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山頭火

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うまれた家はあとかたもないほうたる


今回は、『草木塔』から「旅心」という章からの句です。

山頭火は名家種田家の嫡男として山口県の防府に生まれました。しかしそのふるさとには、母の自殺、父の放蕩、そして破産による一家離散という凋落の過去しかなかったのです。

それでも望郷の思いから時々足が向き、ひっそりとくらす妹夫婦の家に立ち寄ることもありましたが、しょせん乞食坊主の身。甥や姪にも名乗ることもなく逃げるように立ち去るのみだったようです。
 もちろん一家の過去には山頭火にも一端の責任があったかもしれない。しかしそれを責めるにはあまりにも悲惨なトラウマであったとも言えるのではないでしょうか。山頭火が咲野や健と三人でやり直すことが結局出来なかったのも、「家庭」というものに対する幼いころからの底深い不信感を拭い去ることが出来なかったからなのかもしれません。

山頭火が実際に生家の跡に立つことがあったのかは定かではありませんが、この句のうらぶれた哀しい情景は何度も夢に見たものではないでしょうか。おぼろに光るホタルが表現しているのは、かつての幸福な時期への未練を断ち切れずに彷徨う一族の想いなのか・・・山頭火にとって、どんな旅路よりも遥かに遠いところにふるさとが思えたことでありましょう。


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