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モーツァルトを聴く

哀しむモーツァルト

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その4 哀しい微笑みをたたえたクラリネット協奏曲(K.622)

秋のクラリネット

クラリネット協奏曲イ長調 K622。死期も近い最晩年のモーツァルトが、管楽器の響きの中でも一番好きな、A管のクラリネットのために作曲したものです。

「A管」とは、楽譜上ではハ長調ですが、実際に出る音は短2度下のイ長調になる移調楽器の管楽器ということ。従って、この曲のクラリネットのパート譜はハ長調でかかれるため、奏者は演奏しやすいわけです。クラリネットにはA管以外も数種ありますが、A管は五臓六腑に深く染みわたるような・・・という比喩がピッタリの味わい深い響きを有しています。そこがモーツァルトも好みだったのでしょう。

長調なのに、こんなに哀しく切ない音楽。静かに年月を重ねてきた老人が、哀しい微笑みをたたえて、古いアパートの窓から散りゆく枯れ葉を眺めているような・・・管理人も年を追う毎に好きになっていく曲です。

3つの楽章からなっています。
 第1楽章は第1テーマから始まりますが、静かに歩き出したものの時々立ち止まり、そしてまた歩を進めていくようなおだやかなテーマです(下譜A)。やがて登場するクラリネットは、広い音域を十二分に活用したアルペジョ(分散和音)を絡めながら歌ってゆくのです。第2提示部で現れる第2テーマは憂いと憧れが共存しています(下譜B)。展開部でも途切れることなく。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
クラリネット協奏曲第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
クラリネット協奏曲第1楽章第2テーマ

第2楽章は、情緒的なこの曲のクライマックスです。ゆっくりとしたニ長調。冒頭からしっとりとしたクラリネット節のテーマが奏されます(下譜C)。外見は抑制が利いた振る舞いをしながらも、目に涙を一杯ためているような女性のように。

楽譜C(第2楽章テーマ)
クラリネット第2楽章テーマ

第3楽章は、8分の6拍子のロンドですが、この拍子特有の躍動感は、もはやモーツァルトの憂いの前に屈服したようです。それでも人生最後の輝きを目指すように、けなげに頑張ろうとしているクラリネット。私たちに問いを発しているかのようなクラリネット。曲が終わった後の余韻の中で、モーツァルトの問いに対するあなた自身の答えを探してみてください(主なテーマを下譜D〜Gに示しました)。

楽譜D(第3楽章テーマ1)
クラリネット協奏曲第3楽章テーマ1

楽譜E(第3楽章テーマ2)
クラリネット協奏曲第3楽章テーマ2

楽譜F(第3楽章テーマ2後の経過部)
クラリネット協奏曲第3楽章テーマ2後の経過部

楽譜G(第3楽章テーマ3)
クラリネット協奏曲第3楽章テーマ3

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

クラリネット協奏曲から第2楽章

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1.

モーツァルト:クラリネット協奏曲、フルート協奏曲
2.
モーツァルト : フルート&ハープ協奏曲&クラリネット協奏曲
モーツァルト : フルート&ハープ協奏曲&クラリネット協奏曲
3.

モーツァルト : クラリネット協奏曲 イ長調 他 (Martin Frost | Mozart) [SACD Hybrid] [輸入盤]

 1.は、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルがしっかりと支える極上のモーツァルト管楽器協奏曲集。クラリネット協奏曲、フルート協奏曲第1番、ファゴット協奏曲。

 2.はパイヤール室内管。ランスロのクラリネットのため息が出るような第2楽章が聴きどころです。

 3.は、天才クラリネット奏者と呼ばれるフレストによるモーツァルト選集。モーツァルト時代のバセット・クラリネットを復元した楽器の音色の豊かさ。