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モーツァルトを聴く

怒るモーツァルト

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その2 影のように蠢(うごめ)くハ短調(ピアノ協奏曲第24番 K.491)

モーツァルトの愛したピアノ

モーツァルトの創ったソロピアニストの為の27曲のピアノ協奏曲の中で、短調の曲は2曲だけです(交響曲にも2曲しかありません)。第20番のニ短調と、今回ご紹介する第24番のハ短調です。

その当時のピアノ協奏曲といえば、演奏の形態としてピアノ奏者の弾き振り(オーケストラの指揮をしながらソリストも兼ねること)が普通であり、しかも作曲までするとなれば、まさに現代のシンガーソングライター並のスターであるわけです。客も上流階級が普通であるわけですから、どうしても長調の明るさ、華やかさ、ダイナミックさが求められたはず。短調が避けられたのはいわゆる「ニーズ」が無かったことによるのでしょう。

しかし芸術家としての道を極めようとするモーツァルトが、「自己表現の手段」としての音楽を追求しようとしたときに葛藤が生じてきたのです。そしてどうしても怒りや苦しみをたたきつけたい激情に駆られたとき、短調の曲に筆を走らせたのでしょう。おそらく当時はこういった曲は好意的には受け入れられなかっただろうと思われますが、現代の我々には内省的で深みのある短調の音楽の方がむしろ心に響いてくるのです。まさに時代を超越した普遍性のある音楽なのです。

今回ご紹介するのは第24番ハ短調。
 第1楽章はまさに「影のように蠢く」という表現がぴったりの弱奏のテーマで始まります(下譜A)。流れを遮る減七度の跳躍は、全奏でテーマが繰り返されるまで4回も登場して不安を煽ります。まるでベートーベンの音楽かと疑ってしまうような野太いモーツァルトの本性が現れた楽章です。第2テーマは”いつもの”モーツァルトを垣間見せる茶目っ気が感じられます(下譜B)。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第24番第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
第24番第1楽章第2テーマ

第2楽章はピアノが静かに語り出すロマンツェ(下譜C)。音程が飛ぶメロディーでありながら不思議な統一感がある。こういった曲を創らせたらモーツァルトの右に出る者はおりますまい。第1楽章でかき乱された心を静かになだめているかのようです。

楽譜C(第2楽章テーマ)
第24番第2楽章テーマ

第3楽章はオリジナルなテーマによる変奏曲(下譜D)。やはりハ短調らしい悲壮感が全体を覆っていますが、途中ハ長調で出てくる変奏に「あれっ?」と思う方もいらっしゃるはず。交響曲第40番ト短調のフィナーレの第2テーマに酷似しているといわれる有名な箇所です(下譜E)。

楽譜D(第3楽章テーマ)
第24番第3楽章テーマ

楽譜E(第3楽章変奏の一形態)
第24番第3楽章変奏の一形態

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

ピアノ協奏曲第24番から第1楽章

今回は3つのCDをご紹介します。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.

モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番、第24番
2.
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20&24番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20&24番
3.

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第24番

 1.はマウリツィオ・ポリーニの弾き振りによるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏。愛らしいピアノ協奏曲第12番との嬉しいカップリング。

 2.はモーツァルトを得意としたハスキルのピアノです。ハスキルの死の約1か月前に録音されたものだとか。第20番ニ短調とセットで。

 3.はゼルキンの独奏で、アバド指揮ロンドン響による演奏。柔らかく深い老成の響きが味わえます。これも第20番とのセット。