| |
【保険業界を斬る】
<家業から企業へ> (3)代理店直接計上
◇ 早い、安い、シームレス
前回、保険代理店の事務が、優秀な内務事務スタッフの職人芸に支えられた紙と鉛筆の事務で、これが代理店チャネルの高コスト体質の元凶になっている、解決策としては、データの入力接点を、保険会社から代理店に持ってくる必要があると述べました。
このための手段が、代理店オンラインとか直接計上とかいわれるものです。直接計上により、理論的には、申し込みを受けた次の日に契約書を届けられる(早い)、2度手間、転記ミス、記入ミス、間違い探しがなくなりコストが下がる(安い)、デジタルデータとなるため他のシステムとスムーズに受け渡しができる(シームレス)といったメリットが考えられます。
つまり、直接計上により大幅なコストダウンと顧客サービスの向上が図れるわけで、事務合理化の死命を制することから、保険会社から積極的な働きかけが代理店サイドになされています。特に、新代理店手数料に直接計上率等を反映させることで、導入を促進しようとしています。
◇ むつかしい、高い、ばらばら
保険会社の意気込みとは裏腹に、代理店、特に大型の乗合代理店からは、直接計上に関するアレルギーが強いようです。想定される新代理店手数料によるインセンティブではとても取り組む気になれないとか、このままでは、内務事務の合理化どころか新たな内務スタッフを雇う必要があるといった不満です。
代理店システムについては、インターネットの導入等、確かに扱いやすい方向に向かっていることは事実ですが、未だ、むつかしい、高い、ばらばらです。
保険毎日新聞 筆者 コラム 1999/06/08
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/ren100-.html#p4
契約内容が各社ばらばらに多様化する、代理店システムによる保険会社による囲い込みが進む、曲りなりにも標準化されていた損保VANが各社独自色の強いインターネットへ移行する等々、乗合代理店にとって、受難の時代といった感があります。
◇ 専属 vs 乗合
一方、専属代理店にとっては、乗合代理店の抱える上記の問題点を考える必要がない点、短期的にはかなり有利なことは否めません。特に、代理店システムのインターネット化で、先に上げた、むつかしい、高いといった欠点が解消に向かいつつあるのも追い風です。
では、乗合代理店はどのような対応をすべきでしょうか?
次回は、それを考えてみます。
経営数理研究所代表 inswatch発行人 長 忠
|
 |