様の例がある。

しかし、この設問の場合、全ての相同染色体で不分離が起こる必要があることから、ほとんどありえないと思われる。また仮にその様な配偶子ができたとしても、両方の種で同様のことが起こる必要があり、それら稀に起こる配偶子が体細胞融合のような形で受精する必要があることから、ほとんど起こりえないと考えられる(一方だけが倍数化し、他方は正常な減数分するなら、一方は相同染色体が対になり、他方は対にならない)。

 

また、それぞれの種から正常に減数分裂で生じた半数体の配偶子を人工的に化学的な処理によって倍数化し、それらを受精させれば設問のような「両方の染色体を2組ずつ全部持」つこともありえる。しかし、この記事では「まれに」生じることがあると述べているため、化学的な倍数化を行ったわけではなく、それぞれの種の配偶子の染色体が自然に全て倍数化したと述べているようになので、人工的な倍数化を起こしているわけではなさそうである。

また、2種の体細胞同士を細胞融合する事で「両方の染色体を2組ずつ全部持」つことも可能であるが、細胞融合で全ての染色体が残ることは少なくいため、「両方の染色体を2組ずつ全部持」つことは稀である。

融合細胞内に残った染色体が全て対になっているとこも稀なため、減数分裂も起こりにくく、配偶子ができる可能性も小さい。

 

* 細胞融合は「キメラ」ではない

* 遺伝子単位の組換えで作ることは不可能 ゲノム丸ごとの倍数化の話

 

 

 

2-1

ヒトには約200種類の細胞があるといわれている。ヒトのような多細胞生物で、各種細胞が混じり合わず、同種の細胞同士が塊を作って臓器や器官を形成しているのはなぜか? 簡潔に解説せよ。

 

* 細胞接着分子

* 体細胞の多様性 遺伝子発現 ゲノムと遺伝子

 

カドヘリンという細胞表面にある細胞接着分子がある。カドヘリンには120種類以上あるとみられている。

同種のカドヘリンは結合するという性質を持っていることから、同種のカドヘリンを発現している細胞同士は接着するが、異種のカドヘリンを発現している細胞同士は接着しない。

胚発生が進む過程で、細胞分化に伴い発現するカドヘリンを選択されることにより、同種の細胞は接着し、異種の細胞は離れていくことになる。

 

 

 

2-2

2012年のノーベル生理学・医学賞の受賞理由の1つはiPS細胞の確立であった。このiPS細胞を含む次の3種類の幹細胞の特長・相違点などをそれぞれの作り方作成された(作成されるはずの)細胞に分けて簡潔に解説せよ。

 

1.ヒト体細胞から4種のヒト遺伝子(山中因子)の導入で作ったヒトiPS細胞

2.ヒト体細胞から通例の核移植技術で作ったヒトクローンES細胞

3.ヒト受精卵由来の胚を利用して作ったヒトES細胞

 

* 特長・相違点 共通する項目と違う項目を分類

* 材料と方法

* 結果

* 考察

 

それぞれの技術で使う細胞と胚は次のようである(材料)。

                          

体細胞                     ×

卵 子         ×           

精 子         ×      ×     

胚盤胞         ×           

 

それぞれ使われる技術は次のようである(方法)。

                          

胚盤胞の破壊   ×           

遺伝子導入           ×      ×

核移植         ×            ×

体外受精       ×      ×     

 

1と2は体細胞を使うが、3は使わない。

生殖細胞として3は卵子と精子を使い、2は卵子のみ使う。1は生殖細胞を使わない。

2と3は体外での胚発生の最終段階である胚盤胞を破壊して作るが、1は胚を使わない。

2と3は胚盤胞を作成するため、これを子宮に戻して妊娠させることができる。出産すれば、2では体細胞クローン人間が、3では体外受精児が誕生する。1を作成する過程で個体ができる可能性はない。

