先月、秋葉原で中小企業やSOHO(
Small Office Home Office)をターゲットにしたキャンペーン、ホット!ネット!フェスタが行われた。そこで、中小企業診断士による中小企業向けネットワーク導入無料相談コーナーのコーディネーターを4日間勤めた。日ごろお付き合いしている中小企業経営者の方々の情報ネットワークへの取り組み意欲からみて、当初より、多くは期待していなかったものの、やはり反応は鈍いものであった。
このキャンペーンには、有力な情報関連の企業が約40社協賛しブースを出していた。そこで、無料相談の合間を見て色々とヒヤリングに回った。
社内のパソコンなどコンピュータ同士をつなぐ仕組みをLAN(
Local Area Network)という。そのLANの部品であるケーブルやコネクタ類の関係者は、昨年はブームといった売り上げがあったが、現在は一服感があるといっていた。昨年のブームは大企業を中心としたLAN導入の動きを反映していると思われる。今このネットワークにパソコンがどんどんつながっている。個人向けのパソコンが落ち込む中で企業向けのパソコンが比較的堅調なのは、大企業のネットワーク需要である。
この先どのようなことが起こるであろうか?多分来年の今ごろ多くの中小企業は、取引先の大企業から大きな圧力を受けることになりそうである。
現在、大企業は社内のネットワーク化に大忙しといったところであるが、それにめどがつけば、当然、取引先とのネットワーク化に向かうことになる。メールもつながらないところとは取り引きできません、といったことになりかねない。
中小企業の経営者は、今、外堀が埋まりつつあることに気がつく必要がある。嵐の前の静けさである。
インターネットの世界では有名なWEBサイトである(
http://www.access.or.jp/
)。委員会の活動趣旨は、ホームページへのアクセス向上とマーケティングに関する情報交換スペースということである。この運営者、橋本大也氏は早稲田大学政経在籍中で、ホームページで世に出たヒーローの1人といえる。
WEBサイトの企画・制作・運用代行、プロモーションプランのコンサルティング、インターネットカフェの経営、各種セミナー講師、パソコン雑誌を中心とした執筆活動など忙しくこなしている。アクセス向上委員会という名前は、おたく系インターネットマニアの中では有名なアイドルグループ、制服向上委員会のパロディであろう。制服向上委員会はインターネットによって世に出た古典的アイドルであり、
GOO(検索エンジン)で検索すると関連ホームページが依然400以上ある。一方、アクセス向上委員会は極めてレベルの高い真面目なサイトで、情報も量・質ともに充実している。インターネット上で何らかの活動を考えている人にとっては、必見のサイトである。
最近のインターネット活用の定石どおり、活動はホームページ、ニュースレター、メーリングリストの組み合わせとなっている。ニュースレターは、週刊で
6000人以上の購読者を集めているとのことで私も購読している。また、メーリングリストは、WEBマスタやホームページクリエイタが参加している国内最大規模のコミュニティとなっており、900人以上が参加して情報交換を行っている。最近、そこで蓄積された内容が「アクセスを増やすホームページ革命術」として毎日コミュニケーションズより出版された。既存のメディアと組み合わせる点も、インターネットマーケティングの定石どおりである。
電子メールによるニューズレターが急増している。電子メール新聞に関する我が国最大のWEBサイト、「インターネットの本屋さん(まぐまぐ)
http://mag2.tegami.com/mag2/」に登録されている新聞が1、300紙を超えた。しかも、毎週数十づつ増加している。内容は大きく3つに分かれる。一番多いのは、趣味的、マニア的、個人的ないわば自費出版的なもので、勿論、無料で発行される。二番目は、マーケティング手段としての活用を考えているもので、WEBのプロモーションやパブリシティ、あるいは、自分自身のスキルや自社の商品ないしサービスをPRする等である。最後は、純粋に情報提供によりビジネスを行う、つまり出版であるが、これは少なく全体の数
%程度であろう。出版としての電子メール新聞は、紙媒体の新聞と同じく購読料と広告収入で賄おうとしているものと、広告を載せず購読料のみのもの、逆に広告料のみで購読は無料のものがある。ただし、ビジネスとして成り立っている電子新聞の数は、発行部数等より推算すると、多く見積もっても、二桁の下の方ではないかと思われる。
我が国では、インプレス社が日本初の電子メール新聞「
