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モーツァルトを聴く

哀しむモーツァルト

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その1 最後のピアノコンチェルト(ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595)

ピアノの写真

モーツァルトは、基本的にはピアノで生活した一生でした。指揮者とソリストを兼ね、もちろん作曲も手がけるというシンガーソングライターの走りのようなもの。まさに生活の糧がピアノコンチェルトだったといっても過言ではないと思われます。

交響曲でも似たような傾向がありますが、ピアノ協奏曲にも短調は2曲しかありません。これはまさに聴衆(しかも中流以上のお気楽な面々)を相手にするのに、「しんきくさい」短調は嫌われた・・・早く言えば「ウケなかった」から創らなかった、ということに他ならないでしょう。

そして、ここでご紹介する”最後のピアノコンチェルト”、第27番も変ロ長調です。しかし、聴いてみればこんなに哀しい長調の曲なんてあるのだろうか、と思わずにはいられないのです。顔は静かに優しく微笑んでいるのだけれど、それを見ているとわけもなく涙があふれてくるような夏目雅子さんの往年の名演技のように。モーツァルトの「白鳥の歌」であるという表現にもうなずけます。

第1楽章は弦楽の静かな第1テーマから始まります(下譜A)。途中何度もファンファーレ風の管楽器に阻まれながらも懸命に歌い続けていくバイオリンの歌が一段落すると、高音で弦楽器全体が叫ぶような全奏になってゆく・・・そう音楽自体が物語になっているのです。第2テーマ(下譜B)もコデッタテーマ(下譜C)も、その物語を補完しています。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第27番第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
第27番第1楽章第2テーマ

楽譜C(第1楽章コデッタテーマ)
第27番第1楽章コデッタテーマ

第2楽章はモーツァルトの遺言でしょうか。冒頭のピアノ独奏でのテーマから、時々後ろを振り返りながら誰も行けない場所に静かに歩いていく姿が浮かんでくるようです(下譜D)。

楽譜D(第2楽章テーマ)
第27番第2楽章テーマ

第3楽章はフィナーレで華々しいはずなのに出だしのピアノからため息混じりに坂を昇っていくような儚げな感じです(下譜E)。第2テーマもこれの延長のおとなしい感じ(下譜F)。ちょっと弾けそうな第3テーマ(下譜G)も、同じ気分が最後までつきまといます。これだけ終わった後に哀しくなるような長調の曲ってあるのでしょうか。

楽譜E(第3楽章第1テーマ)
第27番第3楽章第1テーマ

楽譜F(第3楽章第2テーマ)
第27番第3楽章第2テーマ

楽譜G(第3楽章第3テーマ)
第27番第3楽章第3テーマ

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

ピアノ協奏曲第27番から第1楽章

今回は3つのCDを紹介。誰も寝静まった夜更けに聴いてみてください。時を超えた深い哀しみに共感し痛みも癒えてくるでしょう。

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1.
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&27番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&27番
2.

モーツァルト:ピアノ協奏曲第25&27番
3.

モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番&第27番

 1.はアシュケナージ独奏、フィルハーモニー管の繊細美。穏やかで気高い第23番とのカップリングが嬉しい。

 2.はグルダのピアノをアバドとウィーンフィルが支えます。堂々とした第25番との一種対照的なカップリングが面白い。

 3.はバレンボイムが自らもピアノを弾きながら指揮する「弾き振り」の珍しい1枚。第2楽章が有名な第21番も味わうことが出来ます。