1だけ遺伝子導入を行う。これには多くの方法が開発されており、1に導入した遺伝子の痕跡を残さない方法も考えられている。

2だけ核移植技術を使う。この技術は未熟で、体細胞の初期化が困難なことなどから成功率が低い。現に、2はまだ作られていない。

3だけ体外受精を行う。体外受精そのものの技術は確立されている。日本で年間数万人がこの技術で誕生しており、新生児の40人に1人程度と言われている。

 

生じた細胞の特長は次のようである(結果)。

                          

細胞培養                  

遺伝子組み換え

多能性                    

全能性         ×      ×      ×

クローン                   ×

拒絶反応       ×      ×     

 

いずれの細胞も培養が可能で、固有の性質を保ったまま増殖させることができる。

培養が可能なため、遺伝子組換え技術が使いやすい。

作成したいずれの細胞も多能性を持っているが全能性は持っていない。

多能性を持つため、あらゆる細胞に分化する可能性を持っているが、臓器のような立体的な細胞群を作る技術は今のところ限定されている。

1と2は体細胞を出発点とするため、できた細胞と提供された体細胞のゲノムは基本的には同一である(クローン)。そのため、1や2の細胞から分化して作られた細胞シートなどを体細胞を提供したヒトに移植しても免疫的に自己であるため、拒絶反応が起こらない。

3の細胞は受精により新規に誕生するゲノムであるため、そこから分化した細胞をつくっても、誰に対しても拒絶反応が起こる。

 

 

 

2-3

あなたの体細胞と他人(仮にAさん)の卵子を使って通例の核移植技術により体細胞クローン人間を誕生させたとする。このクローン人間とあなたとの関係を「ゲノム」「遺伝子」「DNA」「遺伝情報」「ミトコンドリアゲノム」「形質」を正確に使って簡潔に解説せよ。

 

私とクローン人間の関係は年の離れた一卵性双生児と似ている。

私の体細胞を利用してクローン人間が誕生していることから、私とクローン人間の体細胞のゲノムは基本的には同じであり、それらのゲノムに含まれている数万の遺伝子も同様である。なぜなら、ゲノムの遺伝情報の化学的本体はDNAという化合物であり、DNAの塩基配列が遺伝情報となり、その遺伝情報が私とクローン人間との間でほぼ同じだからである。

通常の受精では、卵子の核ゲノムと精子の核ゲノムから受精卵の核ゲノムが形成されるが、ミトコンドリアゲノムは卵子由来だけで、精子由来のミトコンドリアゲノムは受精卵から生じた胚には存在しない。

核移植を行う場合も同様で、除核卵と私の体細胞を細胞融合により受精卵様の細胞をつくった場合、私のミトコンドリアゲノムはその細胞にはなく、除核卵由来のミトコンドリアゲノムのみが存在する。この受精卵様の細胞の全ての遺伝情報が正確に複製されてクローン人間の体細胞となる。

したがって、クローン人間の核ゲノムは私の核ゲノムとほぼ同じであるが、ミトコンドリアゲノムはAさん由来である。

遺伝子の情報にしたがって作られたタンパク質の働きに依存する形質は、私とクローン人間の間で基本的には同じはずである。しかし、遺伝子と形質が単純に1対1で対応するわけではなく、異なる環境により遺伝子発現様式に影響を受けることが多く、その場合、同じゲノムであっても異なる形質が発現する場合がある。

成長する過程で獲得した形質は私とクローン人間の間でほとんど異なるはずである。

 

* 私とクローン人間の「DNA」が「同じ」なわけではない。単なるDNAは化学物質の名前

* 年の離れた一卵性双生児 年の離れた「兄弟」では変

 

 

 

2-4

あなたの体細胞を使って4種の山中因子を導入する方法でiPS細胞を作成・培養し、その細胞群にレトロウイルスベクターを利用して1つのチンパンジー由来の遺伝子を導入した。この遺伝子改変細胞から通例の核移植技術を使って誕生させたクローン人間とあなたとの関係を「問2-3」の解答を踏また上で簡潔に解説せよ。

 