INTERNET Watch」を発刊して2年を越えた。ほぼ日刊で発行され、発行部数は3万部といわれている。私も発刊以来購読しているが、内容も充実しており、これ1つでおおむねインターネットの最新動向がフォローできるので重宝している。これは、広告収入と購読料によって運営されている。もう1つ、私が購読しているものに「JNEWS LETTER」がある。これは、新規ビジネスに関する専門的ニューズレターで、これは購読料のみで運営されている。次回は、この2つをケーススタディしてみよう。
心理的要素を加味して行う価格決定を心理価格というが、端数価格と並んで慣習価格というものがある。自動販売機の清涼飲料水は、長らく100円という慣習価格が続いていたので、110円に値上げするときに業界では大きく売り上げが落ち込むのでないかと危惧した。
この心配は杞憂に終わったが、慣習価格を変えるのは大変難しい。インターネットにおいては、非商用利用から始まった経緯もあり、情報提供は無料というイメージが強い。
こうした中で、インプレス社の「INTERNET Watch」は我が国有料電子出版のデファクトスタンダードとして、揺るぎ無い地位を確保している。無料発行に続き95年12月より有料化に踏み切り2年たった。私のインターネット歴とほぼ一致しており、当初より購読している。
現在、読者数は約3万人といわれており、ほぼ日刊で発行されている。購読料は当初月400円が今年2月300円に値下げされた。広告料もヘッダー広告が10万円と、新聞や雑誌の広告料と比較して、購読者1人当たりで見れば遜色はない。広告が毎日5、6本掲載されているところから推定すると、雑誌などと同じく、おおむね購買料金と広告掲載料は50:50となっているようである。編集関係者が10名以上いるが、売り上げから推計すると相当の収益を上げているのではないか。
私が有料購読しているもう1つの電子新聞に「JNEWS LETTER」がある。96年5月に無料配信を開始、97年6月に有料化、現在有料読者は2000人を超えたそうである。
発行者によれば、ビジネス情報の信頼性確保のために広告は取らない方針であり、購読料は月10回の配信で500円である。当初、月1000円の購読料を考えたが、INTERNET Watchの慣習価格に阻まれて今の価格になったようである。
GOO(65)
昨年末、電子メール新聞「INTERNET Watch」で「編集部の選んだ10大ニュース」が発表された。2位Microsoft vs.司法省、3位Netscape Communicator 4.0 / Internet Explorer 4.0リリース、8位プッシュ型配信システムにMicrosoftやNetscapeが参入、日本でもサービス開始、9位MicrosoftがAppleに投資、提携とマイクロソフトに関する事柄が4つを占めた。良くも悪くも97年のインターネットは、マイクロソフトを中心に回っていたといえよう。
しかしながら、第1位には「検索エンジン「goo」の登場」が選ばれた。インターネットにあまり縁のない読者には耳慣れないgoo(グー http://www.goo.ne.jp/)とは、NTTアドおよびNTT、米Inktomi社の3社が共同開発した日本語検索エンジンである。昨年3月登場以来、その強力な検索能力から、瞬く間に日本におけるロボット型検索エンジンのデファクトスタンダードとなった。その仕組みは、ロボットと呼ばれる情報収集ソフトが、WWWサーバーを定期的に巡回し、各サーバー上のWeb情報を収集してくる。それをデータベース化して、キーワードに合致するものを検索結果として表示する。
1月3日にGOOで保険をキーワードで検索すると、68,021件さらに損害保険に絞り込むと4,407件となった。さらに、保険代理店で667件、外資系で絞り込むとやっと36件となった。ちなみに、保険と長忠(筆者の名前)で検索すると、稲葉幹雄さんの有限会社オフィス・イナバのホームページに瞬時にたどり着いた。これは、本コラムで昨年稲葉さんの活動をご紹介したことが、ホームページに載っていたためであった。このように、GOOは、その圧倒的情報量と速さをもつ検索エンジンとして広く使われている。GOOの成功は、我が国でのインターネット上の情報蓄積が質的変換を遂げつつあったタイミングに生まれたことが大きいように思われる。
昨年1月12日に、保険をキーワードにして代表的検索エンジンでWEBを検索した結果を本コラムでご報告した。1年たったので1月10日に比較のため再度検索して見た。
日本での結果は、CSJインデックスでは昨年の148件が本年290件、NTTDRECTORYでは466件から1、110件、infoNaviでは699件から1、765件とおおむね2倍を越える増加を示している。ちなみに、infoNaviで損害保険をキーワードに加えて追加検索したところ、昨年の42件から105件となっている。
