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山頭火

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月も水底に旅空がある


今回も、『草木塔』の「旅から旅へ」という章からの句です。
 山頭火の天才的なイマジネーションの冴えが感じられる一句を。

山頭火は、今宵の宿はあきらめたのでしょうか、それとも目当ての木賃宿まで急ぐ道の途中か。夜道を歩いております。
 そろそろ満月であろうか、月明かりだけでもそんなに不便も感じない道を、山頭火の足音だけがひたひたと旅の空に広がって。
 こういう世に捨てられた孤独な身にも、もったいなくも行く先を照らしてくれるお月様。さぞやご苦労なことであるわい、昼のときにはまばゆいばかりの太陽に比べて、淡く優しい月の光にあらためて仏の慈悲の大きさを感じつつ・・・

道が湖にさしかかると、さらに光は乱反射して幻想的なシーンが展開します。その美しさに惹かれてしばし湖畔に佇む山頭火は、浅い湖底にゆらゆら映る月影に気が付くのでした。

夜の天空で絶対的な存在である月も、実は私と同じようにこういった水底に旅をしているのではあるまいか。そして我が身の姿を映しながら悠久の時を旅しているのではあるまいか、と。

ここの山頭火はもはや一人の人間ではなく、自然と溶け込んだ風景の一要素として一個の命として清澄なまでの存在になりきっていると言えましょう。


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