* 遺伝子導入された細胞から個体が生じることの意味

* 再生委医療として、単なる遺伝子導入された細胞の利用だけではない

* 導入される遺伝子=ヒトの4遺伝子+チンパンジーの1遺伝子

* 導入される遺伝子の特長 遺伝子発現調節 遺伝子由来のタンパク質の構造と機能

* ひとつの遺伝子で生物種が代表されるわけではない

* 植物における遺伝子組換え作物との関係 ゲノムと遺伝子との関係

 

iPS細胞を再生医療として生殖系列細胞以外に利用するのであれば、その細胞を利用した個体が死ぬことで、そのiPS細胞も死に絶え、その細胞の遺伝情報が遺伝することはない。つまり、iPS細胞のゲノムを持った個体が生じるわけではない。しかし、設問の方法では、iPS細胞のゲノムを持った個体が誕生する。

iPS細胞をつくるときにヒトの4遺伝子を導入している。同じ遺伝子を自分のゲノムも持っているが(内因性)、レトロウイルスを用いて山中因子(ヒトの4遺伝子)を導入した場合には自分のゲノムに4遺伝子が追加されており、それらが内因性の4遺伝と協調して発現するとは限らないため、正常な胚発生や成長が起こるとは限らない。

また、設問の方法では、さらにチンパンジーの遺伝子をひとつ導入している。この場合、どんな遺伝子を導入するかが問題となる。ヒトと同じ構造のタンパク質を発現する遺伝子であれば(例えば授業で取り上げたシトクロームC遺伝子など)、iPS細胞をつくるときにヒト遺伝子を導入したのと同じことが起こる。つまり、チンパンジーの遺伝子を導入しているが、結果的にヒトの遺伝子を導入したのと同じことである。

ヒトと異なる構造のタンパク質を発現する遺伝子や、ヒトが持っていない遺伝子を導入する場合、自分のゲノムに追加される遺伝子が内因性の遺伝子と異なるため、その導入された遺伝子がゲノム全体の遺伝子発現に影響を与えるようであれば、何らかの形質の違いとして発現する可能性がある。

しかし、導入されるチンパンジーの遺伝子はひとつだけであり、自分のゲノム自体が大きく変わるわけではない。多くの場合、問2-3で生じた年の離れた一卵性の双子と同じような子が誕生すると思われる。

ヒトのゲノムにチンパンジーの遺伝子をひとつ導入したからといって、チンパンジー的なヒトが誕生するわけではない。

 

* 黒田君の答案 2行目から

 

 

 

 



平成24年度 前期末試験 (第7講−第14講)

平成240727日(金) 9:1510:15 予定

 

授業前に書いてもらっているレポートの課題をふまえて、以下の項目を理解しているかを問う試験です。

・教科書 p143 までの範囲

基本用語「DNA」「遺伝子」「ゲノム」等を理解しているか

遺伝子の構造と転写・翻訳の基本を理解しているか

DNAの遺伝情報をもとに作られるタンパク質の機能の意味を理解しているか

基礎的なバイオテクノロジーの技術を理解しているか

 

科学用語DNA、遺伝子、ゲノム、遺伝情報、タンパク質など)を正確に使って(使い分けて)解説できるかどうか。

すべて記述式です。簡潔に解説するように。

箇条書きやメモは採点しません。

図示してもかまいませんが、必ず解説文をつけること(図のみは採点しません)。

極端な誤答は減点することもあります。

 

 

質問等は電子メールで:

☆わかりやすい件名(Subject)を必ずつけること

 Subjectのないメールは受け取れません(迷惑メール対策)

☆必ず名のること

24時間以内に返事します

 返事か無ければ受け取っていない可能性が高い

 

 

試験当日の注意事項:

・講義と同じ場所です。

 着席する順番は問いませんが、着席可能な場所は指定します(カンニング防止のため)。

 

・次の資料の持ち込みを認めます。

  教科書、副読本、配付資料、ノート

 

