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山頭火

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飲みたい水が 音たててゐた


梅雨が終われば、かんかん照りの真夏がやってきます。

山道を歩くものにとっての慰めは、森の木陰、寝転がれる草むら、そして溢れる湧き水でしょう。
 もうずいぶん人気のない道を歩いてきた山頭火。笠をかぶっているといっても草いきれや照り返しで汗が流れます。

もうくたくただ、一休みしたい、水を思う存分飲みたい。次第にそういう気持ちがつのってきます。

すると、かすかに耳に聞こえるのは、ちょろちょろという湧き水の音です。
 ああ、もういてもたってもいられません。体力を振り絞ってそこに駆け寄り、体中が喉になって水を飲み干すのです。

「飲みたい水」が「音をたてている」。
 この主観的に一直線に走る言葉がそのまま、その時の安堵感と幸福感を率直に表しています。


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