保険代理店の情報化―今やらなければ明日はないー

意識改革 新GNP経営(3)

―事務所から営業所に―

成功されているプロ代理店にお邪魔して事務所を拝見すると,まさに事務所というにふさわしいところが多い。女性事務員の皆さんが書類ホルダーに取り囲まれて,申し込み用紙を初めとした大量の書類を積み上げて,忙しく事務に立ち働いている。

この事務が代理店オンラインシステムの導入により,大きく変わろうとしている。ところが多くの経営者がその変化をキチット認識していないため,そのための準備がなされていない。先ず,その辺を認識して意識を変えて行く必要がある。

現在の保険事務は,データが一気通貫で流れず,それぞれの段階で人が介在してチェックをしているところに最大の問題はある。人が介在することで当然ミスが発生し,ペンディング作業が発生,その処理に何倍ものコストがかかるといった悪循環になっている。

代理店と保険会社が電子ネットワークで結ばれ,代理店のパソコンで入力したデータがそのまま保険会社繋がればどうなるか,一度考えて頂きたい。内務事務と称する煩瑣な事務が,殆ど事務レスと思えるほど改善されることが理解されると思う。

この代理店直接入力の導入が,いよいよ先進的代理店で始まっている。お客様のために役立ってない,つまり付加価値を生まない後ろ向きの事務が大幅に減る。全ての時間をお客様のために使う意気込みで改革をして頂きたい。「事務所」から「営業所」へである。

―保険会社はイコールパートナー―

保険会社にとっても,代理店オンラインシステムのスムーズな導入は死活問題となっている。内務事務を徹底合理化しないと生き残れないといった消極的な面だけでなく,変化の激しい商品やサービスを的確に顧客に伝えるためにも欠かせなくなっている。

従って,オンラインシステムに対応出来ない代理店は消えざるをえない。支店や支社におんぶに抱っこの代理店は論外にしても,多くの代理店がシステム導入支援の不十分さに不満を漏らすなど,無意識のうちに保険会社に依存している点が気になる。

当面,原点に帰って,保険会社は単なる取引先に過ぎないと考えるぐらいが適当である。そうすれば,おんぶに抱っこが如何に非合理かが理解出来よう。その上でビジネスライクに,イコールパートナーとして,どのような協力関係を築けるかを検討する。

保険会社との関係で代理店がイコールパートナーとなるには,やはり顧客の接点に一番近い利点を活用し,顧客をより深く知ることが前提となる。そのことにより,初めて保険会社に対して,拮抗力を持てることになる。

多くの代理店では,顧客の生年月日や家族構成,あるいは,顧客企業の従業員数や売上といった基礎的データすら充分つかまえていない。これではとてもイコールパートナーにはなり得ない。様々な顧客との接点を通じて,データを蓄積する努力が欠かせない。

―新GNP経営―

保険代理店の営業は、GNP、即ち、G(義理)N(人情)P(プレゼント)だといわれてきた。規制により価格決定が制約されている業界では、当然、GNPといった非価格競争にならざるを得ない。つまり,保険業界では、保険代理店のGNPは今までは大変合理的な営業戦略であった。

保険ビッグバンにより、保険業界は、価格を初めとして様々な競争が行われる,普通の業界に急速に変化しつつある。保険代理店にとって、時代は変わったとの認識に基づく意識改革が重要となる。新しい経営のキーワードとして、G(グランドデザイン)N(ネットワーキング)P(プロセスイノベーション)を提案したい。

総合保険センターといったような,あれもこれもの代理店では、この金融ビックバンバンを乗り越え、企業を存続、発展させることはむつかしい。自社の強みを生かした事業領域の絞り込みが必須となる。つまり,各社のグランドデザインを描くことが必要だ。

また,今後、代理店の選別・淘汰が進行する中で,事務の共同化,ゆるい形の連携,あるいは合併といった様々なネットワーキングの動きが進む。単なる仲良しクラブでない,それぞれ強みを生かした戦略的同盟が必要となる。

さらに,代理店支援オンラインにより内務事務の生産性が劇的に改善される。営業のやり方も顧客を選別し,その顧客に対してより深いサービスを、パソコンとネットワークを駆使して行うことになる。先を見据えた経営のプロセスイノベーションが不可欠である。