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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

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ストラヴィンスキー:春の祭典/ペトルーシュカ

 クラシック音楽をかじっている方であれば、「ハルサイ」と略してわかるくらい有名な曲。ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽『春の祭典 ( The Rite of Spring ) 』のご紹介です。

 バレエ音楽といえば優雅で華麗なイメージ。チャイコフスキーの「白鳥の湖」とか「胡桃割り人形」とか・・・
 しかし同じロシア人のストラヴィンスキーは、そういった優雅さとは程遠い、「太古の野蛮な異教徒の生け贄の祭り」という大胆なプロットの音楽化を試みたのです。

 ストラヴィンスキーは、調和、優美、高貴といったイメージに対する、強烈なアンチテーゼを具現化するために、リズム、ハーモニーの大胆な変革を試みました。5拍子、7拍子、11拍子というようなそれまであまり使われなかった拍子、さらに不協和音をものともせず使った複雑な積み重ねの和声、それらを天才的とまで言われたオーケストレーションによって破綻無くまとめあげてしまった奇跡的な記念碑的な作品です。複雑なリズムとハーモニーは指揮者やオーケストラ泣かせとしても有名であります。

 初めて何も知らずにこの曲を聴いたら、冒頭のファゴット独奏から「いったいどうしちまったんだー」と叫びたくなるに違いありません。いわゆる快い音楽という常識の否定。古代の異教的な何やら怪しげな雰囲気。まさに初演では演奏が始まるやいなや聴衆が騒ぎ始め、演奏が続けられなかったという逸話も残っているくらい。
 それが現在では名曲としての確固たる地位を築いてしまったのです。もちろん管理人のお気に入りであることは言うまでもありません。

 曲は第1部と第2部に分かれています。
 第1部「大地の礼賛」は、さらに8つの部分に分かれます。
 (1-1 序奏)上述したファゴットの高音部を使った独奏で始まります(下譜A)。幻想的というよりは妄想といってもいいようなモヤモヤ・クラクラした雰囲気が続きます(下譜B、C)。ここから既にリズム的にも和声的にも独特。次第に刻むようなピチカートが出てきて次に移ります。

楽譜A(1-1 序奏の冒頭)
春の祭典序奏冒頭

楽譜B(1-1 序奏から1)
春の祭典序奏から1

楽譜C(1-1 序奏から2)
春の祭典序奏から2

 (1-2 春の兆し)春の兆しをそのまま素直に音楽化したような8分音符の刻みが独特のアクセントと和音で荒々しく始まります(下譜D)。その流れを引き継いだようなファゴットのテーマ1(下譜E)が続きますが、ちょっとなだめるようなホルンのテーマ2(下譜F)が少し春のウキウキした雰囲気を醸し出します。そのテーマ2が賑やかに盛り上がるとその勢いのまま次へ。

楽譜D(1-2 春の兆しの冒頭)
春の祭典春の兆し冒頭

楽譜E(1-2 春の兆しからテーマ1)
春の祭典春の兆しテーマ1

楽譜F(1-2 春の兆しからテーマ2)
春の祭典春の兆しテーマ2

 (1-3 誘拐)急速な8分の9拍子の流れになり現れるテーマ1は逼迫した感じを与えます(下譜G)。細かい動きは全楽器に伝染して打楽器が鳴り響きます。それが高揚してくるとテーマ2が全楽器同じリズムで現れます(下譜H)。やがてテーマ2がリズムや音型を微妙に変えながら再現されつつ拍子の変化で追い込んだ後、管楽器の打音から伸びるフルートのトレモロ音で次に移ります。

