集中と分散(27)

メインフレーム(大型汎用機)からパソコンへ、そして今ネットワークへと大きく時代は動いている。前にも述べたように、10年に一度の大変革といえる。これに対して、関係各社はそれぞれの立場で、はたから見れば我田引水とも言える主張をぶつけあっている。メインフレームからパソコンの流れは、集中から分散への動きであった。コンピュータがネットワークとして繋がりだし、高機能なコンピュータに、端末がぶら下がるといった集中的階層的な形へ回帰するのではないかといった議論である。

インターネットを理解するための基本概念に、サーバーとクライアントがある。クライアントがサーバーに対して情報を求め、それに対してサーバーがクライアントに情報を提供する。インターネット自体は、クライアントとサーバーを仲立ちする仕組みである。サーバーとクライアントといった場合、コンピュータのハードをさす場合、ソフトを意味する場合、また、その両方をさすこともある。

IBMは、メインフレームをスーパーサーバーと称して、自社がメインフレームにこだわり続けたことは正しい選択であったとの主張をしている。一方、マイクロソフトは、それを、時代を逆行させるアナクロイズムと決め付けている。

インターネットに接続してつかうネットワークコンピュータ(NC)の開発が進んでいる。簡易型のパソコンで、当初500ドルコンピュータといわれていたが、半導体の値下がりから300ドル程度でまもなく登場するかもしれない。サーバー側でクライアントのNCを管理する仕組みで、ブラウザの使いやすさを武器に、ビジネスネットワーキングを変える可能性が高い。クライアントとしてのパソコンがなくなることはないが、NCがパソコンのかなりの部分を代替することもありえよう。