オープンとクローズ(26)

いま、インターネットの戦いの主役は、マイクロソフト社とネットスケープ社である。インターネットの特徴は、そのオープンさにあると前に述べた。両者の戦いの図式は、そのオープンさを武器に戦うネットスケープと、ウインドウズを武器に顧客の囲い込みを図るマイクロソフトといったところであろう。

インターネットの基本的ソフトにブラウザソフトがある。このソフトは、HTML(ハイパーテキストマークアップランゲッジ)という共通形式の言語で書かれたWWW(ワールドワイドウェッブ:俗にホームページといわれ、世界中がクモの糸のように繋がっている)を読んでパソコン上に表示する。ブラウザは基本的には、文章や画像を表示するが、現在では、動画や音声をも表現するとともに、電子メールの受発信、情報の検索、ネット上の会議機能等に拡張され始めている。ブラウザの特徴は、操作が極めて簡単であり、また、機能が拡張されるにつれ、情報の収集、伝達、共有化等事務処理の基本が、ブラウザ1つでまかなえる可能性が出てきている。

ブラウザでは、現在のところ、ネットスケープ社のネットスケープナビゲーターが優位を占めているが、それを、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラーが猛追している。マイクロソフトは、ブラウザを無料で配布するとともに、ブラウザと基本ソフトであるウインドウズとの一体化を進めている。一方、ネットスケープは、どのような基本ソフトでも動くプラウザという、インターネットの伝統的オープンさをベースに製品開発を進めている。

米国では、ネットスケープ社がマイクロソフト社を反トラスト法に違反しているとして訴えている。エクスプローラーを採用すれば、Windows95をディスカウントするとPCメーカーに働き掛けたとの訴えに、マイクロソフトが猛反論しており、行方が注目される。