・次の機器の使用を禁止します。

  パソコン、電子辞書、ケータイなどの電子機器類

 

・他人の文章を丸写ししないように。コピー解答は厳しく採点します。

 

・試験時間は60分。時間配分には十分に留意し、白紙解答がないよう

 全問題解答するように(選択問題はない)。

 

・答案は配布した所定の解答用紙に書くこと。

 解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

 

・試験終了後、全ての解答用紙と第8講から第13講までの授業レポートを提出する。

問題用紙は持ち帰ること。次回の解説で使います。

 


予定問題(変更することがあります)(随時公開します)

平成24年度 前期末試験問題 (第7講−第14講)

「バイオテクノロジー」

問題用紙2枚(本紙を含む)と解答用紙3枚を配布する。問題は2問ある。2問とも解答せよ。

解答は所定の解答用紙を使用し、解答スペースが不足したときは、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

小問の解答順序は問わない。極端な誤答は減点する。

 

1 映画「SWITCH」に出演している博士はバイオテクノロジーの世界的権威と紹介されている(筑波大学名誉教授)。

以下はこの映画の紹介サイトに載っていた解説の要約である。問に答えよ。

参考:http://www.sunmark.co.jp/switch/

a) 人間の遺伝子には32億文字に相当する情報が入っていると言われている。

これは1,000文字 x 1,000ページの百科事典3,200冊分に相当する膨大な情報だ。

) しかし、その遺伝子のうち数パーセントしか使っていないことが研究によりあきらかにされている。

これは一生を通じての話で、一生眠っている遺伝子がたくさんあることを意味する。

) 幸いなことに、遺伝子にはスイッチがあり、それをオンにする方法がある。

「眠っている遺伝子のスイッチをオンにすれば、人間の可能性は無限大だ」(世界的権威談)。

1-1 「遺伝子」「ゲノム」「塩基配列」「遺伝情報」(省略)

1-2 遺伝子の発現(転写・翻訳)(省略)

1-3 遺伝子の発現(転写・翻訳)(省略)

 

 

2 ヒトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子(教科書p104)は、通常肝臓で発現(転写・翻訳)し、アルデヒド脱水素酵素は肝臓で働く。この酵素の遺伝子型を、髪の毛から抽出したDNAを使ってPCR法により鑑定した。また、簡易測定法であるアルコールパッチテスト(腕の皮膚にアルコールを塗りつけ、赤く変化するかしないかで判定)も行った。次の問に答えよ。

参考:http://www2.biglobe.ne.jp/~ashida/PCR/

2-1 PCR法におけるプライマー設計(省略)

2-2 今回のPCR法では、肝臓で働く酵素の遺伝子型を髪の毛のDNAにより鑑定している。なぜそれが可能なのか、簡潔に解説せよ。

2-3 遺伝子とタンパク質の機能(省略)

 


実際の試験問題

1 映画「SWITCH」に出演している博士はバイオテクノロジーの世界的権威と紹介されている(筑波大学名誉教授)。以下はこの映画の紹介サイトに載っていた解説の要約である。

問に答えよ。                                             60点)

 

a) 人間の遺伝子には32億文字に相当する情報が入っていると言われている。

これは1,000文字 x 1,000ページの百科事典3,200冊分に相当する膨大な情報だ。

) しかし、その遺伝子のうち数パーセントしか使っていないことが研究によりあきらかにされている。

これは一生を通じての話で、一生眠っている遺伝子がたくさんあることを意味する。

) 幸いなことに、遺伝子にはスイッチがあり、それをオンにする方法がある。

「眠っている遺伝子のスイッチをオンにすれば、人間の可能性は無限大だ」(世界的権威談)。

 

