おかえり.jp 放哉 孤高の詩 一句拝掌(最新の俳句) 愛句連々(過去に紹介した俳句) 放哉年譜

愛句連々

尾崎放哉の俳句をイラストと一緒にご紹介します.



一日物云はず蝶の影さす

須磨寺時代の作品。

この時間経過を感じさせない、一日という時間を一瞬という時間に閉じこめたような感覚と、淡白で清澄な味わいは、放哉の作品のなかでも出色のものではあるまいか。
 「蝶の影」といった、平生は見過ごすような淡いコントラストの近景の奥にさらに陽炎のような影薄い放哉の後ろ姿が映し出されてきます。もはや実社会から切り離されて、現実感のない世界に棲みかを見出した放哉の蜃気楼がそこにはあります。

モノクロな光景でありながら不思議な明るさを感じさせるのは、「さす」という言葉からでありましょうか。「光がさし込む」というような直線的な勢いをもつ言葉の響きで、見事に句を締めていると思います。

無言の一日が、けして無駄なものではない充実したものであったことを、蝶の影が刻印を押している。そんなシンボリックな句であります。


★放哉の他の俳句にもご興味のある方はこちらへ → 愛句連々(過去に紹介した俳句)

         


☆本ページはリンクフリーです。放哉を心行くまで味わいましょう。