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長忠の保険代理店経営診断



 
  【保険業界を斬る】
<家業から企業へ> 乗合代理店の情報化(5)
最近NTT関連の損害保険代理店NTT-ifの全面広告が新聞に出ましたが、ご覧になりましたか?「日本が、自動車保険をたった10秒で比べられる国になる」とのキャッチコピーで、東海、ソニー損保、住友、大東京、アメリカンホーム、安田(予定)が参加してオンライン販売が始まりました。

これは前に述べたSEMCI(Single Entry Multiple Company Interface)が自動車保険に関して実現しており、共通のフォーマットで見積りを行い、その場で契約が可能となっています。 http://www.nttif.com/

また、筆者が最近伺った大手の企業代理店では、取引生損保保険会社全社の協力を得て、顧客から見て、どの保険会社のどの保険に入っているかがパソコンで一覧表示できるデータベースを開発し、それを親会社の専用線ネットワークに乗せて、どこからでも見られるようにしています。

このように、保険会社各社は、力のある乗合代理店にはやむなく個別のシステム対応を始めており、そのような代理店では曲りなりのも、乗合代理店支援システムの4つの条件、即ち、いつでも、どこでも、誰でも、どの社でも、を整えつつあります。

しかしながら、以上の例のように保険会社と乗合代理店が個別にシステムを調整していけば、大変な労力とコストを双方が負担することになります。前回述べたアメリカの保険電子取引標準化団体(ACORD)のような存在が日本にもあれば、大きなコストダウンが行われ、社会的にも意義のあることになります。

ただ、残念ながら、我が国では保険会社がグループ化に向かって独自路線を取り始めており、システムについても、囲い込みの武器として、当面独自路線に向かうと考えられます。保険会社のグループ化において、システム統合は死命を制する重要課題で、また、時間との戦いです。他社との調整を要する標準化は取りあえず後回しになりそうです。アメリカのように何千という保険会社が存在し標準化のニーズが極めて高い国とは異なる点も考慮すべき点です。

このように見てくると、一部の超大型代理店を除き、乗合代理店は、当面、システム面から見ると冬の時代を覚悟せざるを得ないと考えられます。ただ、だからといって手をこまねいていて良いということではないと思います。ACORDが独立系のエージェントが母体となって組織化されたように、乗合代理店が協力し合って、草の根で標準化に向かってやれるところから始める時期にさしかかっているのではないでしょうか?

今回で【乗合代理店の情報化】というテーマは一区切りにして、次回以降は、新代理店手数料等新たな環境変化を踏まえて、代理店の経営を考えて見たいと思います。ご期待下さい。

経営数理研究所代表 inswatch発行人 長 忠
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/

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