1-1   a)を「遺伝子」「ゲノム」「DNA」「塩基配列」「遺伝情報」をすべて使って学術的に言い換えよ。

1-2    )について、以下の図(ヒトゲノムに占める各領域の割合)を参考に、科学的に正しく言い換えよ。

ただし、ここでの「遺伝子」はa)の「遺伝子」と同じ意味で使われているものとする。

            また、もし、b)の「遺伝子」の意味が学術用語の「遺伝子」の意味だとすると、どのような不都合が生じるか? 脳における通常の遺伝子の発現率(=転写・翻訳している遺伝子数/全ての遺伝子数)は60%程度で、一生涯でほぼ全ての遺伝子が発現するとみられている。

(図略)

1-3    )について、博士は自由意思で、例えば意図的に笑うことで良い遺伝子がオンにでき、陰湿な考えで悪い遺伝子がオンになると主張している。もしそれが可能なら(さらに、自然に起こる笑いで複数の遺伝子発現[転写・翻訳]に影響を与えると仮定して)、どんなことが起こると予測されるか? ただし、ここでの「遺伝子」はa)b)の「遺伝子」とは異なり、学術用語としての「遺伝子」の意味とし、博士の言うとおり「眠っている遺伝子」に限定で論じよ。

            また、c)の「遺伝子」の意味がa)b)の遺伝子の意味だとすると、どのような不都合が生じるか?

 

 

2 ヒトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子(教科書p104)は、通常肝臓で発現(転写・翻訳)し、アルデヒド脱水素酵素は肝臓で働く。この酵素の遺伝子型を、髪の毛から抽出したDNAを使ってPCR法により鑑定した。また、簡易測定法であるアルコールパッチテスト(腕の皮膚にアルコールを塗りつけ、赤く変化するかしないかで判定)も行った。次の問に答えよ。

40点)

2-1    ヒトアルデヒド脱水素酵素の主な対立遺伝子は2種類あり、翻訳領域に1塩基だけ違いがある(教科書p107)。これを利用してPCR法で遺伝子型を判定するのなら、どのような工夫が必要だろうか。具体的に解説せよ。

2-2    今回のPCR法では、肝臓で働く酵素の遺伝子型を髪の毛のDNAにより鑑定している。なぜそれが可能なのか、簡潔に解説せよ。

2-3    アルコールパッチテストは、肝臓で働く酵素の活性(タンパク質の働き)を皮膚にぬったアルコールが分解する度合いで調べている。この鑑定方法に科学的な根拠があるだろうか? 根拠を持たせるためにはどのような前提が必要だろうか。簡潔に解説せよ。

 

 

 


平成24年度 前期中間試験 (第1講−第6講)

平成240525日(金) 9:1510:15 予定

 

最初の試験ですので、基礎的な用語の意味を理解しているかを問います。

 

授業前に書いてもらっているレポートの課題をふまえて、以下の項目を理解しているかを問う試験です。

1. 基本用語「DNA」、「遺伝子」、「ゲノム」、「染色体」、「タンパク質」

2. 細胞から細胞へ、親から子への遺伝情報の流れ

3. DNAからタンパク質への遺伝情報の流れ=転写・翻訳=

 

科学用語DNA、遺伝子、ゲノム、遺伝情報、タンパク質など)を正確に使って(使い分けて)解説できるかどうか。

すべて記述式です。簡潔に解説するように。

箇条書きやメモは採点しません。

図示してもかまいませんが、必ず解説文をつけること(図のみは採点しません)。

極端な誤答は減点することもあります。

 

 

質問等は電子メールで:

☆わかりやすい件名(Subject)を必ずつけること

 Subjectのないメールは受け取れません(迷惑メール対策)

☆必ず名のること

24時間以内に返事します

 返事か無ければ受け取っていない可能性が高い

 

 

試験当日の注意事項:

・講義と同じ場所です。

 着席する順番は問いませんが、着席可能な場所は指定します(カンニング防止のため)。

 

・次の資料の持ち込みを認めます。

  教科書、副読本、配付資料、ノート

 

・次の機器の使用を禁止します。

  パソコン、電子辞書、ケータイなどの電子機器類

 

・他人の文章を丸写ししないように。コピー解答は厳しく採点します。

 

