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【保険業界を斬る】
<家業から企業へ> 乗合代理店の情報化(1)
◇ ロードマップの不在
代理店のコンサルティングの現場にいて痛感するのは、保険会社が自社の代理店支援システムに関するロードマップを示さないことで起こる不都合です。ロードマップとは、本来道路地図のことですが、パソコンやソフトウエアの開発会社などが、自社の開発戦略を示して、それに沿って、何時、どのような製品を販売するかの道筋を示したものです。
ロードマップがあると導入を予定している企業などが、それに沿って計画を立てることができます。身近な例では、気の利いた量販店の店員は、"今買わずに、もう少し待った方がベターです"
といったアドバイスが出来ます。
残念ながら、保険会社の代理店支援システムについて、ロードマップがないので、前線にいる保険会社の営業職員は、"今あるシステムが最善です"といって代理店に押し付けざるを得ないことになります。営業職員は一般的にシステムに弱い方々が多いことも、これに拍車をかけています。
読者の中には、代理店支援システムを導入した途端、新しいヴァージョンが出て悔しい思いをした方もおられるのではないでしょうか?これまでは、いわば、システムは大型代理店のステイタスシンボルで、このような事態でもあまり実害がなく、笑って済まされる程度の問題でした。
これからは、そうはいきません。情報ネットワークシステムの持つ意味が、特に、大型の乗合代理店にとって、経営の死命を制するほど重要となります。
◇自己責任の時代
前回、代理店システムによる保険会社による囲い込みが進んで、乗合代理店にとって受難の時代といったお話をしました。システムが保険会社にとって戦略的問題なので、敢えてロードマップを秘密にしているという側面があることは、否定しませんが、どうも、そうとも言えないようです。
保険会社がロードマップを"示さない"のではなくて、インターネット等ITを巡る変化の激しさに右往左往して、"示せない"状況に追いこまれているようです。
いずれにしても、代理店としては、保険会社に頼らず自己責任で、情報ネットワーク化をどう進めるか、判断を迫られることになります。
◇ 4つの"でも"
これからの乗合代理店支援システムを考える上で必要な条件を、私は、4つの"でも"、即ち、いつでも、どこでも、誰でも、どの社でも、と考えています。くわしくは次回以降お話しますが、営業スタッフが顧客接点で全ての事務を行える条件です。次回は、この4つの"でも"のロードマップを考えてみます。
経営数理研究所代表 inswatch発行人 長 忠
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