自由と規制(28)

今年の初め、我国で始めてインターネット上の画像に対し、刑法のわいせつ図画公然陳列罪が適用となった。米国においても通信品位法が議会両院を通過成立し、ポルノをはじめとしたオンライン上の表現に対する規制が始まった。これに対して、反対派は、表現の自由を定めた憲法に反するとして最高裁に持ち込んでいる。

確かに、インターネット上の表現には目に余るものも多い。ただ、ポルノについて社会的非難が高まっていることは、インターネットというメディアが一人前になった証拠でもある。

最近、広島県警は、プロバイダー(インターネット接続業者)を書類送検した。わいせつ図画が掲載されていることを知りながら削除せず、自社のホームページにリンク(ホームページの該当個所をマウスでクリックすると表示された情報に自動的にリンクし飛んでいく仕組み)を張った疑いである。規制が製作者以外にも及んだ。

インターネット業界は、その生い立ちから自由な雰囲気を重んじる。インターネット上の行動規範としてネチケットと言われるものを自主的に維持してきた。しかしながら、利用者の裾野が広がるにつれ、それでは済まなくなってきている。プロバイダーが様々な規制を契約約款に盛り込むとか、ブラウザ(インターネット閲覧ソフト)にレーティングを持ち込み、子どもに見せないようにするとかといった一種の自主規制を始めた。

インターネットにおける規制をめぐっては、アメリカにおける暗号規制、幾つかの国による国際回線へのアクセス制限や検閲等国家安全上の問題も厄介である。また、グローバルなネットワークにつての、裁判管轄権や準拠法の問題がある。現在、私は、内外価格差を利用して、アメリカにサーバーを借りようとしている。そこに過激なポルノを乗せたらどうなるか。頭の体操になる。