楽譜G(1-3 誘拐からテーマ1)
春の祭典誘拐テーマ1

楽譜H(1-3 誘拐からテーマ2)
春の祭典誘拐テーマ2

 (1-4 春のロンド)クラリネット群が伸びやかなテーマ1を奏でます(下譜I)。重苦しい歩みが始まるとオーボエがふらつくようなフレーズで絡んできます(下譜J)。また重苦しい歩みの上に優しげなテーマ2が現れてきます(下譜K)。それがだんだん盛り上がって叫ぶようなクライマックスになると急にいそいそとした部分になって緊張から解放します。やがてのんびりとテーマ1が戻ってこの部分は終わり、すぐさま次に続きます。

楽譜I(1-4 春のロンドからテーマ1)
春の祭典春のロンドテーマ1

楽譜J(1-4 春のロンドからふらつきのフレーズ)
春の祭典春のロンドふらつきのフレーズ

楽譜K(1-4 春のロンドからテーマ2)
春の祭典春のロンドテーマ2

 (1-5 敵の部族の遊戯)突然低音金管とティンパニの戦闘的なフレーズからホルンがテーマ1を奏します(下譜L)。ティンパニが恐ろしげに合いの手を入れながらテーマ1が拡げられます。やがて流暢なテーマ2(下譜M)も現れて先のテーマと組み合わされます。遊戯が頂点に達したところでテーマ2が繰り返される中、低音で呪文のような次の部分のテーマ(下譜N)が現れてそのまま次へ。

楽譜L(1-5 敵の部族の遊戯からテーマ1)
春の祭典敵の部族の遊戯テーマ1

楽譜M(1-5 敵の部族の遊戯からテーマ2)
春の祭典敵の部族の遊戯テーマ2

 (1-6 長老の行進)テーマ(下譜N)が低音で執拗に繰り返され、高音部が対旋律を出して修飾していきます。このままパッサカリアのように進行していくうちに突然音楽が途絶えて次に移ります。

楽譜N(1-6 長老の行進からテーマ)
春の祭典長老の行進テーマ

 (1-7 長老の大地への口づけ)とても短い部分です。静謐な雰囲気の中で8分音符がポツポツと呟き、弦楽器のフラジオレットが不気味に不協和音を響かせてすぐ次に移ります。

 (1-8 大地の踊り)第1部を締めくくる中締めの曲。ダイナミクスだけで飛ばしていてあまり明確なテーマはありませんが、強いて挙げれば途中ビオラが奏でる3連符のフレーズでしょう(下譜O)。曲はクラリネットから引き継いだトロンボーンの上昇音型を繰り返しながら凄まじいまでに高調して突然終止してしまいます。
 この第1部は夜の儀式の前提としての、太古における昼の営みを描いたと考えていいでしょう。

楽譜O(1-8 大地の踊りからテーマ)
春の祭典大地の踊りからテーマ

 第2部「いけにえの儀式」は6つの部分に分けられます。
 (2-1 序奏)人間以外の魑魅魍魎も徘徊しているような太古の夜の雰囲気。ゆらゆらとした不安定なフレーズで始まります(下譜P)。この感じを続けながら何者かの登場を示唆するような怪しいフレーズを繰り返しつつ、少しずつ次の部分のテーマ1(下譜Q)を準備します。

楽譜P(2-1 序奏から冒頭)
春の祭典第2部序奏から冒頭

 (2-2 乙女の神秘的な踊り)序奏で準備されたテーマ1が全容を現します(下譜Q)。なんとなく優美な感じ。それが不穏なトレモロで遮られると別のテーマ2(下譜R)がアルトフルートで奏されます。いかにも根源的な音楽。テーマ1と組み合わされて柔らかなままに進行していくと、やにわにホルンとトランペットが急迫したリズムで全楽器を叩き起こし、4分の11拍子の強烈な打音で次の部分へ。ここでついにいけにえの乙女が選ばれたのです。

楽譜Q(2-2 乙女の神秘的な踊りからテーマ1)
春の祭典乙女の神秘的な踊りからテーマ1

楽譜R(2-2 乙女の神秘的な踊りからテーマ2)
春の祭典乙女の神秘的な踊りからテーマ2

 (2-3 選ばれしいけにえへの賛美)タイトルからは祝福の音楽が連想されますが、しかしこれは選ばれたいけにえやその周りの者を心理的に追い込むような激しい曲です。冒頭のテーマからしゃっくりのような(または痙攣のような)異様なもの(下譜S)。この混乱した状況が延々と続くままに次へ移ります。

