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モーツァルトを聴く

怒るモーツァルト

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その1 燃えたぎるト短調交響曲 青春編(交響曲第25番 K.183)

オーケストラの写真

モーツァルトは生涯において、50曲超の交響曲(シンフォニー)を作曲しましたが、短調の曲はわずか2曲しかありませんでした。しかもいずれも調性として「ト短調」を選んでいます。

なぜト短調なのか? という疑問を持っても答えはきっと風の中でしょう。しかしながら、25番と40番という中期と終期に分かれていながら、いずれも緊張感のある傑作であると共に、様式上も非常に似通った(楽章編成やソナタ形式などといったことよりももっと細かい部分ですが・・・いずれ触れることもあると思います)年の離れた双子兄弟の交響曲は、モーツァルトという人間の秘めたとてつもない情念のエネルギーを感じずにはいられない存在になっているのです。

映画『アマデウス』の冒頭のシンコペーションでおどろおどろしく始まる、あの恐ろしげな曲こそ、第25番ト短調の第1楽章なのです。特に工夫はしなくても楽譜通り演奏するだけで、ああなってしまう程の生まれながらの悪魔的な曲想は、見た目に巧妙に隠された神の子モーツァルトのもう一つの側面を表しているのではないでしょうか。

曲は4つの楽章で出来ています。
 第1楽章は先に述べたようなシンコペーションが特徴的な第1テーマ(下譜A)を元にした急速な4拍子のソナタ形式。冒頭の弦楽強奏の後のオーボエの全音符が恐ろしげです。第2テーマは少々上品で楽しげな感じで提示されますが(下譜B)、すぐに喧騒に巻き込まれていきます。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第25番第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
第25番第1楽章第2テーマ

第2楽章は静音器をつけた弦楽器による一時的な癒しの音楽。ため息のようなメロディーの第1テーマが印象的(下譜C)。

楽譜C(第2楽章第1テーマ)
第25番第2楽章第1テーマ

第3楽章はメヌエットなのに怖くて踊れない3拍子。テーマには人を無理やり駆り立てるような焦燥感が漂います(下譜D)。

楽譜D(第3楽章第メヌエットテーマ)
第25番第3楽章メヌエットテーマ

第4楽章は急速なフィナーレ。不安定なバネのような第1テーマが最後まで心を乱しまくります(下譜E)。第2テーマはそれでも明るい感じにはなりますが(下譜F)、再現部では主調のト短調で不気味に現れます。

楽譜E(第3楽章第メヌエットテーマ)
第25番第4楽章第1テーマ

楽譜F(第3楽章第メヌエットテーマ)
第25番第4楽章第2テーマ

こんな曲を17才の少年が作曲したというのは信じがたい。まさに青年期の疾風怒濤のようなエネルギーの魔力に戦(おのの)かずにはいられません。

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

交響曲第25番から第1楽章

今回は3つのCDを紹介。やり場のない怒りがある時は、部屋を真っ暗にしてヘッドフォンで大音量で聴いてみてください。すっきりしますよ、多分。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.
モーツァルト:交響曲第25番&第29番&第35番
モーツァルト:交響曲第25番&第29番&第35番
2.

モーツァルト:交響曲第25番&第29番&第35番「ハフナー」
3.
モーツァルト : 交響曲第25番、第29番&第33番
モーツァルト : 交響曲第25番、第29番&第33番

 1.はバーンスタイン指揮ウィーンフィル。29番と35番とのカップリングはお得でしょう。節度あるバランスのとれた演奏。

 2.はケルテス指揮ウィーンフィルの演奏。自然な落ち着いた感じのある演奏です。第29番と第35番「ハフナー」とのカップリングです。

 3.はコープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団の古式ゆかしき編成での演奏。モーツァルトが生きていた頃に近い響きが楽しめます。