古酒マニアY氏のソネヴァン(音楽とワイン)

"Autumn Leaves" & "CONDRIEU 1985"


 すっかり秋(もう冬ですね)になりました。1980年にジョージ・ウィンストンの『オータム』が秋の定番BGMになるまでは,いろいろな曲で秋が彩られていたような気がします。
 それほど『オータム』は強烈だったということでしょうが,それ以前にやはり定番的な曲のひとつといえば,ジョセフ・コスマの名曲『枯葉』でしょう。シャンソン歌手は言うに及ばず多くのJAZZミュージシャンに愛されたこの曲には数多くの名演奏があります。

 とくにビル・エヴァンスの『ポートレート・イン・ジャズ』やマイルス・デイヴィスの『バラッズ・アンド・ブルース』での演奏は文句なく素晴らしいのですが,秋の街の色彩と舞い散る枯葉,そして風に運ばれた枯葉が帰って行く土の香りをイメージして1974年のチェット・ベイカーのアルバム"She was so good to me"を選んでみました。ボブ・ジェームスのエレクトリック・ピアノが全体をマンハッタンっぽく演出していますが,チェット・ベイカーの奏でるくすぐるような風に乗って舞い散る枯葉が,ポール・デズモンドのソロで少しは土の香りのするところまで連れていってくれたような気がします。

 土とか枯葉というと「赤かな?」と思いますが,枯葉が幾枚か重なってその上にうっすらと霜の降りたような風情は案外,豊潤で華やかな赤よりも果実味が程よく抑えられたような熟成した白ワインがぴったりの世界ではないでしょうか。ドイツかな,アルザスかな,それともロワール? と思いを巡らせるうちに,ローヌに落ち着きました。

 葉を落とした街の木々たちはこれからクリスマスにむかって黄金色に輝くガラスの実をつけることになり,その下ではきらびやかなラベルをまとったシャンパーニュが人々の笑顔を誘うことでしょう。それまでのつかの間,枯葉に想いを寄せながら静かにグラスを傾けるのも秋らしいのでは…。


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