・試験時間は60分。時間配分には十分に留意し、白紙解答がないよう

 全問題解答するように(選択問題はない)。

 

・答案は配布した所定の解答用紙に書くこと。

 解答スペースが不足した場合は、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

 

・試験終了後、全ての解答用紙と5回分のレポートを提出する。

問題用紙は持ち帰ること。次回の解説で使います。

 

 

 


試験問題

平成24525日(金) 9:1510:15

 

平成24年度 前期中間試験問題 (第1講−第6講)

「バイオテクノロジー」

問題用紙(本紙)と解答用紙4枚を配布する。全問解答すること。極端な誤答は減点する。

解答は所定の解答用紙を使用し、解答スペースが不足したときは、同じ解答用紙の裏面を使ってもよい。

 

1 次の文章をよく読み、問に答えよ

100点)

真核生物の細胞内にミトコンドリアという小器官がある。ミトコンドリアの中にもDNAがあり、独自の転写・翻訳系を持っていて、ミトコンドリアDNAの遺伝子の情報からタンパク質が合成される。ミトコンドリアはミトコンドリア内で合成されたタンパク質や核内の遺伝子情報由来のタンパク質などからなり、主にエネルギー代謝を担当している。細胞内でミトコンドリア自身も複製され、体細胞分裂のとき、ミトコンドリアは娘細胞に分配される。

ミトコンドリアは母系遺伝する。卵子と精子が受精するとき、それぞれの配偶子にはそれぞれのミトコンドリアが存在するが、受精卵となり、卵割するときには卵子由来のミトコンドリアのみが残り、精子由来のミトコンドリアはオートファジー(自食作用)により消滅すると考えられている。

ミトコンドリアにある遺伝子は13個で、それぞれの遺伝子から作られたタンパク質が重要な役割を担っている。それらの遺伝子が突然変異を起こし、元と異なる構造と機能を持ったタンパク質を作ることがある。場合によっては遺伝子が重複したり遺伝子を欠失したりすることもある。核内の遺伝子ばかりでなく、ミトコンドリアの遺伝子の変化でもさまざまな障害が生じることがある。

 

ある健康アドバイザーは著書で次のように主張している。

1.    ミトコンドリアはエネルギー代謝など重要な役割を担っている。ところが、ミトコンドリアは年齢とともに減少し、その役割が衰えていく。

2.    ミトコンドリアは野菜の中にも大量に含まれている。ミトコンドリアは熱に弱い。ミトコンドリアに含まれている酵素は45℃以上の加熱で死んでしまう。つまり、加熱調理した野菜に含まれているミトコンドリアは死んでいて機能を持っていない。

3.    年齢とともに減少したミトコンドリアの機能を補うためには、新鮮なナマの野菜をとることが重要だ。ナマの野菜をとることにより、エネルギー代謝が活発となり、余分な脂肪などを分解してくれるので、ダイエットにも最適だ!

 

 

1-1 ミトコンドリア遺伝子にはイントロンがない。ミトコンドリアの遺伝子Aの構造を調べると、遺伝子Aの塩基数が2,000塩基対、合成されるタンパク質Aの推定アミノ酸数は499個であった。この遺伝子Aの構造と転写・翻訳される過程を図解せよ。その中にmRNAと翻訳領域の塩基数を明示し、文章による解説を必ず加えること。

 

1-2 1-1の遺伝子Aの構造を調べていると、3‘側の非翻訳領域は300塩基対であり、さらに5‘側から300塩基目が1塩基欠落しているミトコンドリアBが見つかった。また別のミトコンドリアCの遺伝子A領域では5‘側から50塩基目に1塩基挿入が見つかった(遺伝子C)。変異型遺伝子B、変異型遺伝子Cと元の遺伝子A由来の合成されるタンパク質にどのような違いがあるだろうか。図解せよ。文章による解説を必ず加えること。

 

