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山頭火

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ひらひら蝶はうたへない


同じ蝶を読んだ句ではありますが、「てふてふひらひらいらかをこえた」の明るさに比べてなんと哀調のあることでしょうか。

いかに美しくとも華麗であろうとも、蝶は声を発することができません。ましてや歌うことなどかなわないことなのです。
 ただ、その「美」というものでしか語ることを許されていない存在よ。

この句が蝶に対する哀れみを素直に表したものなのか、それともそんな蝶に対して句を詠える自分を誇らしく思っているのか、はたまた「美」というものの本質、それはじっと「理解者」を待ち続けるさだめにあり、決して自ら主張するものでは有り得ないのだ、という何らかの芸術論に基づくものであるのか、小生にははかりかねます。

恐らくはそれら全てを包含しているのでありましょうが、哲学的な深みのある味のある句だと申し上げてご勘弁願いましょう。


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