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モーツァルトを聴く

哀しむモーツァルト

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その2 心の琴線に触れるフルート(フルート四重奏曲第1番ニ長調 K.285)

フルートを吹く人形

モーツァルトは、フルートが苦手だったというのはどうやら定説のようです。もっとも、今とは違ってまだ楽器の加工技術も演奏技術も未熟な時代のこと、余程の名手でも無いかぎり、高音で音が外れがちだったこの楽器には相当悩まされたからなのでしょうか。

とはいいながら、モーツァルトの才能は、このフルートの現代の輝かしい音色を予想していたかのごとく、数少ないながらも愛しい曲を残してくれたのはありがたいことです。

前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのはフルート四重奏曲第1番ニ長調です。

全体としては華やかな曲調なのでありますが、中間にある第二楽章がまさにモーツァルトの哀しみを一身に背負うがごとくの情緒をまとった麗しい曲なのです。次の楽章に継ぎ目無く続くため、独立して演奏されないのがかえすがえすも残念なのでありますが、これもモーツァルトのちょっとしたプロらしい演出と考えれば、まことに良くできた構成だと感心させられるところではあります。

第1楽章は明るいフルートの音色をまとった第1テーマから始まります(下譜A)。輝かしいフルートの高音のさえずりの後でしっかりと受け止める中弦の豊かな進行がたまりません。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第1楽章第1テーマ

そしてそれに続く第2楽章(第3楽章の序奏という位置づけでもあります)が、本項のテーマたる、フルートが主導するエレジー(哀歌)です。弦楽の控えめでありながら優しく支えるピチカートの伴奏の上で、エレジーが始まります(下譜B)。ある時はすすり泣き、ある時は瀕死の白鳥の嘆きを表すように豊かな流れが我々の心をかき乱し、揺さぶります。決して長くはない断章的な曲ではありますが、ここを聴きたいためだけに針を落とす(些か旧い表現ですね!)ことも多いのです。そして曲は切れ目無く次の楽章へ。

楽譜B(第2楽章テーマ)
第2楽章テーマ

第3楽章は前の楽章をまるでさっぱりと忘れたようなフルートの快活なテーマで始まります(下譜C)。今度は弦楽の細かい刻みで支えられて小鳥が高空へ飛び立つような華々しいエンディングへとなだれ込むのです。

楽譜C(第3楽章第1テーマ)
第3楽章第1テーマ

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

フルート四重奏曲第1番から第3楽章

今回は3つのCDを紹介。静かな夜半というよりは、ちょっとそぼふる雨模様で湿りがちな気分の午後にでもいかがでしょうか。きっとあなたの心の琴線に訴えかけることと思います。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.
モーツァルト:フルート協奏曲第1番&第2番,フルートとハープのための協奏曲
モーツァルト:フルート協奏曲第1番&第2番,フルートとハープのための協奏曲
2.

モーツァルト:フルート四重奏曲全集
3.

モーツァルト:フルート四重奏曲全集

 1.はフルートはゴールウェイ、ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団演奏による演奏。朗々と鳴り渡る輝かしい音色と、大らかでいきいきとしたモーツァルト。

 2.は歴史的な名演の全集ということで。フルート界の巨匠ランパル、スターン、アッカルド、ロストロポーヴィチというビッグネームによる夢の共演です。

 3.はオーレル・ニコレ(フルート)、ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)、ウラディミール・メンデルスゾーン(ヴィオラ)、藤原真理(チェロ)といった名手が揃ってのふくらみのある充実の演奏。