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【保険業界を斬る】
<家業から企業へ> 乗合代理店の情報化(3)
乗合代理店の営業スタッフが、顧客接点で全ての事務を行える条件は、4つの"でも"、即ち、いつでも、どこでも、誰でも、どの社でもで、最初の3つの条件はかなり早い時期に実現する、それにより、専属代理店にとっては極めて快適なシステム環境が、近々得られそうというお話を前回いたしました。
しかしながら、乗合にとっては "どの社でも"の条件を確保できることが、死活問題でしょう。この点は重要な問題ですので、これから3回に分けて、日本の実状、1歩先を行くアメリカの現状、それを踏まえた日本の見通しを考えます。
では、'どの社でも'の具体的な形はどのようなものでしょうか?これはSEMCI(Single
Entry Multiple Company Interface)といって、各代理店が自分の持つ1つのIDとパスワードで、自社乗合のすべての保険会社に、同じパソコンから共通のフォーマットで、自由にアクセス出来るようになる仕組みです。
この仕組みを我が国で曲りなりにも実現した例をご紹介します。本inswatchで、e−ビジネスと代理店経営というテーマで執筆されている(有)グループマフの田村さんのサイトです。共通のフォーマットに記入して行けば、千代田火災、ニッセイ損保、アメリカンホームダイレクト3社の自動車保険見積りができます。
http://www.mafmaf.com/frOnline.html
田村さんは、代理店(グループマフ)の経験をベースに、保険関係のシステム会社、(株)デジタルインシュアランスを経営されていますが、「顧客-代理店-保険会社の保険流通サイクル全体に貢献するシステム」ということで、
TICS(Total Insurance Currency System)を提案されています。
http://www.digi-in.com/ab_di/ab_di_frame1.html
また、今後重要性が増す課題が、インターネットを活用した、電子保険取引の標準化です。我が国でも、平成10年度の通産予算で、日立製作所が幹事となって、生損保大手10社が参加して開発が行われ、昨年、実証実験が行われました。
http://www.fujitsu.co.jp/jp/news/2000/08/24.html
技術的に可能なことと実現するかどうかは全く別の問題で、我が国では、業界標準化がうまく行かないケースが多いのも事実です。実際,保険会社がそれぞれ独自の代理店システムで囲い込みを進めている現状を見ると特にその感が強い、タリフ算出用の電卓を何台も抱えて、右往左往の乗合代理店もおられる。
次回は、アメリカではどのように標準化が進んでいるかを見てみたいと思います。
経営数理研究所代表 inswatch発行人 長 忠
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/
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