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愛句連々

尾崎放哉の俳句をイラストと一緒にご紹介します.



なんにもない机の引き出しをあけて見る

今回も、京都の一燈園にいた頃の作品です。

なんともせつなく孤独感の透徹した句です。もはや何も失うものはなく虚空に無言で叫ぶ放哉。
 誰にでもあるであろう、自分の限界を感じる瞬間。そこでは、自分の経験も能力も及ばない未知の地が広がっているのみ。
 それ以上足を踏み入れることは、自分の無知と知能の限界を思い知らされるであろうことは間違いありません。どんなに謙虚な人間でも途方もなく恐怖であるその時、人は立ちすくみ、限り無い孤独感へと落ち込むのです。

放哉もそうではなかったか。

彼は東京大学という最高学府でさえ、自分の突出した感性を持て余した。そして俗世間で揉まれて耐えきれず飛び込んだ一燈園。しかしそこにも彼の本当の悩みを解消できるところではなかった。

誰も彼の「正直を旨として生きる」ことを許し看過してはくれなかった。

そして頭も体も真っ白になるまで疲弊した一日の後で、放哉は狭い部屋に取り残される。何かで腹を、いや気持ちだけでも満腹にしたい。その期待感を込めて机を開けてみる...しかしそこにはもちろん、何もない。そんなことは百も承知。しかし、もしかしたら、と思いながら。


★放哉の他の俳句にもご興味のある方はこちらへ → 愛句連々(過去に紹介した俳句)

         


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