おかえり.jp 放哉 孤高の詩 一句拝掌(最新の俳句) 愛句連々(過去に紹介した俳句) 放哉年譜

愛句連々

尾崎放哉の俳句をイラストと一緒にご紹介します.



色鉛筆の青い色をひっそりけづって居る

これは須磨寺時代の作。

放哉の句は色彩を必要としないような水墨画のような静謐なものも多いのですが、ここでは「青」という色が印象的につかわれています。

海に近い須磨の地で、一燈園の禁欲的労働生活から逃れた放哉は、やっとある程度羽根を伸ばせたのではないでしょうか。何よりも海を愛していた放哉は日がな一日海を眺め、海風に吹かれ、心身ともに疲れた身体を癒したことでしょう。海の「青」はどこか子宮回帰を思わせるように懐かしいものです。人間を始め生物は皆海からやってきたのです。放哉の潜在意識にもそういったものがあったのは間違いないでしょう。

この句は孤独な寂しさを垣間見せるだけではなくて、それを楽しんでいるような余裕も感じさせます。何もない清貧な生活の中で唯一の色彩である海の青。それを色鉛筆の青とだぶらせると共に、それを削っていく行為もこれから新しい生き方へ脱皮していこうとする自分を映しているのではないだろうか。そんな思いも湧いてきます。放哉のこの穏やかな生活もそう長くは続かないのですが、そうしたはかなげな未来も暗示させるような句です。


★放哉の他の俳句にもご興味のある方はこちらへ → 愛句連々(過去に紹介した俳句)

         


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