この間、日本でのインターネットホスト数は倍増しているので、ほぼ、そのテンポにあわせて保険業界もインターネット化が進行しているといえる。
前回、検索エンジンGOOのお話をした中で、GOOの成功は、我が国でのインターネット上の情報蓄積が質的変換を遂げつつあったタイミングに生まれたことが大きいように思われると述べた。実は、昨年は我が国でインターネット上の情報が、色々な意味で実用的になった年ではなかったか?大量の情報蓄積が情報価値に質的変化を誘発したように考えられる。
一時、インターネット上の情報が本当に価値を持つかといった議論があったが、最近ではあまり聞かれなくなった。事実が価値を証明しつつあるからであろう。
ただ、保険業界にもどって、日米の情報化格差をインターネットから推論すると、危機的ともいえる状況である。アメリカの代表的検索エンジンであるinfoseekにより、insuranceをキーワードで検索したところ、昨年が333、534件に対して、本年は何と816、010件となっている。アメリカの金融・保険業界の情報化にかける意気込みがこの数字から伝わってくる。我が国保険業界は、相当ふんどしを締め直さないと、これからのビックバンには向かえまい。
マイクロソフトが日本の公正取引委員会より調査を受けていることが話題となっている。電子メール新聞「
INTERNET WATCH」の昨年末読者アンケートによる「十大ニュース」でも、マイクロソフトと司法省の問題がトップとなった。本件の真相は良く分からないが、マイクロソフトに対する不満が私の周りでも聞かれる。強い者に対する一般的な反感もあるが、実際使ってみても色々不都合がある。
ソフトの高機能化がハードの陳腐化を早め、私の場合、パソコンを2年で更新しなければならないこと、バージョンがあがる度に微妙に操作が変わり、私のような中年にはやっとなれたら、すぐまた苦労しなければならないこと、同じソフトのシリーズなのに互換性が不十分で古い資産の活用に支障がきたすなどである。
WINDOWS
とINTELをあわせてウィンテルと言われるように、あうんの呼吸で戦略的同盟が結ばれている。マイクロソフトがWINDOWSのバージョンを上げるごとにそれにあわせてインテルの半導体が高機能化する。これが、技術進歩というものだと言ってしまえば、それまでであるが、そろそろこの無限地獄から抜け出せないだろうか?最近の日経パソコンに、本年後半がパソコンの買いどきとの記事がある。今年で大体、パソコンの高機能化は行き着くところまできたと判断している。普通のビジネスユースでは、これ以上のパソコンは不要とのことである。マイクロソフトの次の手が注目される。マーケティングの常道からみれば、製品ラインの多様化であろう。
ここまで、ビジネス分野にマイクロソフトのソフトが繁殖すると、当面、好き嫌いは別として使わざるを得まい。中年おじさんにも扱える使いやすいソフトが出てくることを期待したい。
第27回店舗総合見本市
JAPAN SHOPに先日出かけた。私のような商業系の中小企業診断士とっては,欠かせない展示会で毎年訪れる。それと連動して,SA(セールスオートメーション),セキュリティ,建築・建材,アーバン・デザインの展示が行われている。今年は,SAを重点的にみた。セールスオートメーションの大きなテーマのひとつが,データウエアハウスであり,その展示やセミナーがかなりのブースで行われていた。
データウエアハウスは,意思決定のためのデータ倉庫である。データマイニングという手法で,日々更新される莫大なデータベースから,ビジネスに役立つデータ間の関係性を採鉱し経営に役立てる。
全国展開をしているコンビニの例で利用方法を見てみよう。ある弁当の新製品を売り出した。この弁当がどのような客層に支持され,あるいは,支持されなかったかが細かく分析される。各店舗は,立地,競合,顧客層等の条件で細かく押えられており,それにPOSで集められた個別の顧客データを照合し分析する。
これにより,例えば,この弁当が都心部のオフィスに近い立地で,主に中年男性とOLに売れたが,住宅地では売れなかったというような情報がえられる。これだけ分かれば,色々な対策が考えられる。また,弁当を売り出したところ,住宅地の店舗では,牛乳が一緒に売れて始めたといった情報もとれる。
データマイニングの手法で,前者がクラシファイヤー,後者がアソシエーションという。データマイニングは一連の手法群の呼び名で,その内容は日進月歩のようだ。この手法はコンビニより明らかに保険業界向けである。次回は,保険との関係を考えてみたい。
損保代理店の皆様とお話をすると,これからの課題として,顧客管理の重要性を強調される方が多い。しかしながら,実際にこれを体系的にパソコンを使って進めている代理店は,残念ながらごく一部にとどまる。前回ご報告したデータマイニングについて,保険との関係を考える場合,そこが問題となる。
