いつでもどこでもコンピューテイング

前回大型計算機について話した。当時の電子計算機の利用形態は、紙のカード(パンチカード)に穴を開けてプログラムとデータを打ち込み、カードの束を電算室に持ち込んで処理する、いわいるバッチ処理といわれるものであった。電算機の稼働率を最大化するためである。

 慎重にパンチカードをチェックし電算室持ち込んでも、ミスがあれば1日以上待たされるという状態であった。優先処理をお願いするため、オペレーターに差し入れをしたことが思い出される。知的生活にコンピュータを活用するには程遠い状態であった。

知的生活にコンピュータを活用するには、「いつでも、どこでもコンピューテイング」が基本と私は考える。当時夢物語として個人用の携帯電子計算機が語られていたが、意外に早く実現した。

私が初めて携帯型のコンピュータを入手したのは、1982年であった。シャープから発売されたPC−1500というポケットコンピュータである。BASIC(パーソナルコンピュータ用に開発されたプログラム言語)が走り、小さいながら多色印刷が可能なプロッターがついた、なかなかの名器であった。

その後、89年にF1レーサーの鈴木亜久里のCMで有名になった東芝ダイナブック、94年に携帯により便利となった、一回り小さく軽いサブノート型のコンパックエアロ、そして今年に入ってインターネット接続が可能なサブノート、IBMシンクパッドと、一貫して携帯可能にこだわって購入してきた。

昨年95年はネットワーク元年といわれる。大手のパソコン通信会社が相次いで会員数が100万人を超えたことを告げた。また、今年になってインターネットのブームが訪れている。いよいよ日本もコンピュータがつながり始めた。