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山頭火

山頭火

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雨ふるふるさとははだしであるく


梅雨の季節が近くなると、どんよりと厚い雲がたれ込めてなんとなく心もふさいでしまいます。
 この句は、山頭火が他家に嫁に行った妹、しづさんのところに一泊した後に、ふるさと近くを行乞していた時のものだそうです。

良家のぼんぼんだった山頭火も、今は乞食坊主同然になってしまいました。妹の元へ行っても、妹は暖かくもてなしてはくれますが、子供には山頭火のことを伯父さんだとは告げられないのです。
 泊まった翌朝。妹は床にいる山頭火にこう言うのです。

「兄さんすまんことですが、のんた。近所の家が起きぬ間に、早く去んでおくれ、ほいと(方言で、乞食の意)、ほいとと言われると困るからのんた。御飯はもうちゃんとできちょる。」

そして忘れずに二合徳利の朝酒を添え、山頭火の頭陀袋に五十銭玉を入れるのでした。山頭火は涙を隠しながら妹の家を後にします。
 山頭火はそんな妹の思いやりを黙って受け取るしかありません。肉親ならではの情のありがたさを感謝し、何もしてやれない兄たる自分が情けなく思いながら。

雨の中で、はだしでふるさとの土の感触をかみしめるように歩く山頭火。ふるさとで堂々と生きることを許されない山頭火は、少しでも躰に想いを刻みつけたかったのでしょう。


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