データマイニングという言葉どおり,データといういう鉱脈からプラチナのように経営に役立つ情報を採掘する技術であるが,鉱脈がなければ,そもそも採掘のしようがない。
ただ,このデータという鉱脈は,自分で決心すれば作り出すことが出きる。それに,鉱脈は採掘すればするほど枯渇していくが,データは,掘れば掘るほど,つまり時間が経てば経つほど価値が増してくる。
例えば,大手の保険代理店が有力顧客のデータを取り始め3年たち,その顧客データがパソコンにデータベースとしてあるとしよう。そうするとこのタイプの顧客にはどのような保険が組み合わせて売れるかとか,3年分の動態的データを活用して,過去の類似顧客行動パターンを分析し,顧客のニーズを先読みして,保険を勧めるといった芸当ができる。
保険とか金融という分野は,小売やサービス業などと違い顧客の個人データは業務上どうしても必要である。データマイニングを始め,ミクロの重要予測をベースとしたワンツーワンマーケティングの手法は,事業の本質から見て,顧客のデータ収集が業務に組み込まれている保険にこそふさわしい。
データマイニング技術は発展途上で,保険代理店で一般的に利用できるのは数年後であろう。ただ,データマイニングの活用を予定して,顧客データをどのように,収集・分析・評価・貯蔵・活用していくか,今から顧客データベースの具体的仕組みづくりを進める必要がある。
インターネットの個人ユーザーの中で,最近話題にのぼるソフトウエアにICQがある。ICQは「I seek you」をもじったソフトで,電子メールとチャット(リヤルタイムで不特定多数と話ができる)の中間に位置する。
このソフトは,特定の相手を登録しておくと,その相手がインターネットに接続しているかどうかチェックしてくれて,接続していればすぐメールを送れる。
その他,接続していない相手に伝言を残す,ファイルのやり取りが出来る,リアルタイムで特定の相手とチャットが出来る,ネットワークゲームが出来る,インターネット電話と連携出来るなど色々な機能が入っている。
このソフトは,Mirabilis(ラテン語で実に見事という意味のイスラエルの企業)が開発し,インターネット上で無料配布されている。私がこのソフトを3月20日ダウンロードしたときの番号が980万台であった。
当社のホームページによれば,一日当たり5万人がソフトを入手しているとのことなので,本稿が掲載される時にはユーザーが1000万人を超えていると考えられる。
この会社のマーケティングはまったくの口コミであり,そこにユニークさがある。当社の説明によれば,設立は96年夏,その拡大テンポは世界最速のひとつ,現在世界最大のインターネット通信ネットワークとなったとある。
ところが,当社は若者4人で設立,1年半経過しているが収入はまったくない。一応ソフトはテスト版(β版)ということで無料配布されているが,有料化についてもあまりはっきりした説明がない。
社員が65名もおり他人事ながら経営が心配になる。インターネットビジネスモデルの典型ともいえるが,次回この辺を考えてみたい。
インターネットでは,様々なタイプの無料サービスが行われている。インターネットそのもののサービスをただで提供するもの,ホームページや電子メールによる無料情報提供,前回ご紹介したICQのようにソフトウエアをインターネットで提供したり,雑誌の付録としてCD―ROMなどで無償配布するものなどがある。
この無料サービスは大きく2つの別れる。ひとつはボランティアとして,いわば,個人的な自己実現欲求から提供されているものである。もうひとつは,ビジネスとしての無料サービスである。
前者には,個人による無料情報提供やフリーウェアと呼ばれる自由に利用可能なソフトウエアがある。これらは玉石混交であるが,その中にはきらりと光るものが結構ある。きらりと光る条件は,最近のキーワードであるナロウ アンド ディープである。狭い範囲を深く追求したもので,うまく自分の要求にあったサービスに出会えば大変重宝する。当初はボランタリーにサービスを提供していたものが,ビジネス展開に結びついていくものも最近は多くなってきている。
ビジネスでの無料サービスには,無料によって顧客を囲い込むことがポイントとなる。最近のホットな話題は,インターネットブラウザーソフトをめぐるマイクロソフト社とネットスケープ社の戦いである。圧倒的シェアを誇っていたネットスケープ社は,マイクロソフト社によるソフトの無料配布作戦でじりじり後退して,97年度は大幅赤字に転落してしまった。最近,マイクロソフト社に対抗してブラウザーソフトを無料化するとともに,プログラムのソースコードを公開し逆襲に転じた。ネットスケープの収入源は,主にサーバー等の企業向けソフトである。企業の負担で個人がただでブラウザーソフトを手に入れられるといった構図である。
