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山頭火

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雪へ雪ふるしづけさにをる


年が明けて寒さが厳しくなってくれば、日が暮れて夜の帳が深く降りるにつれてしんしんと足下から寒さが忍び寄ってきます。

この句の「雪へ雪ふる」というリフレインの表現は山頭火の特徴的なレトリックでもあります。
 白い雪の上へまた雪が重なりそれがいつの間に周りの音を遮断するくらいの深さまで達してしまっている...その瞬間から数時間までの時間の九十九折り(つづらおり)がこの表現に見事に凝縮されています。

もう生き物の音は自分の息や胸の心音だけしか聞こえてこない、そういった孤独の中に「をる」自分を意識して、今まであんなに避けようとした巷の雑踏や世間の瑣事(さじ)が急速に恋しくなっている時なのです。
 怖くなるほどの「しづけさ」は、明日への保障など何もない行乞者としての自分に、降り積もる雪よりも重く確実にのしかかってくるのでした。

ここには神も仏もない世界にぽつねんと取り残されている存在である山頭火がいます。
 もはや人間という形からも疎外されかけているこの私にとってこの雪の中に生を見出すことができるかはもう誰にもわからない。しかしその中にこの身を委ねざるをえないところまで自分を捨てきって己を厳しく見つめ直そうという心の旅。

今、あなたが暖かい部屋の中でこれを読んでいる窓の外にもこんな旅人がどこかに彷徨(さまよ)っているのかもしれません。しづけさに負けてしまうも己に克つも誰にも看取られない闇の中で・・・


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