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山頭火

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すべってころんで山がひっそり


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今回は、『草木塔』の「鉢の子」という章からの句です。

秋は「紅葉狩り」の季節。今回は山歩きをする方(但し団体ではなくお一人で)にはきっと共感できるでありましょう句を一つ。

何よりも好きな山の中を歩いていた山頭火。深山幽谷という言葉もあるとおり、山は山頭火の心を落ち着け、澄みきった気持ちにしてくれる存在であったようです。
 しかしそろそろ日も暮れかかってきました。次の宿を見つけなければと、いつになく足早に山道を急いでいた時、昨日の雨にぬかるんでいたのであろうか、足を取られてすってんころりん!

・・・やれやれどうやら怪我もせずすんだようだわい、と思いながら立ち上がろうとするとき、初めて山頭火は、ひっそりとした山の静寂に気がついたのでした。

そう、今まで自分の今宵のことばかり考えていたために見えなかったこと聞こえなかったこと、そして忘れたいと思っていたことを、一瞬の内に感じ取ったのでした。もしこれが街中であったら、転んだ滑稽な姿をくすりと笑う者もいたでありましょうし、それに照れる自分とのちょっとしたやり取りもあったに違いないでしょう。しかし山はただひっそりとそんな山頭火を見ているだけです。そう、一人でいる自分をいやでも感じざるを得ない、山頭火としてはちょっと辛い瞬間。

人間何かに気を取られすぎると知らず知らずのうちに周りが見えなくなっていくものです。その緊張感がふっと切れた瞬間、その時に人は自分の「分」を知り、真の人生の意味が見えてくるのでしょう。


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