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山頭火の俳句

山頭火後ろ姿

酒を愛した放浪の俳人
種田山頭火の俳句をご紹介

一羽来て
啼かない鳥である
一羽来て

これは山頭火が小郡の「其中庵(ごちゅうあん)」から、山口市湯田前町の「風来居(ふうらいきょ)」に移ってからのもの。
 これまでの自然に囲まれてゆったりと暮らしていたのとは異なり、ごみごみとした裏町の一軒である「風来居」は、山頭火にとってはまことに困惑した環境ではありました。

その中で、ふっと得た静けさの中で見かけたのが、一羽の鳥でした。
 名も知らない鳥だが、人なつこいのか行き場がないのか、そこから去ろうともしません。しかも一声も立てずに佇む姿に山頭火は一句を得たのです。

山頭火はその鳥に自分の老いてゆく孤独な姿をみた、という解釈もありますが、果たしてそうでしょうか。
 その姿は、山頭火にもう一度自分を見つめ直せ、という仏の化身だったのかもしれません。

人は、日々の暮らしに忙殺されています。その姿は懸命に生きているように見えるが、果たして本当にそうなのか。
 実は、大切なものから目を背けていることを正当化しようと、ごまかしているだけではないのではないか。

もの云わぬ鳥を始めとする自然の営みの中から、素直に何かを受けとめようとする山頭火。
 実に珠玉のような瞬間の輝きです。


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