最近ISDNを導入した。テレビCMでおなじみとなったNTTのINSネット64サービスである。今まで,導入にあたって電話番号が変わる事もあり躊躇していたが,最近では同じ番号で移行が可能になった。
ISDNは,統合デジタル通信サービスで,電話,ファックスやインターネットに代表されるデータ通信などがすべて統合されデジタル信号でやり取りされる。
NTTの関連会社が接続機器の価格破壊を行い,それをきっかけに個人マーケットへの急拡大が始まった。5万円台のその製品は,一時生産が間に合わず6ヶ月の受注残を抱えるヒット商品となった。
私の使い方は,従来の電話番号を生かした電話機への接続,新たに取得した電話番号にファックス機能を持った複合機を接続,最後にインターネットにパソコンで接続した。接続機器は,通常,電話などに繋ぐアナログポートが2つとインターネットなどに繋ぐデータポートが1つあり,私の場合上で説明した3つの機器をそれぞれ接続した。
なお,最近SOHO向けの複合機が出回りだしており,私が導入したものは,ファックス,プリンター,コピー,スキャナーの4機能を持っており,一体型で置き場も取らずしかも実売価格が10万円切るという優れものである。
導入に当たってのコストは,電話回線からの切りかえの場合,接続機器が約5万円と工事費などが約3千円かかる。導入後は,月額料金が800円程度あがる。
インターネットの体感速度が数倍に上がったこと,電話の番号を2つ取れることが大きなメリットである。工事にみえたNTTの担当者のお話によると,最近,従来の電話回線の切り替えでなく,新設が多くなって来ているそうである。SOHOなど個人事業者の導入が増えているのでないか。
インターネット上での組織の名称をドメインという。私が加入しているプロバイダーのドメイン名が最近変わった。
meshnet.or.jpからbiglobe.ne.jpへである。ドメイン名の構成は,後ろからjpが日本を意味する第1レベルドメイン名である。後ろから2番目のorとかneがその組織の属性を表しており第2レベルドメイン名である。後ろから3番目のmeshnetとかbiglobeが組織名で第3レベルという。
第2レベルドメイン名であるorは,いわば他の分類に属さない組織が一括されて入っているのを,今回3分割することになった。インターネット接続業者等ネットワークサービスを提供する組織にneが,法人格を持たない任意団体等にgrが割り当てられる。
従って,orには法人格を持つ社団,財団,組合等にこれから割り当てられることになる。これにより,非営利の多くのボランティア団体はgrとなるが,今回のNPO法によりかなりの数が法人化するので,また,orが一杯になる事態も考えられる。
私の場合は,加入している接続業者がneへの移行を期に名称を変更したため,第3レベルも変更となった。現在,移行期間中で両方のドメイン名が使える。ということで,現在は私のホームページにはどちらのドメイン名でもたどり着ける。
我が国のドメイン管理は,社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が行っており,そこの方針として来年3月末に移行措置を終らせることになっている。それまでに,必要な変更をしてくださいということである。
コンピュータの2000年問題に似た,1999年問題が私に起こる。電子メールのアドレス変更通知,管理しているメーリングリストの登録変更,ホームページでのリンク先アドレス変更等々,今から少々頭が痛い。
5月12日付けの電子情報誌Tec Webで,GMがインターネットによるオンライン販売に進出するというニュースが載った。価格交渉・注文・支払は,当面ディーラー経由のようだが自動車のような高額商品もいよいよネット販売が始まる。
最近の若者は,商取引でべたべたされることを嫌う傾向が強い。WEB技術や表現力の急速な向上をみると,ネット上の試乗サービスが若者に受けて,自動車がディーラーや代理店を介さないで売られるといったことも,あながち起こらないとは言えなくなってきた。
5月15日サミット前の日米首脳会議で,「日米電子商取引共同声明」が発表された。ここでは,電子商取引について包括的な協議がなされ,民間主導で取引慣行を確立すること,インターネット取引について関税をかけない自由貿易圏を構築することなどで日米が協力していくことがうたわれている。
