集客から集人へ(31)

福岡空港と博多都心部は地下鉄で直結しており、飛行機をおりて15分でオフィスの机にたどり着く。日本の大都市のなかで、空港のアクセス環境では最強と言ってよい。

香港、北京、札幌が日帰り圏になる。21世紀初頭、この範囲に世界人口の1割、世界経済の2割、アジア開発銀行の推計によればIT(インフォメーション・テクノロジー)投資の実に5割強が存在する。しかも、アジアのエマージングなマーケットが収まる。

東京にいると気がつかないが、福岡は現在、日本で1番の元気な街といえる。長い街の伝統の上に、福岡ドームがあるウオーターフロントの新都心開発、福岡都心部の博多、中州、天神をブリッジする形での日本最大級の複合商業施設、キャナルシティの開業が続き、天神における3大百貨店の大増床が近々終わる。また、来年にはキャナルシティに匹敵する川端地区の再開発が完成する予定である。

前々回述べたヴィジョン1500の趣意書に以下のくだりがある。「通信による基礎的コミュニケーションを前提に進められる、ネットワーク型の知的生産活動は、一方で、フェイス・トゥ・フェイスでのコラボレーションの機会をますます増加させます。このため、これからのコラボレーションは、最新のネットワーク・メディア編集環境で結ばれたパートナー同士が、いつでも気楽に会える時間距離にいることが前提になります。」

P.コトラー教授が、その著「地域のマーケティング」東洋経済新報社で、「まち」のターゲットは誰かを定義する重要性を述べている。福岡の地政学的優位性を活かした、ITをキーワードにした街づくりを、ヴィジョン1500のテーマの1つとしたいと思う。この点で、福岡は、集客都市、即ちコンベンション都市から、集人都市、つまりコラヴォレーション都市への脱皮が必要と私は考えている。