おかえり.jp 放哉 孤高の詩 一句拝掌(最新の俳句) 愛句連々(過去に紹介した俳句) 放哉年譜

愛句連々

尾崎放哉の俳句をイラストと一緒にご紹介します.



吸取紙が字を吸ひとらぬやうになった

これも須磨寺時代の作。

もはや放哉の生きる実感そのものとなっている日記や手紙や俳句を綴る文字。家族も故郷も捨てた身としては、文字と向かい合うことこそが生活でありました。 これは手紙を知人に書いている途中の句でありましょうか。せっせと日々の生活や句作について書き進めていくうち、使い込んだ吸取紙がもうインクを吸わなくなってしまったのです。
 暫時止まる手。
 ああ早く書きたい。そして早く手紙の返事をもらいたい。孤独を求めてここまで流れてきたものの、まだ人とのつながりを断ち切れない放哉な。苛立つ思いと諦めと。紙の上でにじんで広がるインクは、虚空へあてのない思いを訴えざるを得ない放哉の最後の浮世への未練の表れなのでしょうか。 この吸取紙は、やがて放哉との連絡も途絶えていく人々の暗喩でもありましょう。しかし彼らに罪はないのです。悪いのは放哉なのだから。放哉もそれはわかっている。わかってはいるのだが...


★放哉の他の俳句にもご興味のある方はこちらへ → 愛句連々(過去に紹介した俳句)

         


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