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山頭火

山頭火

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笠も漏りだしたか


暑さ寒さも彼岸まで。そろそろ野分も吹きそうな頃。虫の声が窓の外から聞こえてきます。

今回の句は、山頭火の俳句の中でもひとしお淋しさがつのるものです。これは単なるものが朽ちてゆく哀れを謳ったものではありません。ここにあるのは、それに重ねて感じられる、時の流れ、自分の老いゆく悲しさ、自分の境遇への諦観です。人生の黄昏。

山頭火の人生と俳句を、単なる酔っぱらいの乞食のたわごとのようにとらえることは、ある部分では当たっているかもしれません。
 彼の彷徨(ほうこう)していた昭和初期というのは社会的に混乱し、戦争への暗い歩みを始めていた時期です。誰も彼も貧しくゆとりのない生活をしていました。

そんな中で法衣に身をまとい、他人を自分を偽りながら行乞(ぎょうこつ)していた彼を不謹慎で自堕落な人間にみえるのは致し方ないともいえましょう。それでも少ない収入から山頭火を援助し続けた支持者たちは山頭火に何をみていたのか。

それは普通の人間である自分には決してまねのすることの出来ない、『裸になった人間』たる山頭火に、もう一つの人生を託していたのではないでしょうか。
 彷徨の中で、時折この句のようにきらめくものを得る山頭火に、本当は皆なりかったのではないでしょうか。


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