1-3 減数分裂のときも下線と同様、ミトコンドリア(ミトコンドリアDNAも)は分配される。自分の体細胞、自分の精子にはどのようなゲノムが存在するか、また、自分の子孫にはどのようなゲノムが受け継がれるか、「ゲノム」「遺伝子」「DNA」などの情報や物質の流れがわかるよう核ゲノムとミトコンドリアゲノムを比較しながら簡潔に解説せよ。

 

1-4 引用文の健康アドバイザーの主張1と2が、もし正しいとすると、主張3は成り立つだろうか? 科学的な根拠をあげ簡潔に解説せよ。


 

解答例と解説(唯一の正解というわけではない)

1-1

タンパク質Aのアミノ酸数が499個で1個のアミノ酸をコードしている塩基数が3個であることから、翻訳領域の塩基数は499 x 3 + 3(終止コドン)1500塩基である。

遺伝子A2,000塩基対であり、イントロンがないことから、mRNA Aの塩基数も2,000塩基である。

そのうち翻訳領域が1500塩基あり、mRNA  Aの非翻訳領域は 2000-1500=500塩基となる。非翻訳領域は5'側と3'側の2カ所ある。

二本鎖DNAの遺伝子Aは翻訳領域として1500塩基対、非翻訳領域の合計が500塩基対となる。

(この問題では、単純化するため、転写後の修飾を無視している)

 

 

 

1-2

1-1よりmRNAの非翻訳領域は500塩基であり、問により3'側の非翻訳領域が300塩基であることから5'側の非翻訳領域は200塩基であることがわかる。

すなわち、遺伝子A200塩基対の5'非翻訳領域、1500塩基対の翻訳領域、および300塩基対の3'非翻訳領域を持つ。mRNAの構造も同様である。ただしmRNA1本鎖である。

 

ミトコンドリアBでは、5'側から300塩基目に1塩基欠落している。この欠落部位は翻訳領域の100塩基目になる。

この1塩基欠落が転写調節に影響を与えないとすると、mRNA Bの塩基数はおそらくmRNA Aより1塩基少ないだけで、他の塩基配列は同じと思われる。

mRNA Aと比べてmRNA Bの翻訳領域の100塩基目が1塩基欠失していることから、この100塩基目以降のコドンの読み枠がずれ、ミトコンドリアAのタンパク質Aとはアミノ酸配列が全く異なるタンパク質Bが生じることになる。終止コドンがいつ出てくるかわからないため、mRNA Bの翻訳領域の塩基数やタンパク質Bのアミノ酸数は不明である。

 

 

ミトコンドリアCでは、5'側から50塩基目に1塩基挿入が見られる。この挿入部位は翻訳領域の外、5'非翻訳領域にあり、この1塩基が転写や翻訳調節に影響を与えないのであれば、翻訳領域の読み枠には変化がないことから、両者の翻訳領域の塩基配列は同じであり、タンパク質CはミトコンドリアAのタンパク質Aと同じであると推定できる。

mRNA Cの塩基数はおそらくmRNA A より挿入部分の1塩基が多いだけで、それ以外はmRNA Aの塩基配列と同じと思われる。

 

もし、1塩基挿入により開始コドンができた場合、そこから翻訳が開始されるとすると、mRNA Aより翻訳開始が150塩基ほど早まり、読み枠も異なることから、タンパク質Aとは全く異なるタンパク質Cが合成されると思われる。

 

 

1-3

ミトコンドリアは細胞内で複製され、同じミトコンドリアゲノムを含む。そのことから、体細胞分裂でも減数分裂でも、それぞれの分裂で生じた細胞内には突然変異を起こさなければ、同一のミトコンドリアゲノムがある。

体細胞分裂の時、核ゲノムはほぼ正確に複製され、娘細胞に受け継がれる。

核ゲノムもミトコンドリアゲノムも化学物質としての本体はDNAで、半保存的複製によりコピーされる。そのため、複製により生じた細胞核やミトコンドリアには、元の細胞核やミトコンドリアの二本鎖DNAのうちの1本と、複製時に新たに合成された1本の鎖を持つ。DNAの塩基配列は複製前と基本的には同じである。

