おかえり.jp おすすめクラシック モーツァルト ハイドン シューマン 組曲 小品 楽しくクラシック 管理人

おすすめクラシック

おすすめクラシック

心に響く素晴らしいクラシック音楽の名曲を
おすすめCDと共にご紹介します



 このエントリーをはてなブックマークに追加
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92 [Import]

モーツァルトを聴くシューマンの交響曲を聴くハイドンの交響曲を聴こうおすすめのクラシック組曲作曲家別交響曲ランキングおすすめのクラシック小品楽しくクラシック


ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

↓以下のジャケット画像あるいはタイトルをクリックすると、おすすめCDの詳細ページ(Amazon)にリンクします↓

ベートーヴェン:交響曲第6番<田園>/シューベルト:交響曲第5番<田園>/シューベルト:交響曲第5番

 ベートーヴェン作曲の交響曲第6番「田園」ヘ長調(作品68)のご紹介です。有名な曲を何をいまさら、とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、敢えてここでとり上げました。

 ベートーヴェンの交響曲には流れがあります。第1番と第2番はどちらかと言えば発展途上。第3番「英雄」はソナタ形式の究極化。自由に跳ね回るような第4番を経て、第5番「運命」と第6番「田園」は動機展開の徹底化。そしてリズムを全面に出した第7番と一見古典的だが前衛的な第8番。最後に声楽をとり入れた第9番「合唱」による交響曲形式の拡張。
 それぞれがベートーヴェンが作曲をする上での成長過程の途中経過を論文にまとめているかのようであり、個々の曲の意味合いを考えながら聴くと興味深いものがあります。

 前置きが長くなりました。「田園」というニックネームのためにのんびりとした田舎風の曲と勘違いされやすいかもしれませんが、第5番との双子曲といわれるだけあってテーマの展開手法などが似ています。ただ、全5楽章にしたり、3楽章から5楽章までを連続したり、第4楽章では描写的な表現をしたりして構成的には一歩踏み込んではいます。

 ベートーヴェンは、純粋に音楽をつくるのに長けていて、音楽を媒介として何かを表現するということはオペラ以外は見当たりません。その中で、田園の自然や人々の感情を自分で副題までつけて表現したこの曲は異質なものです。彼以後の作曲家による標題音楽への道を拓いたエポック的な作品といえます。

 5つの楽章から成っています。それぞれが副題をもっています。
 楽器編成で特徴的なこととしては、ティンパニ、ピッコロ、トロンボーンが第4楽章でのみ追加されます。その差分だけその楽章では迫力が出ています。

 第1楽章「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」。ソナタ形式です。いきなり第1テーマが提示されます(下譜A)。これは実はあの「運命」の第1楽章と似たテーマの出し方で、主要なモチーフを出して一旦フェルマータで一息つくところまで同じ。そしてそれを構成するモチーフ(A, B, C)が徹底的に使われるところもそっくりです。
 気分を保持したままで進んだ後に全奏で第1テーマが現れます。それが三連符で流れを止めると動機Aとの組み合わせで転調していきます。第2テーマは、高音からハラハラ葉が落ちてくるようなフレーズと、低音から湧き上がるゆったりとしたフレーズの組み合わせで始まります(下譜B)。そしていかにも喜ばしい気持ちを爆発させるような結尾部で提示部を終わります。展開部では特に動機Bがシツコイくらいに活用されます。ここに田舎っぽい単調さが表現されているのではないでしょうか。クレッシェンドで音楽としての緊張感を保ってはいますが。ほぼ型通りの再現部を経て、コーダに入ります。第1テーマが5度下の変ロ長調で強奏された後で三連符によるクライマックスとなります。最後は動機Cを元にした上昇フレーズにより終わりに向かっていきます。最後は弱奏になって次の楽章を準備します。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
田園第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
田園第1楽章第2テーマ

 第2楽章「小川のほとりの情景」。緩徐楽章。ソナタ形式です。ゆるやかな川の流れのような伴奏に乗って、とぎれとぎれに語りかけるような第1テーマが始まります(下譜C)。その動機を元に転調していくと上品に下降して始まる第2テーマ(下譜D)が現れ、すぐに第3テーマともいえる短調と長調を揺れ動くような個性的なメロディー(下譜E)が発展して提示部は終わります。展開部は第1テーマの流れを保ちながら巧妙な転調により幽玄な雰囲気まで漂わせます。もうすっかり小川のほとりに佇んでいる感じ。コーダでは鳥の鳴き声が2回ずつ現れます。カッコウの声も聞こえます。標題的な部分ですが音楽的に調和しているのは見事です。

