おかえり.jp トップページ おすすめクラシック ちょっと楽しくクラシック ハイドンの交響曲 シューマンの交響曲 組曲 小品 管理人紹介

モーツァルトを聴く

怒るモーツァルト

おすすめクラシック楽しくクラシックハイドンの交響曲シューマンの交響曲おすすめのクラシック組曲おすすめのクラシック小品


その3 混沌から秩序へ向かうカルテット(弦楽四重奏曲第19番ハ長調「不協和音」 K.465)

冒頭の不協和音の楽譜

モーツァルトが親交を持っていたハイドンに献呈した弦楽四重奏曲集、いわゆる「ハイドン・セット」。
 この中に「不協和音」というニックネームで呼ばれる、弦楽四重奏曲第19番ハ長調(K.465) があります。

問題は第一楽章のゆっくりした序奏部の出だしです。左の楽譜にご注目。

低音のチェロの歩みから始まって、ビオラ、第2バイオリン、第1バイオリンへと少し遅れながら入ってゆくのですが、その音が、「ド」「ラ♭(ラの半音下)」「ミ♭(ミの半音下)」「ラ」となっており、「ラ♭」と「ラ」は半音違いなので、調和していない濁った響きになります。これが「不協和音」と呼ばれる所以なのです。
 (注:第1バイオリンが入るときには実はビオラの「ラ♭」は「ソ」にスライドしており濁りは緩和されるのですが、残響の関係で緊張した響きは感じられます)

(★全曲の無料楽譜はこちら [IMSLPより])

不協和音を楽曲の中で「わざと」利用するようになるのは主にロマン派以降ですが、尊敬するハイドンへの曲集の中でこういった実験的なことを敢えてしたのは何故だったのでしょうか?

ハイドンが、モーツァルトのオペラや協奏曲に感銘を受けて(というよりは多分「こりゃかなわんな」と思ったのでしょう)、パッタリとそれらの作曲をしなくなったのは有名な話。そのくらい実力を認め合った仲だったのです。
 モーツァルトは、「本当は、こういう曲を創りたいのだけれど、あなたくらいしか理解してもらえないのですよねぇ」と当時の保守的な聴衆への落胆と怒りを皮肉まじりに表現したのかもしれません。
 混沌とした序奏部以降の「いつも通りの」さわやかな秩序ある響きに満ちた音楽が、上記のモーツァルトの意志をより強く印象づけているように思えてならないのです。

曲は4つの楽章から出来ています。
 第1楽章はまずは序奏の現代的な曲想に耳を澄ませていただきたい。その後の晴れ渡ったようなアレグロが救いのように感じられます。
 第2楽章は美しいアンダンテ・カンタービレ。
 第3楽章は活発なメヌエットで、低音から湧き上がってくるようなフレーズが興奮を誘います。
 第4楽章は快活なフィナーレですが、急激な転調で一瞬別世界に行ったような箇所がありますのでお楽しみに。

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

弦楽四重奏曲第19番から第1楽章

今回は3つのCDをご紹介します。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.

モーツァルト : 弦楽四重奏曲第14番 〜第19番 (ハイドン四重奏曲全曲)
2.
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番
3.
モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番&第19番
モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番&第19番

 1.はアルバンベルク四重奏団による演奏。第14番から第18番までとご一緒にどうぞ。

 2.は泣く子も黙るスメタナ四重奏団の正統派的な演奏。これも第18番イ長調とカップリング。

 3.は、クイケン四重奏団による古楽器での演奏。柔らかく渋い音色は、実際にモーツァルトが表現したかった響きを再現しているのかもしれません。