それに先立ち,5月14日,米下院商業委員会がInternet利用の電子商取引などに対する税金を3年間禁止するという「Internet新税の導入凍結法案」が全会一致で可決された。また,我が国でも11日,政府の高度情報通信社会推進本部電子商取引等検討部会が、電子商取引は民間の主導で国際的な調和のもとに行なわれるべきとの中間報告を発表した。
米国では,4年以内に電子商取引が3千億ドルに拡大するとの見通しもあり,官民あげての取り組みが行われている。一方,我が国の場合,政府の補助金等により電子商取引の実験が様々行われているが,個人によるオンラインショッピングについては,インターネットの普及率の低さと通信料金の高さ等からまだまだの感がある。
私の場合も,電子メール新聞を購読するとか,たまに,本を買う程度で,まわりの友人も未経験者が多い。この点でも日米格差が開いているようだ。
(TechWeb)
http://www.techweb.com/wire/story/TWB19980512S0008
◆ 米下院商業委員会がインターネット新税の禁止を承認
http://www.mercurycenter.com/breaking/docs/068794.htm
07:電子商取引の推進は民間主導が原則 政府の検討部会がとりまとめ
http://www.kantei.go.jp/jp/it/980511report-m.html
通信白書(75)
郵政省は5月26日、「通信に関する現状報告」(通信白書)を発表すると同時に、同省のホームページで全文を公開した。(
http://info2.mpt.go.jp/policyreports/japanese/papers/98wp1-1-4.html)今回,郵政省の試みは極めて高く評価できる。郵政省では、引き続き,様々な文書の公開を進めていくという。他の省庁でもぜひ白書を始め資料的価値のある文書を,積極的にインターネット上に公開して欲しい。
これにより,その文章や図表をデジタルデータとして自分のワープロに取り込んで編集することも簡単にできる。政府の公文書ということで著作権上の問題もあまり考えずに,しかも,殆どコストがかからないで利用ができる。
第1章に「デジタルネットワーク社会の幕開け」〜変わりゆくライフスタイル〜という形で特集が組まれている。我が国のデジタル化社会の現状と課題などが豊富な資料により過不足なく触れられており,インターネット上での一読をお勧めする。
今回は初めての試みという点でやむを得ないが,できれば,インターネットの特徴を生かして,関連するホームページへのリンクを本文中に張ってもらえると,活用の幅がぐっと広がる。情報ソースの確かなホームページを網羅して,いわば我が国の情報通信に関するインデックスとして,白書が活用できるようになると良いのでないか。
昨年の4月にレイ・ハモンド著「デジタル・ビジネス」の訳書が日経BP社より発刊されたが,本書の原文はインターネット上で全文公開された。内容もさることながら,全文を無料で公開することでかなり話題となった。今回の通信白書の出版物(ハードコピー)がネット上の公開により,売上を伸ばすのか,はたまた,減らすのか大変興味がある。
CATV(76)
筆者は住んでいるところが杉並の外れであるので,色々の点で不利を被る。CATVについても工事が最後になり,最近やっと加入の募集が行われた。引き込み工事無料キャンペーン中ということで早速工事をしてもらった。
この工事は,マルチメディア双方向対応工事という名称で,CATVだけでなく近々始まる電話サービスや高速インターネットサービスの利用を見込んでいる。筆者はCATVには興味がないので,来春から始まるインターネット接続サービスに備えて工事だけしてもらった。
CATVは93年に郵政省が打ち出した規制緩和策でにわかに騒がしくなっている。1地域1事業者といった制限や域内事業者過半出資の原則といった事業主体に関する緩和もさることながら,我々にとって重要なのは通信事業との兼業を認めた点にあった。
通信事業についてはCATVのネットワークを使い,電話やインターネットのサービスを行うもので,これでCATVが単なるテレビ放送ネットワークから放送と通信が融合するマルチメディアサービスに変身する。既に一部でサービスが提供され始めているが,鳴かず飛ばずであったCATVが活性化するきっかけにと期待されている。
前にこのコラムで筆者がISDNを入れてインターネットの体感速度が倍増したことをご報告したが,CATVの場合は,その10倍以上の速度で利用できそうである。これによりホームページの閲覧がストレス無く出来るだけだなく,仕事仲間との大容量データのやり取りが簡単になる。
現在フロッピーディスク1枚をISDN回線で送ると数分かかるが,CATVの高速サービスを使えば10秒程度で送れるのではないか。ただ,CATVの場合利用者が集中すると速度が急速に低下するのが難点のようだ。