ゲノムの中にRNAに転写される単位としての遺伝子がある。核ゲノムには約3万、ミトコンドリアゲノムには13個の遺伝子がある。核ゲノムは相同染色体の形で存在するため、2セットあり、遺伝子もそれぞれ2個ずつ、約3万対ある。

減数分裂によって生じる精子の場合、核ゲノムは対になっている相同染色体が分かれ、1セットのゲノムになり、その中に3万の遺伝子が含まれている。

先に述べたように、減数分裂時にミトコンドリアゲノムは基本的には変化しない。問題文にあるとおり、ミトコンドリアゲノムは母系遺伝で、精子に存在するミトコンドリアDNAは分解されるため、精子のミトコンドリアゲノムは子孫には伝わらない。

 

 

1-4

ミトコンドリアは細胞内にあって、それぞれの細胞自身が合成し、エネルギー代謝、電子伝達系、アポトーシスなど重要な機能を有している。

ミトコンドリアに存在するタンパク質が突然変異を起こすだけでも大きな機能障害や病気が生じえる。

植物と動物のミトコンドリアの構造は大きく異なり、その働きも大きく異なる。ミトコンドリアが単独で機能しているわけではなく、細胞内の他の小器官と相互作用しており、調節されている。ミトコンドリアの合成もミトコンドリアゲノムだけでなく核のゲノムとも強調しながらすすめられる。この調節や相互作用に関わる遺伝子は同じ動物であっても異なる。まして、植物とヒトとなると、細胞内でもミトコンドリアの役割は大きく異なる。

万が一、植物の機能するミトコンドリアがヒトの細胞内に入ったとしても、植物のミトコンドリアがヒトの細胞にとって正常な機能を発揮してくれる保証はない。異常な働きをする可能性の方が高い。

実際には、植物のミトコンドリアが破壊されずに経口摂取したとしても、ヒトの消化管で分解、吸収され、ミトコンドリアとしての機能はもとより、それを構成するタンパク質や核酸などの高分子も分解され、これらの機能は全て失っている。そのため、ナマの野菜を食べたとしても、そこに含まれているミトコンドリアやタンパク質の機能が食べたヒトの中で発揮されることはありえない。

万が一、経口摂取したタンパク質が破壊されずに機能を持ったまま吸収されたとしても、このタンパク質が食べたヒトの細胞に取り込まれることはなく(細胞膜により阻止される)、まして、タンパク質と比べて巨大な構造物であるミトコンドリアが細胞膜を通過して細胞に入ることもありえない。

万が一、ミトコンドリアが破壊されずに吸収されたとしても、植物のミトコンドリアが(働いて欲しい)ヒトの脂肪細胞にまで運ばれることもない。もし吸収されれば、そのミトコンドリアは(タンパク質であっても)異物として認識されることから、過激な免疫応答がおこり、重篤なアレルギー症状を示す可能性が高く、生命の危機にさらされることになる。「ダイエットにも最適」などと言っている場合でない。

 

 

コメント

DNA2本鎖、RNA1本鎖である。したがって、DNAの長さは塩基対(bp)、RNAの長さは塩基(b)で表す。

mRNAと翻訳領域を混同している解答があった。mRNAに翻訳領域と非翻訳領域があり、翻訳領域は翻訳開始のAUGコドンから終止コドンまで。それ以外は非翻訳領域。

mRNAとタンパク質を混同している解答もあった。これは論外。

499 x 3 = (500-1) x 3 この計算間違いが少なからずあった。

教科書のコピー解答は厳しく採点した。中にはコピーが劣化していて、重要な用語の書き写しミスを犯している解答があった。

問題用紙に明記してあるように、極端な誤答は減点した。ただし、マイナス点にはしていない(すべての例で差し引き0点となった)。

 

 

 

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無断転載を禁じます。 ashida@msi.biglobe.ne.jp・芦田嘉之

2014312() 更新

 

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