楽譜S(2-3 選ばれしいけにえへの賛美からテーマ)
春の祭典選ばれしいけにえへの賛美からテーマ

 (2-4 祖先の召喚)ティンパニも加わった3連符の導入から賑やかなコラールが流れます(下譜T)。このコラールは形や楽器を変えつつ何度か繰り返されて一段落すると次の部分へ。祖先はついに召喚されました。

楽譜T(2-4 祖先の召喚からコラール)
春の祭典祖先の召喚からコラール

 (2-5 祖先の儀式)静かな雰囲気になってけだるいテーマ1が始まります(下譜U)。いよいよ怪しげなオカルティックな音楽となりアルトフルートがゆらゆらした音型を奏しだすとテーマ2が消音器を付けたトランペットで登場します(下譜V)。これが”始めは処女の如く後は脱兎の如し”という感じでついに全楽器の咆哮でテーマ2が奏され、再びテーマ1が戻ってきます。しかし今度は何度も立ち止まりながらゆるゆると。祖先の準備も整ったようです。バスクラリネットがスタッカートで下降して、さあいよいよ終曲です。

楽譜U(2-5 祖先の儀式からテーマ1)
春の祭典祖先の儀式からテーマ1

楽譜V(2-5 祖先の儀式からテーマ2)
春の祭典祖先の儀式からテーマ2

 (2-6 いけにえの踊り)数ある管弦楽曲の中でも最難度の曲。ほぼ1小節単位で変化する拍子、打楽器の合いの手とのアンサンブル、そして単純に見えながら一回一回違ったフレージング、複雑な和声の重ね方、などなど・・・。指揮者とオーケストラの、楽譜との格闘がここにはあります。
 いきなりえずくようなぎこちないテーマ1(下譜W)に圧倒されます。音楽の快い流れなどここにはありません。楽譜から目が離せない。一段落すると静かに歩みを進めるような箇所に入ってかりそめの小休止。そこに5連符のフレーズが不気味に点滅し始めます(下譜X)。この歩みも単純に見えて全くもって不規則です。それが激しいリズムとなって5連符フレーズとせめぎ合い、ひとしきりピークになった後でテーマ1が戻ってきます。いよいよ最高潮へ。4分の5拍子になってティンパニの3連符の打音に乗っていけにえのエクスタシーを表現するようなテーマ2が炸裂します(下譜Y)。これから先はいけにえが踊り疲れて斃れてしまうまでテーマ1とテーマ2が代わる代わる攻め立てます。終結部では、いけにえが最後の力を振り絞ってゆらゆらよろめくような余韻を残しながら拍子変化を伴う律動が続きます。最後は死に至る痙攣のような終わり方で全儀式は終了するのです。

楽譜W(2-6 いけにえの踊りからテーマ1)
春の祭典いけにえの踊りからテーマ1

楽譜X(2-6 いけにえの踊りから点滅フレーズ)
春の祭典いけにえの踊りから点滅フレーズ

楽譜Y(2-6 いけにえの踊りからテーマ2)
春の祭典いけにえの踊りからテーマ2

 以上のようにお腹いっぱいのこの楽曲。終わったら指揮者も演奏者も聴衆もぐったり。(ちょっと大袈裟か。でもこの曲の後にアンコールは無理。)

 楽譜が読める方は一度オーケストラの総譜(スコア)を入手してはいかがでしょう。変転極まりないリズムを目でも楽しんでみてください。→総譜はこちら

どんな曲か試聴したい方はどうぞ。『春の祭典』第2部から 「いけにえの踊り」(Youtubeより)

(他のCDも見てみたいという方は、以下もご覧下さい.)



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