楽譜C(第2楽章第1テーマ)
田園第2楽章第1テーマ

楽譜D(第2楽章第2テーマ)
田園第2楽章第2テーマ

楽譜E(第2楽章第3テーマ)
田園第2楽章第3テーマ

 第3楽章「田舎の人々の楽しい集い」。4分の3拍子の速いスケルツォ。民族舞曲のようではありますが大胆な転調もあって音楽性が高い。形式的にはトリオが2回挟まった、a-b-a-b-a'という形式。主部は鄙びた感じで、ホルンやファゴットの活躍が目立ちます(下譜F、G)。速度が上がって突入する中間部は、4分の2拍子の急速な舞曲になります(下譜H)。もう一度主部と中間部が来て、主部がまたまた戻ってきますが、今度は舞曲がしばしば遮断されて不穏な感じになります。嵐が近い。間髪を入れず次の楽章に移ります。

楽譜F(第3楽章スケルツォテーマ1)
田園第3楽章スケルツォテーマ1

楽譜G(第3楽章スケルツォテーマ2)
田園第3楽章スケルツォテーマ2

楽譜H(第3楽章トリオテーマ)
田園第3楽章トリオテーマ

 第4楽章「雷雨、嵐」。4分の4拍子。嵐を描写した音楽ではクラシック音楽の中でも最高のものだと思います。低音弦のトレモロに細かい動きと不安な跳躍音が絡みます(下譜I)。調を変えて繰り返された後、ティンパニ、ピッコロ、トロンボーンが加わって大変な大音響となって嵐になります。ここでは、細分音で上下する弦楽器による雨の描写(下譜J)、ティンパニによる雷鳴、ピッコロによる稲妻の閃光などが効果的です。嵐が次第に収まっていくところも秀逸で、次第に雷鳴が遠ざかっていくのが低音弦とティンパニで表現されます。フルートが伸び上がるように高音に昇っていくと次の楽章にそのまま入っていきます。

楽譜I(第4楽章導入部)
田園第4楽章導入部

楽譜J(第4楽章豪雨の描写)
田園第4楽章豪雨の描写

 第5楽章「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」。変奏曲の手法もとり入れた自由なソナタ形式です。まずは空虚な5度の和音に乗って牧歌の部分がクラリネットからホルンに受け継がれます(下譜K)。そしてヴァイオリンに晴れやかな第1テーマが現れます(下譜L)。分散和音をメインにすることで明るさと雄大さが際立ちます。第2テーマはちょっと感情が高まって来たところで滝から水が流れ落ちるような感じで奏されます(下譜M)。展開部は第1テーマを主としています。再現部はテーマそのままではなくその細かい音符の変奏で現れて単調さを逃れています。コーダは野太い感じで第1テーマが出て他の楽器が徐々に加わってカノン風に進行します。クライマックスは高音での細かい動きでの上昇と、低音での荘重な上昇音が加わって素晴らしく肯定的な響きとなります。これが自然への感謝の気持ちということなのでしょう。最後は第1テーマが内省的に歌われて牧歌のフレーズに受け継がれていき強奏の打音で全曲を閉じます。

楽譜K(第5楽章導入部)
田園第5楽章導入部

楽譜L(第5楽章第1テーマ)
田園第5楽章第1テーマ

楽譜M(第5楽章第2テーマ)
田園第5楽章第2テーマ

 ご紹介のCDは、カール・ベーム指揮ウィーンフィルによる、この曲の決定版といってもいいくらい充実の演奏です。楽しげなシューベルトの交響曲第5番とのカップリングが嬉しい。

どんな曲か試聴したい方はどうぞ。ベートーヴェン作曲の交響曲第6番「田園」から第1楽章です。(Youtubeより)

(他のCDも見てみたいという方は、以下もご覧下さい.)



管理人endoyへのお問合せは、メールアドレス endoy@yahoo.co.jp(@は半角で入力して下さい) へどうぞ.

☆本ページはリンクフリーです.