つくづく淋しい我が影よ動かして見る |
今回は、京都は一燈園にいた頃の作品です。
大陸から帰り妻とも別れた放哉は、厳冬の中で京都の一燈園に入ります。そこは、徹底して奉仕することを強制される世界であり、病弱であろうと学歴があろうと容赦はされないところでした。
それは、予め頭ではわかっていたこととはいえ、体にはなかなか馴染めないことであったはずです。最初の内は耐えられたものの、日中は体を酷使し続け、夕べは何もない狭い一角で独りの時を過ごす放哉。それは一生の内で初めて感じる真の孤独との対峙でありました。
対するのは、自分の影だけ。淋しさのつれづれに、灯りの下で影を動かし、自分の存在を確かめようとする放哉。それは自分が実体なのか、影が実体なのかということまで朦朧としてしまうような疲労の極致であった状態であろうと思われます。放哉が病的なまでに孤独へ奔ろうとする傾向はこのころから醸成されていったのではないでしょうか。
火鉢さえない京都の寒さの中で心まで凍え始める放哉がここにいます。
☆本ページはリンクフリーです。放哉を心行くまで味わいましょう。