HALとInternet

アーサー・C・クラークの名作「2001年宇宙の旅」が映画化されてから約四半世紀が経つ。この映画は評判が高く、今でも人気ランキングの上位を占めている。

この作品の中にHALというコンピュータが登場する。HALは高度な知能を持ったコンピュータで、HALの反乱により宇宙船の船長が窮地に追い込まれる緊迫したやり取りを、ご記憶の読者も多かろう。

当時2001年は、現実感のうすいSF(サイエンス・フィクション)の世界と感じていたが、今や残るところ1800日を切るところに迫っている。ただ、SFが予想した事態より現実が先行することが多い昨今であるが、HALは2001年には実現しそうにもない。

HALは、IBMを一文字ずつ前進させて命名されたといわれている。コンピュータ第一世代の盟主IBMの究極の姿がHALと考えたのであろう。当時は、科学技術に明るい未来を、皆が感じ取っており、単純にコンピュータは人間を超えると信じていた。

その後の動きは、コンピュータのパーソナル化、分散化であり、それが今インターネットを介してつながり始めている。人工頭脳としてのコンピュータから、人と人を結び付ける手段としてのコンピュータである。

知的生活を楽しむうえで、人と人とのコラボレーション(協同作業)は欠かせない。その点でインターネットから目を離せない。私自身もパソコン通信歴は、1年ちょっとに過ぎない。この連載を契機に、皆さんといっしょにネットワークの可能性を探って行きたい。次回から数回これからのキーワードであるインターネットについて考えてみたい。