痴・智・知(30)

私はチの3段階説をとなえている。知は知識の交換、智は智恵の交換、痴は情を通じることである。電子上の情報交換つまりオンラインでの情報のやり取りは、知では易しく、痴では難しい。

データとかインフォメーションとかいう知識の交換は、今後オンラインでのやり取りが大勢を占める。それに対し、情を通じることは、先駆的?商用化が始まっているようだが、オンラインではなかなか満足のいく成果は得られないだろう。

これからは、智恵の交換が電子上の情報交換の主戦場となる。前に「オンとオフ」という題で述べたように、智は意味を含んだ情報のやり取りである。智の電子上の情報交換については、様々な試みがなされ始めている。これらの動きを、国際大学GLOCOM所長公文俊平氏は、智業、智民と表現している。

前回のべたように、21世紀への1500日で、世界中のパソコンが通信で繋がり、それも、映像・音声・文字がシームレスにやり取りが出来るようになる。

IT(インフォメーション・テクノロジー)の進化は、ある意味ではオフをオンに代替する動きである。電子メールから始まり、グループウエアと言われる情報共有のソフトウエア、電子会議システム等会わずにコミュニケーションを図る仕掛けが、ビジネスに急速に導入される。

しかし、必ずしも情報化の進展が、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの機会を減らすことにならないことに注意が肝要である。情報流通に占めるオンラインの割合は確かに増加する。しかし、情報流通量の飛躍的拡大から、オフラインすなわちフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの機会も増加する。次回、福岡とアジアの関係からそれを考えたい。